クマゲラに会いに利尻島へ
フェリーで利尻島へ
5月23日(1日目) 木曜日 曇り
利尻島で国の天然記念物に指定されているクマゲラの観察と撮影のために、5月23日から29日の1週間利尻島に出かけることにした。利尻島は北海道稚内市の西方50kmに位置する離島で、周囲約60kmの円形をしており、今年9月には利尻礼文サロベツ国立公園に指定されてから50年となる。計画を立て羽田空港から稚内空港の往復便の予約をした。通常料金は片道55370円だが、75日前の特割予約17870円で1/3以下の価格だった。最近は航空券の予約も空港での搭乗手続きも全てスマホひとつでできるようになっている。
稚内空港は晴れていた
10時40分に羽田空港第2ターミナルから、ほぼ満席のANA571便に乗り稚内空港に向かった。1時間40分後に稚内空港に到着すると、ラッキーにも天気予報が外れて晴れていた。稚内フェリーターミナル行きのバスに乗り、料金は700円だった。空港からフェリーターミナルまで乗った乗客は10人前後だった。フェリー
ターミナルの自動発券機で鴛泊港行きの片道切符を買うと2990円だった。
ハートランドフェリーで利尻島へ
ハートランドフェリーは14時30分に稚内港を出港した。約2時間の船旅である。私は航路図を確認し、利尻富士が見える進行方向左側に席を取った。2等エコノミー船室はカーペット敷きの広い大部屋で全てが自由席である。観光シーズン前でお客が少なく、各自ゆったりのんびりしていた。海は凪いで空は晴れているのだが、海上は靄っているようだった。このままでは利尻富士(1721m)は見えないかもしれないと想った。
乗客の少ない客室
しかし杞憂だった。波を蹴立てて進むフェリーの前方に曇り空の下に利尻富士が登場し、その姿は徐々に大きくなっていった。北海道土産の定番となっているホワイトチョコレートの『白い恋人』のパッケージ写真となっているのが残雪の利尻富士である。海上に翔ぶ海鳥を探していたが、カモメを見ただけで他の鳥は見られなかった。途中で鴛泊港から出航したフェリーと擦れ違った。
上部甲板から眺めた利尻富士
利尻富士をよく見るために上部看板に上がってみると、進行方向右側に礼文島が見えたが大半は雲に隠れていた。近づく利尻富士を動画で撮影した。船室に戻ると鴛泊港に近づくにつれて、窓いっぱいに利尻富士が見えるようになった。素晴らしい。海が荒れていなくて良かった。完璧な姿で利尻富士を眺めることができて満足だった。
ゲストハウスの利尻グリーンヒルズイン
鴛泊港には16時10分に着いた。前日の天気予報では夕方から雨模様となっていたので、港から30分の距離を傘をさしてザックを担いで歩くのも面倒臭いので、宿に港まで車の迎えを頼んだのだった。港に着くと「利尻グリーンヒルズイン」の横断幕を手に持った若い女性の村岡さんと男性の平野さんが迎えてくれた。昨日は海が荒れてフェリーは欠航だったとのことだ。白いワゴン車に乗って5分で予約したゲストハウスに到着した。
8人部屋の下段に宿泊
ゲストハウスの正面に利尻富士が見える素晴らしいロケーションである。隣は夕日ヶ丘展望台である。天気予報は雨模様だったが、午後から雲が飛び利尻富士が姿を現したとのことだった。宿に着きチェックインを終えると2階の相部屋に案内された。相部屋は8人で私は2段ベッドの下を選んだ。今日の相部屋の人はひとりとのことだった。ゲストハウスなので食事なしの素泊まりである。このゲストハウスは以前ユースホステルだったのだが、経営者が高齢でやめてしまい、その後を別の家族が引き継いで、ゲストハウスとして運営しているとのことだった。
宿から200mのスーパー・ニコット
ザックを置いて早速200m先の「ニコツト」というスーパーに酒とツマミを買いに行った。毎日配達される夕食の幕の内弁当を頼んであるが、それだけではツマミとして足りないと思い買いに出たのだった。ビールは私の好きなサッポロ黒ラベルとサッポロクラシックを買った。酒はもちろん北海道の地酒で夕張の「北のろまん」特別純米酒である。軽やかな辛口とある。準備万端整って17時から宴会となった。
1日目の夕ごはん
食堂はお客が少なく空いていたので、利尻富士が見える窓際の席に座り、思う存分に利尻富士を眺めてのいっぱいである。
ビールからスタートして夕張の地酒が胃に沁みた。19時に利尻富士を見ると暮れゆく山頂部に雲がかかっていた。はたして明日は晴れるだろうか?しばらくすると驚いたことに山頂にかかっていた雲に徐々にピンクが増してきた。陽はすでに入っているはずなのに、富士のバッグの雲もピンクに輝き出してきた。夕映えの景色は素晴らしいのひとことだ。それも束の間ですぐに色あせてしまった。自然の移ろいは一瞬である。変わりゆく空や雲を眺めながらいっぱいやれる幸せを噛みしめた。
宿の食堂から眺めた暮れゆく利尻富士
同部屋だったのは京都からやってきて北海道をレンタカーで回っている72歳の男性だった。私が千葉市からやってきたと話すと、男性は以前10年ほど市川市に住んでいて、ディズニーランドのアトラクション関係の仕事をしていたとのことだった。世間は狭いものである。礼文島を半日で回って、今日は利尻島に着いてレンタカーで3時間ほど島内を回ったとのことで、明日は利尻富士に登りたいと言った。
宿の前から眺めた利尻富士
朝4時45分の登山口まで宿からの送迎で出かけて行き、山の上の方は雪があり登れないので、アイゼンも持っていないので行けるところまで行くとのことだった。私は2011年9月に利尻富士に登っているので、所要時間から考えて8合目の長官山ぐらいで折り返しするのがいいのではないか、とアドバイスをした。16時の稚内行きフェリーに乗るので、あまり無理せずに下山してくるとのことだった。