久しぶりに訪れた箱根彫刻の森美術館
ピカソ館
6月10日〜11日に箱根強羅温泉の『けやき荘』で小学校のクラス会が3年ぶりに開かれた。昭和35年度松井田町立西横野小学校の卒業生のクラス会だが、96人の卒業生はやはり地元の群馬県に生活基盤を持っている人が多い。従って群馬からクラス会に出席する人たちはマイクロバスで箱根まで出かけてくるが、私は千葉に住んでいるので現地集合で出席した。
現地集合はバスの到着見込みから15時としたので、それまでの時間を久しぶりに箱根の美術館巡りに当てようと考えた。ネットで探してみると『箱根彫刻の森美術館』『箱根美術館』『箱根写真美術館』『ポーラ美術館』『箱根ラリック美術館』『箱根ガラスの森美術館』『箱根マイセンアンティーク美術館』『成川美術館』と続々とヒットする。箱根には美術館が実に多い。温泉と避暑地、緑あふれる箱根という地理的環境が美術館を沢山建てさせたのであろう。
1日目は宿泊ホテルが強羅温泉なので、その近辺の美術館を選択すると『箱根彫刻の森美術館』『箱根美術館』『箱根写真美術館』が候補に挙がった。その中からピカソ館がある『箱根彫刻の森美術館』に入館することにした。『箱根彫刻の森美術館』には以前2回訪れたことがある。1回目は相模原ボランティア協会のレクリェーション担当をやっていた頃に障害者の方たちとの交流事業として企画したもので、2回目は私の子どもたちが小さいときに家族旅行に箱根を訪れたときだった。それから20数年の月日が経過していた。
広い美術館の敷地内に日本、あるいは世界の有名な彫刻家たちの作品が芝生の上や杉木立の下に展示されている。『箱根彫刻の森美術館』は野外美術館として日本で最初に開かれた美術館だという。置かれている作品たちが緑の葉に映えて自由さを謳歌しているように私には感じられる。私が好きな彫刻家である舟越保武の作品も勿論展示されている。舟越保武の作品として最も有名なのは秋田県田沢湖畔に立つ『たつこ姫』像であるが、彫刻の森美術館に立つ「道東の春」と題された像もそれに引けを取らないと思う。舟越作品の特徴は一目見て分かる清楚さが浮き立つ写実的な作品である。
次に好きなのは北村西望の像である。北村西望の代表的な作品は、長崎市の原爆投下地に作られた平和公園に、左手を水平に右手は空を指し堂々と座っている巨大な青年像であるが、箱根彫刻の森に展示されている「将軍の孫」という子ども像も印象深いものだ。誰かのおさがりであろうぶかぶかのズボンと靴を履き、無邪気に立っているこの子はどのように成長し、どのような人生をたどっていったのだろうかと思わざるを得ないが、戦争に巻き込まれ苦難の人生を送ったに違いないと私には感じられる。
私が美術館に到着したのは午前10時過ぎだった。1時間鑑賞した後、ちょっと休憩したくなったのでステンドグラスの「幸せをよぶシンフォニー彫刻館」の前の天然源泉掛け流しである足湯へ入った。緑に映える箱根の山々を眺めながら足元からゆったり温まる感覚は実に心地よくいいものである。空は雲が切れ徐々に青さを増してきた。山際もスッキリと見えて来ている。
このあとピカソ館と本館内展示をジックリ見たあと退館し、駅前の食堂でビールを飲みながら昼食を摂り、強羅公園まで坂道を歩いた。初めて訪れた強羅公園はフランス式整型庭園と言われており、綺麗に整備されていたのだが規模が小さいという印象を受けた。日曜日のせいか公園内には休憩する年配者の数が多いように感じた。私は暫く休憩しクラス会の開催される「けやき荘」へと向かった。