ごはんちょうだい
餌をねだる雛ツバメ
朝5時30分から早朝バードウォッチングに出た。三代王神社の森でアブラゼミとミンミンゼミが競い合って鳴いていた。真夏だ。同じ森からはハシボソガラスの鳴き声も聞こえ、雲ひとつない空は猛暑日になることを約束していた。今日のバードウォッチングの目的は、第1にツバメの雛が元気に育っているかどうかの確認。第2はキジの雛が育っているかどうかの確認である。
朝飯前のネギの土寄せ作業
農家の人は早起きである。7月下旬になると昼の日差しは強烈になる。農作業は起きぬけの6時には畑に出て、朝日を浴びながらの早朝作業となる。私も菜園作業があるときは、朝飯前に作業をしている。熱中症のこともあるが、昼は35℃を越え、暑すぎて作業にならないのである。バードウォッチングも同じである。歩いているだけでも、Tシャツは汗でびっしょりとなるのである。
白く星形をしたキンカンの花
冬になるとキンカンの実が黄色く色づく。そのキンカンの花は夏に咲く。星形の花はとてもスマートだ。おじいさんとおばあさんが耕している小さな畑の脇に、白い花をたくさん開かせている。来シーズンもおばあさんに挨拶をして、キンカンをたくさんいただこうと思う。
農薬撒布を希望しないオレンジの旗
田んぼの畔にオレンジの旗が立っていた。近寄って確認すると、千葉市植物防疫協会の名前で「こちらの水田は撒布申し込みがないため、農薬撒布除外田となっています。撒布を希望する場合、7月20日ころまでに、下記の連絡先までお電話ください」と書かれていた。以前の農薬撒布は有人ヘリコプターによる地区ごとの大量撒布であったが、健康志向の高まりもあって、消費者が無農薬栽培を求めるようになり、現在はリモコン操作による農薬撒布ヘリコプターによって、農薬撒布が田んぼ1枚ごとに出来るようになっている。そのため農薬撒布を希望しない農家は、協会に連絡しないことになる。
千葉市植物防疫協会の旗
オレンジの旗はあちこちの田んぼに立っていた。消費者に農薬撒布をしない安全なコメを渡したい、という農家が増えてきている。その結果、田んぼの周りに昆虫をはじめとした生き物が増え、それを餌にする野鳥や爬虫類や両生類などの多様な生き物が増えている。
稲は生長し、穂が出始めたものもある
稲はすっかり生長し、穂が出始めた株も見られる。稲田の中からカルガモの鳴き声が耳に届くが、姿は見えない。真夏になってもホーホケキョのウグイスの囀りが耳に届く。繁殖期にパートナーガ見つからずに外れたオスの囀りである。俳句の世界では老いた鶯=「老鶯」という夏の季語となっている。
ハクセキレイのつがい(若鳥)
ハクセキレイの若鳥のつがいが、畑の不織布トンネルの上で私を見ていた。私とハクセキレイが、しばらく見合っているところに、軽トラを運転したおばあさんが農作業にやってきた。時刻は6時10分である。農家の人は働き者が多い。あちこちの畑や田んぼで早朝作業をする人たちに出会う。
朝露はつかの間の命として消えていく
スギナについた朝露が小さな丸い魂となり、朝日を浴びて真っ白に輝いていた。太陽が上がり徐々に熱量が高まると、朝露はつかの間の命として消えていく。朝のひとときだけに宿る命である。儚く消えていくからこそ美しいのだろう。早朝バードウォッチングに出るたびに朝露の儚さを感じる。
雛に餌を与える親ツバメ
ツバメが巣を掛けている家に向かい、その後の巣の状況を確認してみた。前回巣を覗いたのは半月前で、親ツバメが卵を温めていた。巣の中に雛の姿があり、雛の数は3羽確認できた。私は親鳥が餌を運んでくるのを待っていたが、30分待って1回だけだった。普段は5分から10分で餌を運んでくるのだが、私が巣から5mほどの位置にいたので、親鳥が警戒して餌を運んでこなかったようだ。雛にとって悪いことをしてしまった。
除草剤を撒布中の農家の人
農道に軽トラを停めて、プラスチック缶に水を入れている人がいたので、「野菜の水やりですか?」と尋ねた。「除草剤です」という答えが返ってきた。私は除草剤撒布には反対だが、今の時期はちょっと油断すると、一気に草が伸びるので、除草に人手が足りないのだろうと思った。撒いている除草剤はグリホエースというものだった。除草剤を水で希釈し、噴霧器で撒布していたのである。その人が除草剤を撒いている耕作放棄地はキジのオスが佇んでいた場所だった。
コチドリが睨んできた
ピョーィという甲高い鳴き声を発してコチドリが畑で餌を探していた。通常、コチドリは水辺に棲む鳥なので、水の張った田んぼでは見かけることがあるのだが、乾燥した畑で見るのは初めてだった。黄色のアイリングのついた眼で、きつく睨まれてしまった。
畦道を草刈り中
1週間ほど前のことである。同じマンションに住んでいる方から「岩井さん。セミが鳴きだしましたね」と挨拶された時に、私は「???」という感覚だった。考えてみると山に入れば5月からエゾハルゼミの大合唱に包まれていたので、幕張でセミが鳴きだしたことに鈍感になっていたのである。セミは種類によって鳴きだす順番があり、最初にニイニイゼミが鳴きだし、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシと続き、最後にツクツクホウシになるのだが、
最近はこれに北から南下したエゾハルゼミが先陣を切り、南から北上するクマゼミが参戦する状況になっている。セミの世界もあわただしい。
耕作放棄地を歩くキジのオス
キジの棲む耕作放棄地は藪が生い茂り、キジの姿を覆い隠している。折り返し点まで行くときには、キジの姿は確認できなかったが、帰りに寄ってみるとキジのオスが耕作放棄地の脇に出ていたのである。オスのそばにはメスも雛の姿もなかった。オスはしばらく休んでいたが、やがて立ち上がり藪の中へと姿を消してしまった。
ジョロウグモの棲み家は朝日に輝いていた
主人公は同心円に作られたの家の真ん中に棲んでいる。棲み家は朝日に照らされ輝いていた。その主人公は下を向いて来訪者を静かに待っていた。来訪者があると微かな振動が主人公に伝わり、一気に走り寄って尻から出す糸で絡め取る。来訪者は、2度とその家から出ることはできなかった。来訪者は主人公の何日ぶりかの食事となるのだった。主人公の名前を女郎蜘蛛という。女郎蜘蛛の棲み家が太陽に照らされて輝いていた。
翼を広げて乾かすカワウの若鳥
ツバメが花見川の水面すれすれを飛びながら水を嘴ですくいながら飲んでいる。ツバメは餌を捕えるのも飛びながらだが、水を飲むのも飛びながらなのである。凄い特技だと思う。水路のコンクリートブロックの上でカワウが翼を広げ、太陽に当てて乾かしていた。野鳥が水あび後に羽づくろいをするのは、どの野鳥でも度々見かけるが、翼を広げて乾かすという動作をするのはウの仲間だけだろう。
カルガモの家族
朝日を浴びながらカルガモの家族が花見川の水面を泳いでいた。今年生まれた若鳥を含めての家族だろう。子どもたちもすっかり大きくなり、親ガモと同じ大きさに育った。ここまで元気に育ったことに拍手を送りたい。
雛に餌を与える親ツバメ
今回のバードウォッチングの目的のうち、1番目のツバメの雛の状況確認は、雛が元気に育っていることが確認できた。2番目のキジの雛の確認はできなかった。雛が生まれていればメスと一緒にいるのだが、出会うのはなかなか難しいと思う。出会うには早朝バードウォッチングに数多く出かける以外に方法はないと思う。