カンヒザクラの蜜を吸うメジロ
カンヒザクラの蜜を吸うメジロ
3月24日 月曜日 薄曇り
自宅から歩いて10分の千本桜公園のカンザクラが満開を迎えているので、花の蜜を吸いに来る野鳥の観察と撮影に出かけた。公園に着いて最初にやってきたのは暴れん坊のヒヨドリである。望遠レンズをつけた女性がヒヨドリを追っていた。私もベンチにザックを下ろしカメラセットを取り出した。
カンザクラの枝で仲間を呼ぶヒヨドリ
最初はヒヨドリの撮影である。千本桜公園の入り口に8本のカンザクラが植えられているのだが、公園管理をする造園業者が冬の間に枝を切り落としてしまい、桜の木の高さが昨年に比べて半分になってしまった。昨年までは枝ぶりも立派に花を咲かせていたカンザクラだが、高さが半分に切られた桜は侘しく感じるのだった。それでも花の蜜を求めて野鳥たちはやってくる。
くちばしに花粉をいっぱい着けたヒヨドリ
蜜を吸うところを双眼鏡で観察していると、花を下から覗き込と同時に瞬時に花芯に蜜があるかどうかを判断するのである。むやみやたらに次々に花芯までくちばしを差し込むことはなく、蜜があるかないか下から覗き込む一瞬で判断し、蜜があると判断するとくちばしを差し込むという動作を繰り返しているのである。
カンザクラの蜜を吸いにきたメジロ
10羽ほどのメジロがチィチィ鳴きながらやってきた。しかし枝にはヒヨドリがそれぞれの木で蜜を吸っているため、なかなか近づくことができない。それでもメジロたちは果敢に枝に飛び込んでいく。ヒヨドリは鳴き声を挙げながらメジロを追い払う。その攻防の繰り返しである。
カンザクラの蜜を吸うメジロ
しばらくヒヨドリとメジロの攻防は続いていたが、メジロは一斉に常緑広葉樹であるクスの葉の繁みに逃げ込んだ。ヒヨドリは十分に蜜を吸ったあとでも木を去ることなく占有し、メジロがやってくると追い払うのである。梅の花の時もしかり、桜の花の時もしかり、水を飲む時もしかりで、弱いものは強いものに追い払われる。それが弱肉強食の動物たちの世界なのだ。
カンヒザクラの蜜を吸うメジロ
カンザクラの隣にカンヒザクラが咲いている。緋色の強い赤い花の桜である。桜の花はどの種類でも上に向いて咲くことは少なく、下を向いて咲いている。特にカンヒザクラはその傾向が強い。そのためカンヒザクラの蜜を吸う場合は、アクロバティックな姿をしながら花芯から蜜を吸うことになる。
このカンヒザクラにメジロの群れがやってきて蜜を吸っていた。カンヒザクラの場合は花が極端に下を向いているので、この花の蜜を吸う野鳥はいないと想っていたのだが、それをメジロが吸っていたのには驚いた。メジロの舌はとても長いので、こういう芸当ができるのだろう。
餌を探していたムクドリ
桜の木の下に広がる草はらで2羽のムクドリがあちこち歩きながら草に潜む餌を探していた。望遠レンズでヒヨドリやメジロを撮っていた女性が去ると別の女性がやってきて、蜜を吸うメジロやヒヨドリを撮影している。やはり花の蜜を吸いに来る野鳥は写真映りもいいので人気が高いのだろう。
満開のカンザクラを眺めながら一杯
10時から野鳥の観察と撮影を始め、まだヒヨドリやメジロは蜜を吸っていたが、今回の目的は達成できたので1時間半後に終えた。野鳥の観察と撮影を終えたあとは、花を眺めながら近くのスーパーで買ってきたレモンサワーを飲み、続けてウイスキーの水割りで一杯やるのだった。「年寄りの半日仕事」とはよく言ったものである。