北の国からやってきた友だちに乾杯

 

サザンカ サザンカ 咲いた道

 

 11月1日 晴れ

カンツバキが咲いていた。サザンカのことである。ヤブツバキは花が散るとき、丸ごと一輪がポトンと落ちる。カンツバキが散るときは花びら一枚一枚がひらひらと舞い落ちる。同じツバキ科であっても散り方は違う。

 

今日は花見川沿いを神場公園までの往復7kmのバードウォッチングだった。出会った鳥はヒヨドリ、ハシブトガラス、スズメ、カルガモ、カワウ、キジバト、モズ、ムクドリ、ドバト、ジョウビタキ、オオバン、シジュウカラ、コガモ、エナガ、コゲラ、カワセミ、アオサギ、ハクセキレイの18種類だった。平日だと大体25種類近くの野鳥と出会うが、日曜日は花見川沿いにランナー、釣り人、サイクリスト、散歩などの人たちが大勢でているため野鳥は姿を隠す。やはりバードウォッチングは静かな平日のほうが良いと思う。

 

紋付を着たジョウビタキ

 

そのなかで出会った野鳥の一部を紹介すると、ジョウビタキは冬鳥として日本に渡ってくる。雄の黒い翼には目に鮮やかな白い班が付いており、私が育った群馬県では紋様の形から「モンツキ」と呼ばれていた。そのジョウビタキの雄がキチキチ ヒンヒンと鳴きながら電線に止まっているのが目に入った。ジョウビタキは時たま私の住むマンションのベランダにも訪ねてくることがある。とても品のいい野鳥だと思う。

 

ネッシーを彷彿させるオオバン

 

真っ赤な目をした冬鳥のオオバンの姿も目にするようになった。今日は10羽ほどの姿を確認できた。昔イギリスのスコットランドのネス湖にネッシーという怪獣が棲んでいると話題になったが、オオバンが水面を移動している姿は、まさにネッシーのような感じである。真っすぐに立てた首を前後に振りながら悠々と泳いで行くのである。ネッシー騒動はエイプリルフールで驚ろかそうと思ったいたずらが、おおごとになってしまい、いたずらだと言えなくなったというオチがついた。たまにオオバン同士の喧嘩を見る機会があると、2羽は翼で殴り合い、足で蹴りあう凄まじい戦いである。オオバンは水草や雑草などを食べるおとなしい水鳥である。そのことを忘れさせるほどの気性の強さにびっくりする。

 

コゲラは日本に棲む最小のキツツキ

 

エナガ、シジュウカラ、コゲラの小さな群れに出会った。そのなかのコゲラは日本に棲むキツツキの中で一番小さい体形をしている。白と黒の縞模様の地味なキツツキである。鳴き方も実に地味で、ジーンジーンという小さな声を出しながら枝から枝へと渡っていく。幹や枝に垂直につかまりながら、中に潜んでいる虫を嘴でつついて探し出すテクニックは実に巧く惚れ惚れする。

 

愛嬌もののエナガ

 

エナガは実に可愛らしい野鳥である。身体よりも尾のほうが長く、ふわふわした体形は縫いぐるみのようだ。10羽ほどの群れであったが、ちょこまか動く姿はあまりにも速く、カメラで捉えるのが実に難しい野鳥のひとつである。

 

豪快に水あびをするカワウ

 

カワウが豪快に水あびをしていた。普段のカワウは水に潜って餌となる魚を取っているのだが、それでも飽き足らずよく水あびをしている。水あびをした後は棒杭の上に休みながら日光浴である。翼をバサバサして水を切り、その後は翼を広げて乾かしている。水あびをするのは羽の中に住むダニなどを洗い落としているのであろう。日本にはカワウ、ウミウ、ヒメウの3種類が棲んでいるが、長良川などの鵜飼いに使われるのはウミウで、花見川沿いにいるのはカワウである。緑色の目が宝石のように美しい野鳥である。

 

5年前の稲穂がガマの穂に変わった

 

 「因幡の白兎」に出てくるガマの穂があった。5年前までは秋になると稲穂が実る田んぼであったが、耕作放棄によって今はガマが茂る湿地となってしまった。このような田んぼが幕張でもあちこちに見られるようになった。住宅地に変わったところもある。農業の後継者がいないため日本の農業は全国各地で瀕死の状態である。このことは日本縦断徒歩の旅で日本海側を歩いたときにも感じたことだが、私の住む千葉県幕張でも同じ状況である。

 

刈り取りを放棄した稲田

 

 隣の田んぼでは実った稲穂が刈り入れを放棄されていた。この田んぼは来年になれば耕作自体が放棄されるだろう。別の田んぼでは台風によって倒された稲を収穫せずに放棄したため2番穂が育っていた。私は農家育ちなので、高校3年までは農業を手伝い、田植えや稲刈りも体験している。私は農業によって親に育てられたと思っているので、耕作放棄や収穫放棄の状況をみると心が痛む。しかし、仕方なくそのような選択しかできない現在の農家の苦悩も理解しているつもりである。

 

倒れた稲穂から2番穂が育っていた

 

 私は今から10数年前、サラリーマンの定年が近づいたころ、退職後に休耕している畑を1枚借りて農業をしようと考え、農協に問い合わせたり自分で調べてみると、農地法第3条によって専業農家でないと農地を借りることができない、ということが分かった。私たち団塊の世代と呼ばれていたものが大量に定年退職期を迎え、その中に私と同じように退職後は畑を借りて農業をしてみたいと考えた人はいただろうと思うが、現在の法律のもとでは農地を借りることができないのだ。専業農家の後継者がいないため耕作放棄地は広がるばかりである。その解決のためには、農地法が制定された68年前とは農業に関する状況が変わっているので、農業をやりたいと思う人には専業農家でなくても農地を貸すことができるように農地法第3条を改正することだと思う。私は畑が借りられなかったので、家庭菜園を3ヶ所で確保し季節の野菜を無農薬で作っているが、自分の家庭で食べるのには十分である。

 

スマートな体形のハクセキレイ

 

 ハクセキレイが尾を上下に振りながら歩いていた。幕張周辺にはハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイの3種類のセキレイが棲んでいる。いずれのセキレイも1年中身近におり、留鳥として水辺の近くに棲む鳥で、スマートな体形からは清流の清々しさをイメージさせてくれる。ハクセキレイとセグロセキレイは同じように白と黒のツートンカラーだが、ハクセキレイの顔は白く、セグロセキレイの顔は黒いので判別がつく。チュチュン チュチュンと鳴きながら波型に飛んでいくのだ。

 

熟しつつあるクコの実

 

 偶然に土手にクコの実が熟しているのを発見した。実の色がまだ朱色なので、もう少し熟して色が濃くなる11月下旬になったら収穫しようと思っている。それまで残っているかな?クコの実は漢方では滋養強壮剤である。今回発見した場所はクコ酒にするには少なすぎるので、収穫したら乾燥させて食べようと思う。

 

カワセミが水面の50cm上を一直線に飛び去る姿が見えた。アオサギがギャーという叫び声を上げて舞い降りた。その前をゆっくりとオオバンが進んでいった。

 

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