百花繚乱・標高4000mのデオサイ高原
高山植物が咲き乱れるデオサイ高原
旅行日程4日目となった7月4日、私たちは高度順応をかねてデオサイ高原まで4輪駆動車4台に分乗しハイキングに出かけた。宿泊しているホテルから1時間ほど山道を走ったところでダムが現れ、その脇で写真撮影休憩となった。ダムはまだ建設中のようで人造湖の名前はサトパラ湖といい灌漑・水道用に使われるとのことだったが緑色の湖面は随分低く水が少なくなっていた。
その湖を過ぎると道路はますます険しくなる。道路は勿論、未舗装である。雪解け水が流れ込む渓流に沿って4輪駆動は駆け登っていくわけだが、道は狭く曲がりくねり、おまけに岩が崩れ落ち崖が崩れているところを運転手は巧みなハンドル操作で切り抜けていく。途中で崩れた道路を補修している人たちに何度となく出会う。「は〜ぃ」と声をかけると人なつっこい顔で「は〜ぃ」と答える。まるで山彦のようだ。道路の補修といってもセメントで復旧するのではなく、周りに無数に転がっている岩を積んで行っている。彼らの石積み技術は素晴らしいものである。いちおう真っ直ぐになるように糸線を張り、その糸に沿って岩を積んでいくわけだが、岩の隙間には小さな岩を詰めグラつきがないように積み上げていくのである。もうすぐトイレのある終点広場が見えたと思ったら4輪駆動車が数珠繋ぎに停車している。事故かなと思っていると直前に落石があり道路を岩が塞いでしまったため、その岩を取り除いているところだという。そういう道を駆け上がっていくと目的地の高山植物が咲き乱れているデオサイ高原に到着するのである。到着までスリルある2時間のドライブだった。
只今、落石処理中
高原に到着すると元気で陽気な大学生のグループがいた。そのなかの一人の女子学生は高山病になったらしく暫く石に座っていたが介助する女子学生の呼びかけにも反応しなくなりぐったりしてしまった。慌てたのは周りの学生たちで大声を出し彼女の名前を呼び口に水を含ませている。しばらくすると彼女は気を持ちなおしたようで呼びかけの声に反応し徐々に正気に戻っていった。高山病ならば、一旦、気は戻ったがなるべく早く標高の低い場所まで降ろした方がいいだろう。
私たちは1時間ばかり高度順応ハイキングに出発した。周りに見える山々はまだ雪を抱いている。通過してきた周りの山々も岩山であったが、ここだけが別世界のように感じられる。花が咲き乱れ青々とした草が伸びている。羊が放牧され実にのどかな風景である。これまでの岩ばかりの風景とは一線を画している。私たちはお花畑の中を歩いて行くのだがはっきりした道はない。草花を踏みつけないように注意しながら歩いて行くのである。昨年同じ7月にこの場所に来たツアーリーダーの堤さんの話によると「昨年は残雪が多く3km先からこの場所まで雪の中を歩いてきたので全く花は咲いていなかった。3年間で5回、この場所を訪れているが、今年が一番綺麗だ」とのこと。季節は同じであっても年ごとに降雪量やその後の気温が異なるので、私たちは今年のように百花繚乱の風景の中のハイキングを堪能でき誠に幸運に恵まれたと思った。
エーデルワイス、オキナグサ、ワスレナグサ、フウロ、
足元に咲いている花々は、白色、黄色、青色、桃色、紫色、赤色の、エーデルワイスの仲間、オキナグサの仲間、フウロの仲間、サクラソウの仲間、イワベンケイの仲間、ワスレナグサの仲間、アズマギクの仲間、ポピーの仲間、等々・・・凄い数の花々がびっしり咲いている。そのなかを歩いていくと、時たまヤギや牛や羊に出会ったりするのである。1時間ほど歩いて平らな大岩で食べた弁当のおにぎり、鳥の唐揚げ、マンゴージュースは、周りの緑の風景、遠くの雪を抱く峰々、咲き乱れる花々の上を渡ってくる風も快く、一層美味しく感じられたのである。