君は、もう帰るのか?
ルリビタキの雄
3月1日 晴れ
花島公園の一番奥まで行くと、餌を撒いて寄ってくる野鳥を撮影している5、6人のグループがいる。その人たちがいると私は近寄らないが、誰もいない時にはその場所に行って30分ほど野鳥の動きを見ている。森から出てきたのは、クロジの雄雌、シロハラだった。それを撮影していると、次にやってきたのはルリビタキの雄だった。留まる木も位置も前回と同じところだった。ルリビタキは夏の繁殖期は涼しい高山で過ごし、冬に暖かい山麓や丘陵に降りてくる。日本国内で短い渡りをする野鳥で漂鳥と呼ばれている。幕張には冬にきている。もうすこしで君は山に帰ってしまうのだ。
花が好き
サクラにもいろんな種類があり、日本には600種類存在すると言われている。最もポピュラーなのが淡いピンクのソメイヨシノだが、カワズザクラに代表される濃いピンクの花も魅力的だ。メジロはどの種類のサクラにも蜜を吸いにやって来る。
蜜を吸いにきたヒヨドリ
ネパールヒマラヤの景色を見るために、何回かトレッキングに出かけた。時期は天候が安定する秋から冬にかけての乾期である。それは8000mを越えるアンナプルナ山群に出会うためのトレッキングの途中だった。休憩した場所にサクラが咲いていたのだ。思いもしないサクラとの出会いだった。日本ではサクラの花のない11月に、ソメイヨシノに似た淡いピンクの花が満開だった。枝を大きく広げたサクラは素晴らしかった。氷雪で聳え立つヒマラヤの峰々とサクラの花の対比が、今でも忘れられない光景として私の記憶に残っている。
獲物を狙っていたカワセミの雄
カワセミが対岸の堰堤の端で獲物を狙っているのが見えた。橋を渡って近づいても同じ位置で動かずに水面を注視していた。しばらくして私に気づくと対岸に場所を移した。私も橋を戻り観察を続けた。前かがみになり水中に突っ込んだ。結果は見事に魚を咥えて戻ったが、そのまますぐに飛び去ってしまった。カワセミのプロポーズは雄が捕まえた魚を雌に差し出し、雌が受け取ればカップル誕生となるのだ。
シロハラも結構キツイ性格だ
野鳥たちの世界は体力勝負のようなところがあり、身体の小さな鳥が食事中でも、身体が大きな鳥が現れると、食事の場所から逃げ出す。小さい鳥は戦っても勝てないからである。例外なのは猛禽類だけである。シロハラも身体が大きいので、クロジなどが食事をしているところに現れると、クロジはすぐに飛び去ってしまう。
オオジュリンの雌
オオジュリンの雌が耕作放棄地に生えた外来種のセイタカアワダチソウに留まっていた。3年前の5月、日本縦断てくてく一人旅で北海道のサロベツ原野を歩いていた時に、子育て中のオオジュリに度々出会った。巣のそばを通ると雄雌の両方がけたたましく警戒の声をあげ、私の周りを飛び回っていたことを思い出した。雄の顔は白と黒とで目立ちやすいが雌は黄土色で地味だった。カメラのピントがオオジュリンよりも前に生えていたアワダチソウに合ってしまった。
ただいま食事中のコジュケイ
コジュケイの「チョットコイ チョットコイ」の鳴き声を3年ぶりに聴いた。コジュケイは飛ぶことはほとんどなく、薄暗い林の中を歩いて移動する。鳴き声は神場公園近くの林の中だった。中学生のころコジュケイを捕まえたことがあった。まず雛を捕まえて、その雛を囮にして親を捕まえた。親子を一緒のリンゴ箱で作った鳥小屋に入れておいたが、親が暴れて雛を踏み殺してしまった。苦い体験だった。雛は生まれた日から独り立ちし、自分で餌を探すのだ。ヒヨコと同じである。当時そのことが分からなかった。親子は別の鳥小屋で飼うべきだったのだ。コジュケイは薄暗い林の中を歩いているので、見つけづらく撮影しづらい野鳥である。
渚でくつろぐユリカモメ
幕張の浜や検見川の浜にバードウォッチングに行くときは、花見川沿いのサイクリングロードを歩く。そこには2ヶ所の横断歩道に手押し式信号機がある。手押し式信号機の前で、おじいさんとおばあさんが待っていた。行き過ぎる車を見ながらずっと待っていた。おじいさんとおばあさんは、手で押す信号であるということを見落としたようだった。私が押すと信号はすぐに青に変わり、おじいさんとおばあさんは何事もなかったように横断歩道を渡って行った。私も似たような経験がある。日本縦断てくてく一人旅で九州の長崎県内を歩いている時に、手押し式信号機であることを見落として、信号が変わるのを待っていた。自転車に乗った男子中学生がボタンを押して信号機が青に変わったことがあった。私は少し恥ずかしい気持ちになったが、今回のおじいさんとおばあさんは全く意に介さず堂々としていた。
ヤブツバキの花が落ちると冬は去り、コブシの花が咲くと春が訪れる
春夏秋冬の季節の移ろいを感じさせてくれるのは周りの自然である。地球温暖化が指摘されて久しいが、その中でも気温や水温の変化を敏感に感じ取りながら動植物の世界は循環している。冬に花を咲かせたヤブツバキは気温の上昇とともに花を落とす。それに変わってコブシが真っ白な花を咲かせる。コブシは春一番に咲く花である。周りの木々はまだ芽吹いていない。雑木林の中でそこだけが明るく輝いていた。コブシの花を見ると、春が来たことを実感する。
西洋タンポポが咲きだした
セイヨウタンポポの黄色い花が見られるようになった。タンポポの花は朝に開いて夕に閉じる。セイヨウタンポポはニホンタンポポに比べ花びらの数が多い。咲き終った白い綿毛が風に揺れていた。セイヨウタンポポと二ホンタンポポの見分け方は、花びらの根元の総苞片が外側に反り返っているのがセイヨウタンポポで、二ホンタンポポは反り返っていない。セイヨウタンポポは見た目は可愛いが、環境省の指定要注意外来植物であり、日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。
甲羅干しをするミシシッピアカミミガメ
ミシシッピアカミミガメがのんびり甲羅を干していた。成長すると首から頭にかけて赤・黄・緑の縞模様があるのが特徴で、もともとは日本には棲んでいなかったカメである。お祭の縁日で「カメすくい」で子どもたちに人気の5cmほどの小さなミドリガメが、池や川に逃がされて増殖したもので、大きくなると30cmくらいになる。ミシシッピアカミミガメは度々目にするカメで、環境省と農林水産省により生態系被害防止外来種リストで、緊急対策外来種に位置づけられており、セイヨウタンポポと同じに日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。カメは「鶴は千年、亀は万年」と昔から長寿に讃えられ、めでたいものとして大切にされてきたが、外来種がほかの動植物に悪影響を及ぼすほどに増殖している現状は、何らかの手を打つ必要性に迫られている。
ペンペン草が白い花を咲かせていた
あぜ道にペンペン草が咲いていた。正式名はナズナという春の七草の一つである。ペンペン草と呼ばれるようになったのは、上の写真でもわかるように、花が咲き終わると三角形の果実の形が三味線のバチに似ているので、「ペンペン」という三味線を弾く擬音から呼ばれるようになった。若い苗の時は食べられるが、なよなよした姿からは想像できない「すべてを君に捧げる」という情熱的な花言葉は、どのようにして生まれたのだろうか。