ネパール・トレッキングで出会った子どもたち
ガンドルン村で出会った少女
11日間に渡るアンナプルナ・サンクチュアリ・トレッキング中でたくさんの現地の人たちとの出会いがあった。その中で真っ直ぐに私たちを見てくる子どもたちの目があった。
私は出会う子どもたちに「写真を撮っていいかい?」と言いながらシャッターを押した。
ネパール人は日本人と似ている人が多い。中国人、韓国・朝鮮人、タイ人、フィリピン人、マレーシア人、インド人、パキスタン人、モンゴル人、・・・今まで様々な東南アジアや中央アジアの人たちと出会っているが、ネパール人が日本人に一番似ているのではないかと思う。
ネパールには義務教育制度がない。小学校、中学校、高等学校、大学と一応、教育制度は整備されているが、子どもを学校に通わせることができる家庭環境に育った子どもでないと学校には行けない現実がある。同じ学校に通っている子どもであっても制服を着ている子どもがいれば私服の子どももいる。全ては親の経済力の結果で子どもの教育が受けられるかどうかが決定される。私は最初、日本と同じようにどんな山奥でも義務教育が整備され、子どもたちには教育を受ける環境が保証されているものと思っていたが、平日にもかかわらず家で遊ぶ子どもや働いている子どもに度々出会うので、子どもたちは学校に行っていないのか疑問に思っていた。このことをガイドに尋ねるとネパールには義務教育制度がないことが分かったのだった。
ガンドルン村で出会った少女
私たちがトレッキングで歩いていく道は石畳が整備され、地域住民が日常的に利用する生活道路であった。道路が壊れると大規模な修理は別として個人が修理している。実際に私たちが休憩した脇で道路を修理している家族に出会った。お母さんは平らな石を運び、お父さんは石の水平を調整し、子どもは自宅からペットボトルに入れた水を飲み水として家族に運んでいた。その光景には日本がすでに失ってしまった家族が協力してひとつのことを成し遂げる姿があった。
トルカ村で出会った少女
庭先でおばあさんが鎌の刃を研ぎ、その脇でおばあさんの作業を見ている3人の子どもたちにも会って写真を撮らせてもらったこともある。私はおばあさんの自然の姿を撮りたかったのだが声をかけカメラを向けたら背筋を伸ばし柔和だった顔に緊張感が走ってしまった。その脇の子どもたちは屈託のない笑顔を向けてくれていたのだが・・・
また、カーレ村ではチベットから峠を越えて難民キャンプで生活しながら道端で土産物を売っているおばあさんからブレスレッドやネックレスを買っていた場所で休憩している姉妹に出会ったこともあった。その時、姉妹は荷物運びの途中で休憩中だとは知らずに写真を撮らせてもらったのだが、私たちが出発したあとから彼女たちは出発し、私たちを追い抜いて行くときに始めて彼女たちが荷物を背中に乗せ労働中であることがわかった。小学生であろう彼女たちは学校にも行けずに家の手伝いをしているのが現実だった。昨年訪れたパキスタンでも学校に行かずに山の薪を集めロバの背に積み、家に戻っていく小学生ほどの年齢の少年に出会ったことがあるが、ネパールでも家族の一員として働いている子どもの現実があった。彼女たちの家庭にとってはそれが当たり前の生活なのであろう。
カーレ村で出会った荷物運び中の姉妹
町に近い場所に住む子どもたちは私たちに「スイーツ」や「チョコレート」などと言ってものをねだることもあるが、山の中に入って出会う子どもたちは一様にシャイで話しかけてもニッコリ微笑み返しをしてくる子どもが多く、その目はしっかり私たちを見ていた。