野鳥界の貴婦人・キセキレイに会えた
とてもスマートなキセキレイ
12月2日 快晴
久しぶりに花見川沿いを歩き、花島公園までの往復10kmのバードウォッチングに出かけた。朝は寒かったのでマスク兼用のネックウォーマーと手袋を着けた。12月初旬になると木々の葉が落ち、野鳥の姿がはっきり確認できるようになってきた。空は雲ひとつなく晴れ上がっていたが風が冷たかった。
水流監視カメラの定期点検の作業をしていた
3名の作業員が梯子に登り、花見川の汐留橋の水流を監視するカメラの中継機を開けて、定期点検を行っていた。川は昨日までの雨で茶色く濁っており、オオバンが3羽泳いでいた。まだまだ渡ってきている冬鳥の数は少ないが、オオバンの数が増えてきた。上空では陸上自衛隊の習志野駐屯地のヘリコプターがバリバリ音を残して北方面に飛んでいった。
獲物を捉えたアオサギ
アオサギが耕作放棄地で狩りをしていた。5分ほど見ていたが、その間に3度獲物を探し出し、嘴から獲物をめがけて突き刺し、3度とも獲物を捕らえていた。見事なものだ。しかしいずれの獲物も小さなもので、とても腹のたしにはならないだろう。こういう獲物を一日に数100匹と捕らえているのだろう。
鋭い眼で睨むカイツブリ
カイツブリが水辺の近くに1羽浮かんでいた。カメラを向けるとすぐに水に潜ってしまい、10mほど先から首を出した。その後はひたすら私から遠ざかって行った。安全な距離まで遠ざかると私を睨む眼が鋭かった。カルガモやカワウなどは人間を恐れずに悠々と泳いでいるが、カイツブリは人の姿を見るとすぐに水に隠れて遠ざかっていく。鳥にも色々な習性があるようだ。ここまでに出会った野鳥はヒヨドリ、ハシボソガラス、ハクセキレイ、スズメ、キジバト、カワウ、ハシブトガラス、オオバン、アオサギ、カイツブリ、カルガモ、モズで12種類になった。
大きな木が切られてしまった
大きな木が切られてしまった。土手に生えていた一番大きな木だった。桜並木が1kmにわたって続いているなかで、サクラに混じって大きな木が育っていた。野鳥たちがたくさん集まり、ここの土手では一番大きな木だったが、サクラでなければ木ではない、というような考え方の方がいて、無残にも切られてしまった。ここの土手を管理している千葉県は、「許可なく樹木の伐採を禁ずる」という看板を出しているのだが、それを無視し大きな木は切られてしまった。200mほど上流に向かうと、そこに生えていた大きな木も切られていた。切られた幹や枝は片付けられることなく周りに散らばっていた。
水あびをするシジュウカラ
神場公園に寄ると、池でシジュウカラが水浴びをしていた。野鳥たちは水あびが好きだ。その姿を撮っているとヤマガラもやってきた。2羽が楽しそうに水辺で戯れていると、暴れん坊のヒヨドリがけたたましい鳴き声でやってきた。2羽は楽しかった水場の遊び場からすぐさま逃げ去ってしまった。
好奇心が旺盛なヤマガラ
ヤマガラは石に腰掛けている私から2mの至近距離までやってきて私を見つめていた。あまりにも近づき過ぎて、望遠レンズの焦点が合わなかった。私がヤマガラから逆ウォッチングされてしまったのだ。黒い後頭部から一直線に下がっている白いラインが目立った。ヤマガラという鳥は実に好奇心が旺盛なのだ。ここまでに出会った野鳥はシジュウカラ、ヤマガラを加えて14種類になった。
カラスウリが輝きを増してきた
ハクセキレイが簡易舗装された農道で餌を探していた。木の実のようなものを探し出して食べていた。普段は2羽で行動している鳥なのだが、今回は1羽だけだった。花見川沿いで勢力を広げ、我が世を謳歌していた真っ黄色のセイタカアワダチソウの花が終わり、今一番目立つのは朱色に色づいたカラスウリである。太陽の光を浴びて輝きを増していた。
食事中のハクセキレイの雄
花島公園にやって来た。一番奥の野鳥の水飲み場と餌場にいったが、バードウォッチャーの姿はなかった。餌場には粟粒とヒマワリの種が置かれていた。周りを調べたが置かれた粟やヒマワリの食べかすが落ちていなかった。果たして野鳥は来るのかな?
この森の中に冬鳥が渡ってきているならば、30分もすれば姿を現すだろう。念のため1時間待つことにした。
食事中のシジュウカラ
70歳を越したと思われる男性が自転車に乗ってやってきた。自転車に長い三脚をつけていたので、私と同じバードウォッチャーなのだろう。私に話しかけてきた。「今年は何処にも全く冬鳥が姿を現さない。どうしちゃったんだろう。ジョウビタキのメスを一度見ただけで、後は全く見ない」と嘆いた。私が「30分待っているけれど1羽も姿を現さない」と答えると、「では失礼します」と言って、別の撮影場所に移って行った。
色づくカエデ
1時間ほど待ったが、途中でメジロが1羽姿を現しただけだった。森の中からヒヨドリとハシブトガラスの鳴き声が届くのだが、他の野鳥の姿は見ることができなかった。先ほどのおじさんが嘆くのも無理もないことだと思われた。野鳥がやってくるかどうかは自然まかせなのでどうしようもできない。ここまでで出会った野鳥はトビ、アカハラ、メジロを加えて17種類となった。
野鳥界の貴婦人・キセキレイ
カエデの葉を逆光で撮していると、目の端に水辺に舞い降りる黄色い野鳥が入った。なんだろうと思って近づくと、久しぶりに見たキセキレイだった。尾羽が抜けてしまったキセキレイを見たことはあったが、完全の姿を見たのは久しぶりだった。花見川沿いに棲むセキレイの仲間で一番多いのがハクセキレイであり、セグロセキレイとキセキレイはほとんど見るチャンスがないのだ。キセキレイはスマートで端正な姿をしている。野鳥界の貴婦人という例えがぴったりであろう。ここまでで出会った野鳥はコガモ、アオジ、キセキレイ、オカヨシガモを加えて21種類となった。
地域の人たちに見守られながら
花見川沿いには何匹も野良猫がいる。彼らや彼女たちは、サイクリングロード脇の植え込みの下、公園、あるいは笹藪で休んでいることが多く、散歩をする人たちが猫に声をかけ、あるいはキャッツフードや飲料水を毎日与えている人も見受ける。一度は捨てられたネコたちだが、避妊手術が済んだことを示す耳の先がカットされ、毎日の食事や水が与えられ、地域の人たちに見守られながら野良の生活を送っているのである。今回、木に登って居眠りをしていた猫に初めて会った。日光東照宮の眠り猫のようであった。高さは1mほどの枝分かれしたところで、猫も鳥のように木で休むことがあるということを初めて知った。びっくり。
木の上で眠るネコ
9時過ぎに出発し、帰宅したのは16時半だった。今回のバードウォッチングは天候に恵まれ、午後からは日差しも強く暖かくなり、カモ類を除くと出会えた冬鳥はいなかったが、久しぶりにキセキレイに会えたので満足だった。冷えた身体には温かなコンソメスープが美味かった。