絶滅危惧種のコアジサシがやってきた
夏鳥で絶滅危惧種のコアジサシがやってきた
4月28日 月曜日 くもり
4月17日に船橋三番瀬海浜公園の潮干狩り会場がオープンし、干潟は賑やかであろうと想われたが、今日は大潮で干満差が207cmになっていたので、20日ぶりに船橋三番瀬にバードウォッチングに出かけた。
干潟のバードウォッチングは風をまともに受ける
天気予報は、日中の気温は15℃から17℃、曇り空で南風が強い、と出ていた。干潟のバードウォッチングは、ハイキングや山登りの上り下りで汗をかくのとは違い、平らなところを歩くために、風が強いと吹きさらしの風をまともに受けるために体が冷える。それを防ぐためにタイツをはき、ウィンドウブレーカーとしてレインウェアを持って出かけた。
アカメガシの花はメロンパンのような感じがした
二俣新町駅を降りて三番瀬までの歩道の脇は、白や赤紫のツツジの花が満開だった。また歩道に沿ってアカメガシが植えられている。そのアカメガシの花というのを初めて見たが、小さな白い5弁の花がドーム状に咲く可愛らしい花の集団である。ちょうどメロンパンのようだった。
ダイゼンは長い獲物を海水で洗ってから飲み込んだ
9時に三番瀬干潟に着いた。今日の船橋港の最大干潮時刻は11時07分だ。干潟を見渡すとバードウォッチャーは数名だった。早速準備をして潮干狩り会場の西側で観察と撮影を始めると、最初に目にとまったのは旅鳥(渡り鳥)のダイゼンだった。ダイゼンは長いゴカイのような底生生物をくちばしで捕まえると砂から引きずりだし、数歩先に進んで海水で洗ってから飲み込んだ。獲物をちゃんと洗ってから食べるのである。
汀線でオオソリハシシギが菜食していた
汀線で6羽のオオソリハシシギが菜食しているのが目にとまった。オスは夏羽に変わり褐色になっていた。ゆったりした動きだったが、オスがカニのような獲物を長いくちばしで捕らえたところだった。20日前に来たときにも出会った旅鳥である。オオソリハシシギはアラスカからニュージーランドまで1万2000kmも移動した個体もいたとのことだ。
旅鳥のキョウジョシギが餌を探して干潟を歩いていた
3羽のキョウジョシギが餌を探して干潟を歩いていた。キョウジョシギも旅鳥で春と秋に姿を現す。すでに夏羽に変わり、頭から顔から胸にかけては白・黒のぶち、背中と翼は黒・褐色・黄土色、腹は白い。よく目立つ色彩で綺麗な羽色だった。
潮干狩り会場から子どもたちの歓声が聞こえてきた
放送塔から潮干狩りの案内が聞こえ、9時30分から12時30分までの3時間限定で潮干狩りの第3会場が開場した。今年も第1、第2、第3と会場を分けて運営しているようだ。今日は飛び石連休となっていたが、やはりお父さんたちは会社の休みを取って家族サービスをしているようで、子どもたちの歓声が聞こえてくる。
2年ぶりのコアジサシとの出会いだった
キュイ、キュイという金属性の鳴き声が上から聞こえてきた。見上げると黄色のくちばしに小魚を咥え、草刈り鎌のような長く鋭い翼、流線形の体型をした2羽のコアジサシが飛んでいた。2年ぶりの出会いだった。絶滅危惧種のコアジサシが今年も南の地域から渡って来ていたのだ。瞬間だったので飛んでいる写真は撮れなかったが、いつか写真を撮れる時がくるだろうと想ったが、その期待は1時間後に実現できたのだった。
レッグフラッグ標識が付いたミユビシギ
脚にレッグフラッグを付けたミユビシギが目にとまった。左脚の上部の青色のプラスチックの旗にはVEOと記され、下部には白色の旗が付いていた。このレッグフラッグはシギ・チドリ類の生息地が急速に失われている現状に対して、研究者たちが鳥の渡りについての情報を集めるために付けたものである。旗の色や位置によって、どの場所で標識を付けたのかが分かり、その鳥の移動ルートが判明するのである。ちなみに撮影したミユビシギは旗の組み合わせから、千葉県・東京都の東京湾で捕獲して標識を付けた個体だった。ミユビシギは冬鳥なので、これから子育てのために北の地域に渡っていくのである。
鳥たちは沖の牡蠣殻島の方に移ってしまった
観察と撮影を始めて1時間ほど経ったところで小休止した。汀線で餌を探していた海鳥たちは潮干狩り客の歓声が大きくなると沖の牡蠣殻島の方に移ってしまった。牡蠣殻島までは私の長靴では渡っていくことができなかった。双眼鏡で確認するとミヤコドリやオオソリハシシギたちが確認できた。
牡蠣殻島で舞うミヤコドリ
11時になるとずいぶん潮が引いたので、コアジサシたちが牡蠣殻島にいるのではないかと想い、浅瀬を探して牡蠣殻島に行ってみた。牡蠣殻島にはたくさんの海鳥たちが集まっていたが、撮影に夢中になって時間が経つのを忘れて潮が満ちてくると危険なので、観察と撮影は12時までの1時間と決めた。
市川港から出るタンカーの近くで採食するオオソリハシシギ
牡蠣殻島に渡ると市川港に出入りするタンカーが次々に眼の前を通って行く。そのタンカーを横目に海鳥の観察と撮影をしていた。しばらくすると見覚えのある白くスリムの姿をしたコアジサシが飛んできた。やっぱり牡蠣殻島に来ていたのだ。コアジサシは10数羽の群れとなっていた。
たくさんの海鳥が羽を休めていた牡蠣殻島
牡蠣殻島を歩いてみると、たくさんの海鳥が休憩し採食をしていた。潮干狩り会場の喧騒を嫌って海鳥たちは干潮時に現れる牡蠣殻島でのんびりしていたのだ。ミヤコドリ、オオソリハシシギ、キョウジョシギ、ホウロクシギ、チュウシャクシギ、メダイチドリ、ハマシギの姿も見られた。
牡蠣殻島に舞い降りたコアジサシ
コアジサシは千葉市の鳥に指定されている鳥であり、毎年、稲毛海岸で子育てをしているのだが、カラスや犬に狙われるので子育ても厳しい現状である。今年は雛を育てることができるだろうか?
牡蠣殻島は満潮になると海面下に沈んでしまうので、ここでは羽を休めるだけで営巣はできない。
海鳥の観察と撮影を終えたあとのいっぱいは最高だ
海鳥の観察と撮影を12時に終えた。いつものように草はらに戻って、ひとり宴会が始まった。天気予報通りに南風が強く吹きつけているが、その風を受けながらいっぱいやっている。今日は196ダブルレモン7%の500mlとサッポロ黒ラベル500mlである。ツマミはおにぎり、干し柿、せんべい、ソーセージ、柿ピー、チョコレートだった。潮干狩り客が去ると干潟に静かな時が戻った。13時40分のバスに乗るまでゆっくりと宴会を楽しんだ。
採食中のオオソリハシシギと飛ぶチュウシャクシギ
旅鳥のメダイチドリも羽を休めていた
今日出会った野鳥は、キジバト、スズメ、ドバト、ダイゼン、オオソリハシシギ、ミヤコドリ、ハマシギ、ミユビシギ、カワウ、キョウジョシギ、ホウロクシギ、チュウシャクシギ、コアジサシ、メダイチドリ、ムクドリの15種類だった。