ひと突きの必殺技
ただいま食事中のアオサギ
12月15日 晴れ
アオサギは日本に棲むサギ類では最大である。広げた翼は160cmにもなる。そのアオサギが長い首を折りたたんで畦道を歩いていた。眼は鋭くなり首が伸び始めた。狙いを定めて一気に嘴を刺した。引き上げた嘴にはイナゴが挟まれていた。ひと突きの必殺技だった。アオサギと呼ばれているが、翼などは青い色をしておらず、見た感じでは全体的に灰色である。魚、昆虫、カエル、トカゲなど、水辺に棲む小生物を餌にしており、幕張では頻繁に出会う野鳥である。
カエデの紅葉も真っ盛り
関東地方で最後に紅葉の盛りを迎えるのが、気候が温暖な千葉県である。橙や赤や黄に色づいたカエデの紅葉も真っ盛りとなっている。落ち葉の上を歩くカサカサという乾いた音が耳に届くと、寒さも徐々に増してくる。
今シーズン初めてツグミを見た
今シーズンはツグミに出会っていないと思っていたところ、背を伸ばした独特の姿で枝に留まっているツグミに出会った。カメラで狙ったが100mの距離では遠すぎる。反対側から近づいていくと、ケケケッと鋭い警戒の声を発して飛び去った。枝に留まっていた1羽は見張り役で、近くから一斉に飛び去った数を合わせて6羽の群れだった。びっくり!北の国から渡ってきたばっかりだったのだ。群れはやがて1羽1羽に分かれて冬を越し、春になると再び群れを作って北の国へ帰っていく。ツグミは中型の野鳥で、私が子どものころは冬になると脂ののったスズメとともに、焼き鳥の定番として食べられていた。ヤキトリは50年間で、野鳥から豚の内臓(焼きトン)へ移り、更に現在の養鶏の焼き鳥へと変わっていった。
ウルシの葉が赤く色づいてきた
山が芽吹く早春の時季の山菜の王様はタラの芽だが、タラの芽とウルシの芽の外見はそっくりである。間違ってウルシの芽を獲ると、かぶれて酷いことになる。タラとウルシの見分け方は枝に棘が有るか無いかである。タラの木は棘が有るが、ウルシの木には棘が無い。棘に刺されながらタラの芽を獲り、天婦羅にすると抜群の酒のツマミとなり、山菜の王様と讃えられるのが納得できるのである。ウルシは晩秋に真っ赤に色づいて葉を落とす。
鋭いまなざしのゴイサギの若鳥
久しぶりにゴイサギに出会った。ゴイサギの若鳥が藪の生い茂る用水路の縁で佇んでいた。枯れ草が保護色になり、注意深く見ないと見落としてしまうだろう。ゴイサギは夜行性なので、日中に出会うことは稀な鳥である。お腹を空かせて獲物を探しに出てきたのだろうか。2時間後に同じ場所を確認したら、数m移動しただけで置物のように静かに佇んでいた。眼は相変わらず鋭かった、
地味〜な色彩のオカヨシガモのペア
今まで見たことがない地味なカモが波間に揺れていた。右側が雌で左側が雄だが、帰宅後に野鳥図鑑で調べることにして写真を撮った。自宅に戻り、調べるとオカヨシガモだった。日本野鳥の会の調査によれば、日本に渡ってくるマガモの1/100くらいの少ない個体数とのことだった。私は初めて見たカモだった。
2気筒型ボートでの釣り人
強化プラスティックの2気筒型ボートを操ってルアー釣りをしている人がいた。珍しいボートなので話しかけてみた。何を狙っているのか尋ねると、外来種のブラックバスを狙っている、との答えが返ってきた。花見川は手賀沼から東京湾に流れ出す放水路なので、手賀沼で繁殖しているブラックバスが花見川にも流れ出すのである。バードウォッチングで歩いていると、ルアーでの釣り人を度々見かけるが、釣果はほとんど挙がっていないようだ。東日本大震災における福島の第1原発事故以来、東京湾に流れ込む河川の中で残留放射能量が桁違いに多いのが花見川である。花見川で釣れる魚は食べることは出来ないが、釣り人はスポーツフィッシングとしての感覚を楽しむのだろう。私の子ども時代は釣った魚は必ず食べていたが、環境の変化とともに釣りも変わっていくものだ。
ただいま食事中のカワセミ
花見川沿いに棲息するカワセミの数は多い。1度のバードウォッチングで大体1羽と出会い、多いときは4、5羽の時もある。対岸の堰堤の上にカワセミが獲物をくわえて飛んできた。魚をくわえたまま首を2度3度振りながら魚を弱らせていた。カワセミにとっては随分大きな獲物で、丸のみにするには苦労するだろう。
ただいま食事中のヤマガラ
好奇心旺盛なヤマガラが食事中だった。ヤマガラで思い出すのは、故郷の中学校の用務員さんがヤマガラを飼っていたことだ。卒業記念誌の原稿を書くために用務員さんにインタビューした時に、ヤマガラが竹籠の中で元気に動いていた。餌はエゴの実だった。エゴは春に真っ白な可愛い花を咲かせ、秋になると固い実をつけた。暮れになるとモチ米で繭玉を作ってエゴの木の枝に刺して部屋に飾った。養蚕の出来が良くなるように、との願いを込めたものだった。エゴの木は皮を剥ぐと真っ白で、こけしを作る材料になった。57年も前の懐かしい思い出である。
ただいま食事中のマヒワ
マヒワが防風林と防砂林を兼ねて植林された黒松の松ぼっくりから実をほじくりだして食べていた。同じヒワの仲間のカワラヒワは1年中幕張に棲む留鳥だが、マヒワは冬鳥としてやってくる。カワラヒワの群れに混じって松の実を食べていた。
ただいま食事中のヒドリガモ
幕張の浜に行くとヒドリガモが食事中だった。アイガモの食事も「頭かくして尻かくさず」のスタイルだが、ヒドリガモの食事も同じだった。潮の満ち引きによって、餌の深さが変わるのでこのようなスタイルでの食事になるのだろう。潮が引いているときは簡単に食べられる餌場も、潮が満ちてくると深くなるので、逆立ち状態にならないと食べられないようだ。
イソヒヨドリの雄
イソヒヨドリの雄の姿を探していると、以前、雌の姿を確認した場所にいた。イソヒヨドリは縄張りを持っているので、雌がいれば雄がいるはずとの推理は当たった。雄の姿は海老茶と青色がかった灰色のツートンカラーで、雌の暗い灰色に比べると美しいと感じる。4月の恋の季節になると、雄は透き通った綺麗な声で愛の歌を歌い上げ、人間が聴いても感動する歌声である。
ただいま食事中のスズメ
スズメが黒松の実を食べていた。食事風景は頭を下にした実にアクロバティックな姿だ。どの野鳥もそうだが足の指でしっかりと枝を掴んで逆さにぶら下がることができる。その体勢で食事が出来る身体能力にびっくりする。スズメは雑穀類から小さな木の実まで何でも食べるが山奥には棲んでいない。スズメは人間が生活している近辺にしか棲まないのだ。高齢化や生活が不便などの理由で廃村となり人間が棲まなくなると、その地域からスズメも引っ越してしまうのである。
台風で倒された稲の収穫を放棄した田に2番穂が育つ
田んぼを見つめていたおじさんが、突然、横を通った私に向かって「この田んぼは2毛作ですか?」と訊いてきた。私は「いいえ。2毛作ではありません。ここを耕している方と話をしましたが、収穫期の稲が台風の強風で倒され、水浸しになったために収穫を放棄した、とのことでした。その後に出てきたのが今の2番穂です。両方ともスズメの餌になっています。もったいないですね。」と答えると、質問したおじさんも「本当にもったいないですね。」と言って自転車で去っていった。
台風で倒された稲の収穫を放棄した田に2番穂が育つ
おじさんがなぜ突然私に質問してきたのか分からなかったが、このように収穫されないまま放置された田んぼが外にもある。年配者が多い農家にとって、倒れて水に浸った稲を手刈りで収穫し、天日干しのあとに脱穀するのはとても大変なことで、機械化された現在の農業には、手作業の設備さえなくなっている。機械で刈り取れない場合は、収穫を放棄せざるをえないのが農家の実態である。