第57回 幕張地区文化祭に参加した

 

正宗太極拳を披露する「さざんかクラブ」

 

10月18日 土曜日 曇りのち晴れ

第57回 幕張地区文化祭が10月18日(土曜日)と19日(日曜日)に幕張公民館で開催された。主催は幕張地区文化祭実行委員会、後援は千葉市教育委員会と公益財団法人千葉市教育振興財団だった。

 

文化祭が開かれた幕張公民館

 

9時20分から2階講堂で開会式が行われ、幕張地区文化祭実行委員会の竹内委員長、幕張公民館の大塚館長、幕張公民館運営懇談会会長の田中さんの3人が挨拶をした。9時30分から各部屋で「展示の部」がスタートし、10時から講堂で「発表の部」がスタートした。私は開会式に参加したあと、文化祭説明員として水墨画が展示されている2階の講習室にいたが、午前中の11時ころまでは来場者も少ないと想われたので、各部屋に展示されている作品を観ることにした。

 

クマゲラの抱卵交代@

 

私がいた講習室は3クラブの作品展示だった。まずは私が所属する『幕張水墨画同好会』で私と仲間の作品を観た。私が展示したのは4作品で、今年の5月に出かけた利尻島のクマゲラ撮影を題材としたものだ。1枚目は早春の利尻富士を描き、2枚目・3枚目・4枚目はクマゲラの抱卵交代を描いたものだった。クマゲラについてはオスの頭に赤いベレー帽をかぶったような部分に赤い色を入れた。

 

クマゲラの抱卵交代A

 

背景の木々を描くと複雑化し、絵自体のまとまりがなくなると判断したので背景は描かず、クマゲラに焦点を合わせるようにブラッシング技法を摂った。満月のなかにクマゲラが浮かび上がるような構図にし、絵の上に丸皿を乗せて墨を付けた歯ブラシを網目で擦り、墨を霧のように絵の上に散布する方法である。このブラッシング技法によってクマゲラを浮かび上がらせたのである。絵の前に立った来場者に絵の説明をすると、驚きながらもクマゲラのダイナミックな動きがよく分かります、という感想を述べていた。

 

早春の緑が美しかった

 

今年創立50年になる幕張水墨画同好会のメンバーは、現在3人で細々と続いているのだが、寺島さんは、「黒板塀」「五重の塔」「親子三代」の3作品を展示した。3作品のなかの「黒板塀」は墨彩画で、寺島さんが墨彩画を書くのは珍しく、早春の緑を描くために黄緑色を入れていたのが美しかった。本人が言うには、何回も色を重ねたが想うような色が出なかった、とのことだった。

 

「天竜川」と「秋の里山」

 

野中さんは、「鷹」「秋の里山」「天竜川」の3作品を展示された。天竜川の源流は八ヶ岳連峰の主峰である赤岳にあるのだが、その水が諏訪湖に集まり、諏訪湖から流れ出し太平洋まで約200kmを滔々と流れていく。天竜川は急流として「暴れ天竜」とも呼ばれ、その流れが作り出した天竜峡が絶景であり、急流を船頭の竿裁きで下っていく舟下りが有名である。その天竜峡の景色を描いたのが今回展示した「天竜川」である。水墨画同好会としての展示は合計10作品になった。

 

動きと踊り子の目線が良かった「はつらつ」

 

同じ講習室では『幕張カメラサークル』の18点の作品展示のなかでは3作品が目にとまった。柏市のあけぼの山公園を撮ってパソコンで加工した「アートパーク」、日光の瀬戸合峡の紅葉と吊橋を撮った「渓谷の秋」、阿波踊りの踊り子を撮った「はつらつ」だった。特に「はつらつ」は踊り子の手足の動きと目線が良かった。

 

「ポンカン」が写実的だった

 

もうひとつ同じ講習室で作品展示をしていたのは絵画クラブの『あすなろ会』で18作品を展示していた。そのなかでは、実際に長年パリに住んでいた方がパリの下町の夕景を描いた2作品、脇田さんが描いた「漂流船」「見知らぬ女」、さらに写実的に描いた「ポンカン」が目に止まった。いずれも淡泊な色彩の絵だった。

 

「月下美人」がよかった

 

隣の多目的室で展示されていたのは5クラブだった。『墨彩会』は8作品を展示していたが、「月下美人」が目についた。墨彩画というだけあって墨絵を描いたあとに色を入れていくので完成までに時間がかかるが、展示されていた8作品のなかでは「月下美人」が最も力作だと感じた。

 

中学生時代の恩師だった半田先生を思い出した

 

『千葉友の会』は、今回初めて文化祭にされたクラブで、女性ジャーナリストの草分けで教育者であった羽仁もと子さんを中心に作られた会で、衣・食・住・家計・子どもなどのことを学び合っているという。「羽仁もと子」の名前を見た時に、私が卒業した群馬県松井田町立西横野中学校で国語の恩師だった半田喜作先生を思い出した。半田先生は羽仁もと子さんの娘で教育評論家だった羽仁説子さんを先生達の研修会に招いて講演会を開いた内容を授業のなかで熱く話してくれた。私は友の会のテーブルに置かれてあったウールの靴下を2足買い求めた。私は登山やバードウォッチングに出かけるので、毛の靴下は必要だと感じたからである。

 

「月刊社会教育を読む会」も初めて参加した

 

『千葉月刊社会教育を読む会』も今年初めて参加されたクラブで、説明員に活動内容を伺うと、『月刊社会教育』という本が出版されていて、その本を読みながら参加者が本に書かれている内容について話し合うクラブだという。クラブとしての販売物は無く、自分たちの活動を知らせるために文化祭に参加したとのことだった。公民館を借りて活動をしているクラブならば、どのクラブも文化祭に参加できるので、活動周知を兼ねたクラブも参加している。

 

販売価格は高額となってしまうようだ

 

『くみひもクラブ』は、100作品ほどの展示販売だった。組みひもは一種の織物なので作成時間がかかり、販売価格も比較的に高額となっていたのは仕方がないと思われた。実際に組紐を作る器具も2組展示されていた。

 

今年の販売状況はどうだろうか?

 

『木工クラブ』は、20作品ほどの手作り木工作品が展示販売してあった。私は昨年スマホ台を買ったが、今年も10点展示されていた。草花を挿した花瓶や鉢物が置かれた花台も展示されていた。今年の販売状況はどうだろうか?

 

漢文解説文があったので意味がわかった

 

第2会議室では3クラブの作品を展示していた。アルファベットを組み合わせて単語を作る英語などと違って、書道で使う漢字は意味を表わす表意文字なのだが、日ごろから漢文に慣れていないこともあって、『幕張書道クラブ』が展示している長い漢文は、草書体だと読み下すのに大変で意味がわからないことが多い。解説文が添付されているので、それを読んで分かる次第だった。

 

レモンだと思ったらライムだった

 

『ふみの会』は、絵手紙作品をたくさん展示していた。ピンクの可愛らしい靴を描いた「いつまでも自分の足で歩こう」、アザミを描いた「心にとげはないよ」、ライムを描いた「レモンだと思っていたらレモンではなくライムでした」ということを2枚の葉書に分けた作品の3つが目についた。葉書ではなく団扇に描いた作品も展示されていた。

 

書体は素晴らしいが意味がよく分からない

 

もうひとつの『書道クラブ』の展示作品も漢文で書いてあり、こちらには説明文がなく私には漢文を読み下す素養がないので正確な意味は分からないが、漢字の並びからこんな感じだろうなという印象を受けた。

 

目についたのは「錦秋」だった

 

2階の廊下では絵画の『松の実会』が21作品を展示していた。展示されている作品には油絵や水彩画などが混在していたが、目についたのは、竹内さんの「錦秋」だった。竹内さんは毎回2〜3作品を展示しているが、ラフで淡白な水彩画である。

 

毎年午前中で売り切れになる花の苗の即売会

 

公民館の外では、正面玄関横のテラスで『ラグラスの会』が花の苗の即売会を行っていた。内容は、桜草・葉ボタン・ノースポール・パンジー・ビオラなどの鉢植え苗で、販売価格は50円、100円、200円、300円だったが、主力は100円が多かった。花の苗の即売会は毎年人気で、午前中には売り切れになる状態だ。

 

和室では『幕張中学校茶道部』がお茶席の準備中で、12時から抹茶を立てて和菓子を添えて参加者に振る舞っていく予定だということだった。

 

僕らはみんな生きている

 

「発表の部」は2階講堂で10時よりスタートし、18日(土曜日)は13クラブが、19日(日曜日)は12クラブが自分たちの練習成果の発表が予定されていた。

 

私の妻は女性コーラスグループ『レディスクァイア』に参加しており、18日の11時35分から、アンパンマンのマーチ、ひばり、地球の仲間、僕らはみんな生きている、今日もひとつ、など7曲を合唱した。7曲のうち5曲は今年のNHK朝ドラマで話題となった やなせたかしの作詞であり、ラスト2曲は星野富弘さんの作詞に曲をつけたもので、私は初めて聴く曲だった。全7曲をスマホで動画撮影して妻に渡すと、クラブのLINEでアルバムを作り共有化したようだった。

 

祭りずしは美味かった

 

調理室では『太巻き料理クラブ』が前日から準備した「祭りずし・バラの花と花椿」を1パック400円で販売していた。私も1パック買い求めて食べたが、見た目も美しく、食べても美味しかった。

 

生存確認のお祭りみたいだ

 

私は文化祭説明員として水墨画展示室にいたのだが、部屋に入ってきた80代と想われた男性が突然大きな音をたてて床に倒れたのである。入口そばにいた男性の仲間が駆け寄り、男性を抱えながら椅子に座らせたが、何が起こるか分からない年代の方が文化祭では多く見受けられる。文化祭に作品を展示する人、展示されたものを観に来る人は圧倒的に70歳代・80歳代の高齢者が多く、1年に1度の秋の文化祭だけで会う人もたくさんいる。生存確認のお祭りみたいだ、などと冗談を交わしている人も見受けられた。杖をつき足を引きずっている人もいたし、車いすを押されている人もいた。冗談のようだが生存確認文化祭のような感じも受けるのである。

 

70歳以上のフラダンサー「リノリノフラスタジオ」

 

昨年は20歳代〜30歳代を中心としたよさこいソーラン踊りの「CHIよREN北天魁クラブ」が参加していて賑やかだったが、今年は他のイベントと重なってしまい不参加だった。若い人たちが参加できれば文化祭も活気が出てくると思う。その萌芽として昨年も今年も小学校低学年くらいの子どもたちがヒップホップダンスを元気に踊っていた。当然、家族が子どもたちの踊りを観て撮影するために参加していた。若い人たちが参加しないと徐々に生気を失い、お年寄りたちの生存確認文化祭になりかねないと思うのである。

 

戻る