ゆったり歩けた金沢市内観光

 

金沢城・橋爪門

 

 毎月自宅に郵送されてくる阪急交通社の旅行パンフレットを見ていた私は『北陸新幹線で行く!見どころ盛りだくさん!古都・金沢フリープラン3日間』という項目が目にとまりました。夕食時に私の勤務と夫のスケジュールがあったら一緒に金沢に行かないか確認してみました。夫は「いいよ」というので、私のスケジュールを確認し、315日・木曜日~17日・土曜日の日程で出かけることにしました。夫は夕食を終えるとインターネットで申し込んでくれました。私は金沢を訪れたことはありませんでしたが、夫は山登りの後に金沢市の観光場所を回ったとのことなので、今回の観光地のどこを訪れるかは私が決めることになりました。

 

 日程の1日目は11時半に金沢駅に到着しますので、まっすぐ近江町市場に向かい昼食を取った後に金沢城と兼六園を訪れ、その後に近くのホテルに向かうことにしました。夫が前回金沢市を訪れた時は、まだ新幹線が開通する前で金沢駅舎の建設は進行中で、駅前に建っている大きな鼓門は出来上がっていたとのことでした。

 

 近江町市場に入ると平日でしたが大賑わいの活況で、食事場所はどこも長蛇の列が出来上がっていました。ひととおり回ったあと食事場所には入れないので鮮魚店で刺身を5種類買い、店内の食事コーナーでビールを飲みながらの昼食にしました。ホタルイカ、赤貝、マグロ、鯛、カツオの刺身は新鮮でとても美味しかったです。天ぷらも店内で揚げていたので買ってきて美味しく頂きました。

 

 金沢城には近江町市場に近い黒門口から入りました。金沢城・兼六園管理事務所で入館券を買うと夫は65才以上なので年齢確認だけで無料でした。ラッキー! 前田利家が建てた金沢城は度々の火災にあい、現在のものは2001年以降に復元されたものと入口で渡されたパンフレットに書かれていました。五十間長屋に登りましたが長さと広さに圧倒されました。城の石垣は随分増改築されていたので時代ごとの積み上げ方や石の形が違うのも興味がわきました。

 

 

兼六園内ことじ灯籠

 

 金沢城のあとは兼六園を訪れました。兼六園の冬の風景に雪つりがあります。3月中旬になっていましたので、もう雪つりはなくなってしまっているだろうと思っていましたが、公園に入ると雪つりはまだ残っていて、植木業者の方たちが雪つりの撤去作業をしているところでした。雪つりも撤去作業も両方みられてラッキーでした。ホテルに入りテレビのローカルニュースを見ていると、兼六園の雪つり撤去作業が本日から始まりました、と伝えていました。

 

 近江町市場や金沢城でも見受けられたのですが兼六園のなかでも和服姿の若い女性の姿が沢山目につきました。市内には着物のレンタル店が沢山あり、女性が気軽に着物を着て散歩するのが流行っているようでした。古都と言えば京都と金沢が頭に浮かびますから着物を着てそぞろ歩きなんていい感じだろうなぁ、と思います。兼六園と言えばパンフレットには必ず登場する「ことじ灯籠」が有名ですが、記念写真を撮るひとで灯籠の前は人の姿が絶えませんでした。私たちも人の切れ目をはかって写真撮影しました。公園内の北側に梅園がありましたので、そちらに回ってみるとまだ花は開きだしたばかりでしたが梅のかすかな香りが漂っているのが感じられました。まだ北陸には春がやってきていないようでした。

 

 兼六園を出ると宿泊ホテルのある香林坊まで歩いて10分ほどの距離でした。ホテルに向かう途中の21世紀美術館横の「北山堂」という九谷焼・陶芸のお店に寄りました。九谷焼は沢山の色がついた美しい陶器です。夫はすぐに絵柄に風神雷神が描かれた小皿と盃に目をつけました。値段は1600円と安かったので金沢に夫婦旅行に来た記念として買ったようでした。その盃はホテルで早速地酒の手取川の原酒を飲むときに使っていました。

 

 2日目は小雨が降る中を傘を差しつつ長町武家屋敷跡を散策し九谷焼のお店に入ったり、お菓子を製造販売しているお店に入ったり、当時の屋敷が残っている野村家にも入館しました。その後は犀川を渡って西茶屋街を散策し、西茶屋資料館前で甘納豆の販売と喫茶店を開いているお店の2階に上がって一休みしました。白い壁と黒の柱で落ち着いた感じのお店でした。静かな時間が流れていました。その後、友禅染を見てみたいとおもいましたので長町友禅館に向かいました。

 

 長町友禅館は友禅染の展示・宣伝・販売と制作工房を併せ持っているところで、制作手順を説明してくれて色塗り体験もできる場所でした。10分ほどのビデオでも友禅染の制作過程が放映されていましたので鑑賞しました。展示コーナーには花嫁暖簾や着物、衝立などが展示されていました。どの作品も精密で艶やかな作品でした。お店で夫も私もハンカチを買いました。制作工房なので市販のものの半額ほどの値段とのことだったので、近くに展示されていた着物の値段を尋ねたら市販では120万円ですが、この工房では60万円ほどで買えますとのことでした。それにしても着物は高額な買い物だと改めて思いました。

 

長町友禅館でポーズをとってみました

 

その後、寺町寺院群に向かい通称「忍者寺」と呼ばれている妙立寺に上がりました。予約をしていなかったのですが受付で予約を済ませ、スタッフの50分間の案内で寺の中を見学しましたが、驚きの連続でした。よくこのような仕掛けのお寺を建てたものだと本当に感心しました。敵に不意打ちで攻められた時に生き延びるための様々な方法が埋め込まれたお寺でした。

 

 3日目はバスで金沢駅に向かいコインロッカーに手荷物を預けて身軽になったあとは主計町茶屋街と東茶屋街を散策しました。浅野川沿いの静かな雰囲気の街並みでしたが、東茶屋街の観光客の多さにはビックリしました。その中で今も営業している茶屋の一軒である「懐華樓」に上がりました。見学と軽食のセットで、夫はエビスビールを私は抹茶を頼みました。赤絨毯が敷かれた大広間や個室、芸妓さんたちの控えの間などを見学した後、1階の道路に面した囲炉裏の部屋で休憩がてらのティータイムでした。格子戸を通して通路は見えますが、通路からは家の中は見えないようになっていました。丁度、マジックミラーのようだと思いました。

 

東茶屋街で着物姿の観光客

 

 東茶屋街から21世紀美術館に向かいました。土曜日でしたが美術館を訪れる人の特に若い人の数が多いのが特徴的でビックリしました。東京でも美術館を訪れることがありますが、こんなに多くの若い人が美術館にきていません。美術館内の市民ギャラリーで卯辰山工芸工房の研修生の作品展示がされていましたので見学しました。その作品の素晴らしさに驚きました。工芸工房の研修生の30人の履歴を見ると、美術大学・大学院卒業生が沢山いて、自分の技を追及していく職人の姿が浮かび上がってきました。展示されている作品の中にはどのように作っていくのか不思議な作品も含まれており、作者のオリジナリティに感動しました。

 

同じフロアで「甦った手仕事、幻想の刺繍:ニューカイタグ」と題された刺繍展が開かれていましたので入ってみました。ヨーロッパの黒海とカスピ海に挟まれたアルメニアに昔から伝わっている刺繍とのことでした。独特の文様が綿布に絹糸で全面刺繍された手作り作品で、完成まで長い時間のかかるものだと思いました。

 

21世紀美術館の次は観光としては最後になる尾山神社への参拝でした。尾山神社は加賀100万石を築き上げた藩祖の前田利家を祀った神社です。その神社の山門が独特です。3階建てですが、3階は色鮮やかなステンドグラスで飾られていました。このような建物を江戸時代に立てたことにビックリしました。拝殿でお参りしたあとはベンチで一休みです。

 

境内には前田利家の銅像と横には石に彫られた奥様のまつの像が設置されていました。ふたりの像を見ていて以前NHKの大河ドラマで放映された『利家とまつ』を思い出しました。境内の赤や白の梅の花は咲きだしたばかりでした。銅像が立っている後ろには池が造られており中島まで渡ることができましたので、大きな真鯉や錦鯉が泳ぐ池の周りを散策し築山に登ったあと近江町市場に向かいました。

 

前田利家を祀ってある尾山神社山門と境内に建つ前田利家像

 

 今回の旅行で訪れた場所は全て私が決めたところです。ツアー旅行と違いゆったりした時間でさまざまな観光地を回ることができ、とても満足しています。今回は金沢でしたが、また夫と私のスケジュールを調整してフリーのオリジナルな旅行に出かけたいと思っています。