ウメの蜜を吸うメジロ

ウメの蜜を吸うメジロ
2月5日 木曜日 晴れ
花見川沿いを花島公園までのバードウォッチングに出かけた。今回の目的はウメの花の蜜を吸いにくるメジロの観察と撮影である。2月に入るとキンカンの実が熟し、先月食べたものと比べるとずいぶん甘くなっていた。5年前に挨拶して以来、おじいさん・おばあさんの畑の脇に植えられているキンカンを頂いているのだが、最近はおじいさんもおばあさんも姿が見えないので施設に入ったのだろうか。心配である。キンカンを左ポケットにいっぱい詰め込み、それを食べながらのバードウォッチングだった。

センダンの実をくちばしに咥え、眼を白黒させながら必死に飲み込もうとしているムクドリがいたが、口いっぱいになる大きな実なので手こずっているようだった。しばらく見ていたが飲み込むのは諦めたようだ。飲み込まなくて正解だと思うよ。無理をして喉に詰まると大変だからね。

ハジロカイツブリの横で食事中のコガモ
ハジロカイツブリがゆっくり毛づくろいをしている横で、コガモが餌を探して水中に首を突っ込んでいた。小さな鳥たちは喧嘩もせずに、お互いを認めているようだ。野鳥の世界でも体の大きいものが小さいものを威圧し、食い物を独り占めしようとするが、体の大きさが同じくらいだと諍いは少ないようで、平和なひとときが過ぎていく。

キンクロハジロが水面に浮かんでいた
2月に入っても寒さは去らず、キンクロハジロ、ホシハジロ、オカヨシガモなどが10羽単位で水面に浮かんでいる。ずいぶん冬鳥が渡ってきて川は賑やかである。背が丸くなり片手に杖をついた90歳は超えていると想われるおばあさんが話しかけてきた。「何か見つかりましたか」「なかなか見つかりませんね」「モズやカワセミを見かけます。歩いているとなかなか見つかりませんが、今は葉が落ちていて鳥も見つけやすいですね」「葉が落ちた今が鳥を見るのには一番いい時期ですね。気をつけて歩いてくださいね」と挨拶した。年を取っても自ら外に出て、自然を相手に考えを巡らすことが大切であることを教えられる出会いだった。

餌を探すキジバト
チャッチャッチャッかツィツィツィとも聞こえる地鳴きがササ薮のなかから聞こえてくる。ウグイスかアオジだろうけれど姿が見えないので分からない。春になれば美しいさえずりが聞こえてくるのだが、今の時期は地鳴きだ。ササ藪の前ではキジバトが餌を探していた。

ピンクのホトケノザが春を呼ぶ
軽やかなピンクの花が地面いっぱいに広がっていた。近づくと予想していた通りホトケノザの群れだった。昨日が立春だったが寒さはまだまだ緩まない。しかし、自然の営みを観ていると、春の足音は確実に聞こえてくるようだ。

最初にヒヨドリがやってきた
11時50分に花島公園運動広場のウメ林に着くと、ほのかな甘い香りを漂わせて白いウメの花が咲いていた。ウメの木は3本を残して他は枯れてしまったので、新しく7本のウメの幼木が植えられていた。1時間ほどメジロがやってくるのを待つことにした。最初にやってきたのは2羽のヒヨドリだった。ヒヨドリを撮影しようとするが、ウメの枝がヒヨドリと煩雑に絡み合い、ヒヨドリにピントが合わせづらかった。1時間ほどメジロを待ったがメジロは現れなかったので、花島橋を渡って野鳥観察場所に向かった。

アオジのメスが現れた
花島公園の野鳥観察場所に着くと先客が2名いたので挨拶をしてベンチに座って1時間待つことにした。しばらく待つと日陰なのでよく分からなかったが、アオジかクロジが出てきたので、カメラのISO設定値を上げて写してみた。家に帰ってパソコンで確認するとアオジのメスだった。1カ月前にルリビタキのメスが観察できた場所なのだが、バードウォッチャーの3人仲間が水場から5mほどの近さで雑談を続けていたのが影響したのか、その後は野鳥が姿を現すことはなかった。芝生広場のウメ林に移動することにした。

花島公園で遊具広場を造成中だった
芝生広場にやってくると大半のウメの木は伐られてしまい、残ったウメの木の周りにはオレンジ色の網がかぶせられており、ウメ林があった中央では遊具広場の造成中だった。重機の音と10人ほどの作業員が働いていたので、これではメジロも寄りつかないだろうと考え、下の親水広場にウメの木が1本あるので移動した。

ウメの蜜を吸いにきたメジロ
親水広場のウメの木も白い花を咲かせていた。このウメの木でメジロの観察と写真撮影をしていた4年前の2月にロシアがウクライナに侵攻したことを思い出した。現在も戦争の終結は全く見通せない状況が続いている。待機して10分も経たないうちに1羽のメジロがやってきた。枝が邪魔をしてなかなかメジロにピントが合わなかったが、何とか撮影することができた。これで今回の目的を達成することができた。

蜜を吸うメジロ
ウメの花は甘い香りでメジロを呼び寄せ、蜜を吸わせることによりメジロのくちばしに花粉をつけ、メジロが次の花の蜜を吸うときに受粉させるというお互いが両得というWin-Winの自然の仕組みで成り立っている。チョウやハチたちが花から花へと移っていくのも同じ理由である。

蜜を吸うメジロ
メジロが1羽で蜜を吸いに来たときは鳴き声を出さないが、複数羽で来たときは常にチィチィ鳴きながら枝から枝へ移り蜜を吸っている。この鳴き声はメジロがお互いに意思を通じさせる言葉なのである。『僕には鳥の言葉がわかる』という本を書いた動物言語学者の鈴木俊貴東京大学先端科学技術研究センター准教授は、シジュウカラの研究から鳴き声には「集まれ、危険だ、静かに・・・」など20以上のパターンがあり、シジュウカラの鳴き声は、単語を組み合わせて意思を通じさせる言葉であることを世界で初めて突き止めて論文を発表した人だが、野鳥たちが複数で動いているときは鳴き声で意思疎通をしているのである。

シジュウカラがやってきた
次にやってきたのは黒いネクタイを締めた3羽のシジュウカラだった。シジュウカラはウメの枝皮に潜む虫を探しているようだった。シジュウカラは虫が見つからないと地面に降りて草の実などを探している。野鳥たちは毎日毎日生きるために餌を探している。見つからないと徐々に体力を消耗し死を迎える。そこには自然の中で生きる厳しさがある。バスの乗車時刻が迫ってきたので野鳥観察を終了したが、今回歩いた距離は10.5km、歩数は15619歩だった。

マンサクの花が咲いていた
今回のバードウォッチングで出会った野鳥は、ヒヨドリ、スズメ、アオジ、ムクドリ、キジバト、オオバン、オカヨシガモ、コガモ、ヒドリガモ、ハジロカイツブリ、ツグミ、カワウ、ドバト、キンクロハジロ、クサシギ、ハシボソガラス、モズ、ハシブトガラス、オナガ、アオサギ、ハクセキレイ、シロハラ、メジロの23種類だった。今回の目的としたウメの蜜を吸うメジロの観察と撮影ができて満足だった。