野鳥の静かなる弱肉強食の世界

 

草の上にいる鳥

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ダイサギがブラックバスの幼魚を捕らえた

 

 11月19日 土曜日 快晴

小春日和の暖かい日が続いている。お昼ご飯を食べたあと、午後の予定が空いたので花見川沿いを汐留橋までバードウォッチングに出かけた。柿が採られることもなくたわわに赤く熟している。私は今年も幕張中学校から100個ほどの渋柿をもらってきて干し柿をつくった。今が食べごろである。もう晩秋だ。

 

リンゴとオレンジ

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採られることもなくたわわに実る柿

 

ハゼ釣りをしている人がいた。釣り人は20歳代後半に見えた。偶然、釣れたので見ていると、ハゼをトングで掴み、口に掛かった釣り針を手で外そうとせずに、糸を引っ張って外そうとしていた。びっくり。釣りの基本動作が分かっていないようだった。いろんな人がいるもんだ。

 

水に浮かんでいる水鳥

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ダイサギがブラックバスの幼魚を捕らえた

 

ダイサギが狩りをしていた。鋭く伸びた細く黄色い嘴。黄色く爛々と輝く鋭い眼。白く長い首。スマートな白い身体。細く黒い脚。ほとんど動かずに足元に寄って来る小魚をじっと待っていた。標的が自分の狩場に行ってくると、そっと首を伸ばし一旦静止する。次の瞬間、静止していた首が勢いよく動き、水面に嘴を突っ込んだ。引き上げた嘴には獲物のブラックバスの幼魚がしっかり捕らえられていた。まばたきをする瞬間で獲物を捕らえたのだった。獲物はのたうち回っていたが、嘴から逃れられるすべはなかった。

 

鳥を口にくわえている水鳥

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獲物を狙うダイサギの鋭い眼

 

獲物を捕まえる瞬間を見るのはゾクゾクする。肉食の野生動物が生きていくために、強いものが弱いものを捕食するという自然の摂理が垣間見られたのだ。かわいそうだとか残酷などという問題とは別次元の自然の営みだ。毎日、自宅から5分の花見川で強いものが弱いものを食べるという行為が生命維持のために行われているのである。

 

木の枝に止まっている鳥

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今年育ったゴイサギの若鳥

 

3時間のバードウォッチングで出会った野鳥は、ヒヨドリ、オオバン、チュウサギ、アオサギ、スズメ、ゴイサギ、カワウ、ハシブトガラス、ダイサギ、ハシボソガラス、モズ、バン、オカヨシガモ、アオジ、コガモ、カルガモ、ドバト、ハクセキレイの18種だった。

 

赤い花が咲いている

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野鳥が集まってくるピラカンサの実

 

12月7日 水曜日 快晴

朝起きて外を見ると、辺り一面に霜が降りて真っ白だった。今朝はこの冬一番の冷え込みとかで8時半現在でも外温は4℃である。久しぶりに検見川浜までのバードウォッチングに出かけた。自転車で花見川沿いのサイクリングロードを海に向かって走ると、外気温が水温よりも低いために、川面から湯気のようものが舞い上がっていた。気嵐(けあらし)だった。北海道へタンチョウヅルの撮影に行った際に、−28℃で夜明けを迎えた時、気嵐のなかに佇むタンチョウヅルを撮影したが、幕張で気嵐を見たのは初めてだった。その気嵐のなかをオカヨシガモが1羽ゆうゆうと泳いでいた。

 

湖のそばの鳥

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花見川の水面に立ちのぼる気嵐

 

約400羽のカモの群れが花見川河口に集まっていた。双眼鏡で確認するとホシハジロ、スズガモ、オカヨシガモ、キンクロハジロなどだった。久しぶりにカモの大群を見た。最初のカモの群れから下流に300mほど離れたところには、300羽ほどのカモの混成群が浮かんでいた。朝の食事を終えて頭を翼のなかに突っ込んで寝ているカモが大半だった。冬鳥のカモたちがやってきたのだ。

 

水の中にいる水鳥

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カンムリカイツブリも泳いでいた

 

検見川浜に着いた。風がないため海は全くのベタ凪で、太陽の光を浴びて青く光っていた。遠くに白雪の富士山も確認できた。平日だが久しぶりの快晴のためか人出が多く、汀には1羽のカモもおらず、全て沖のほうに浮かんでいた。沖の方にカンムリカイツブリが5羽浮かんでいたが、距離が100mはあるので、望遠レンズで狙っても遠過ぎて写真として鮮明に写すことが出来なかった。カンムリカイツブリはときたまグェグェグェという鳴き声を上げて水に潜って小魚を探していた。青空から爆音が落ちてきたので見上げると習志野空挺団のヘリコプターだった。

 

水の中にいる鳥

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悠々と泳ぐウミアイサのメス

 

頭の部分を潜水させながら進んでいる鳥がいた。あいにく逆光のため羽の色が確認できなかった。嘴と首の形の特徴から判断してウミアイサと思われたが、特徴的な頭のぼさぼさの冠羽が水にぬれてペシャンコだった。家に帰ってパソコンで確認すると、ウミアイサのメスだった。ウミアイサも検見川浜にやってきていたのだ。

 

皇帝ダリアが大きな花を咲かせている

 

3時間のバードウォッチングで出会った野鳥は、スズメ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、アオサギ、チュウサギ、ドバト、スズガモ、オカヨシガモ、オナガ、カワウ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ユリカモメ、オオバン、ウグイス、カンムリカイツブリ、ウミアイサ、ハクセキレイの18種類だった。

 

 12月8日 木曜日 快晴

 

鷹に乗っている鳥

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獲物を探すチョウゲンボウ

 

ハクセキレイのつがいが畑で餌を探していたので近寄っていくと、鳩ぐらいの大きさの茶色い鳥が舞い上がり、近くの木の枝にとまった。なんだろうと近づいていくと、鷹の仲間のチョウゲンボウだった。50mほどの距離で写真を撮り、さらに近づいていくと飛び去ってしまった。チョウゲンボウの色はこげ茶色をしており、畑や田んぼの土が保護色となって全く見分けがつかない。飛び立ってみて、初めてその姿を確認できるのである。チョウゲンボウはどこに行ったのかわからなかったが、100mほど歩くと電線に留まっている姿が確認できた。撮影しながら20mほどに近づいた時に再び飛び去った。飛び去った先を確認すると電柱の天辺に留まっていた。

 

猛禽類の鳥

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電柱の天辺に留まったチョウゲンボウ

 

今回は3回のチョウゲンボウ撮影のチャンスがあった。撮り終わった後で液晶画面を確認すると少しブレているので、シャッタースピードを確認すると、なんと1/160秒に設定してあった。前夜、室内でカメラ確認のためにスピードを落としたままで、通常の野外撮影の1/2000秒に戻していなかったのである。600mm望遠レンズの手持ち撮影ではブレて当たり前である。初めて間近でチョウゲンボウを撮影できたチャンスだったのだが失敗だった。

 

水の中にいる鳥

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オオバン(左)とカンムリカイツブリ(右)

 

花見川の汐留橋近くにカンムリカイツブリが川面に浮かんでいた。昨日は検見川浜で5羽のカイツブリを確認したが、それとは別の個体と思われる。今日は単独で川の流れに浮かんでいた。

 

木の枝に止まっている鳥

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電線で休むチョウゲンボウ

 

バードウォッチングをしていて良いと思う点は、よく歩くので体力維持はもちろんのこと、自然の四季の移ろいを直接身体で感じることができることである。春夏秋冬の気温はもちろんだが、咲く花をはじめとした植物や出会う野鳥が季節を感じさせてくれるのである。

 

草の上にいる鳥

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耕作放棄地で餌を探すハシブトガラス

 

当然のこと冬に日本列島に渡ってくる冬鳥は春になれば北の地域へ帰ってしまう。それと入れ違うように南の地域からは夏鳥が渡ってくる。咲く花も順番に咲くことによって季節の移ろいを感じることができる。しかし最近は夏の花とされるアサガオが冬になっても咲き続けているのには違和感がある。今は12月中旬であるが、堤防の南斜面の土手では、早くもスイセンが咲き出している

 

草の上にある花

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早くもスイセンが咲き出している

 

3時間のバードウォッチングで出会った野鳥は、ハクセキレイ、チョウゲンボウ、ヒヨドリ、ハシボソガラス、コガモ、アオサギ、オオバン、スズメ、カワラヒワ、モズ、チュウサギ、カルガモ、ウグイス、シジュウカラ、カワウ、ドバト、カンムリカイツブリの17種類だった。

 

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