冬鳥たちは、まだ渡ってこない
カモメの着水
10月2日 晴れ
久しぶりに海までのバードウォッチングである。台風16号が太平洋上を東に抜けたので、台風一過の雲ひとつない快晴である。花見川沿いを検見川の浜まで歩いてみたが、まだ冬鳥として渡ってくるカモ類たちを一度も見ることができなかった。出あったのは花見川沿いに一年を通して棲んでいる留鳥と呼ばれているハシブトガラス、キジバト、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメ、モズなどだった。久しぶりに冬鳥のカモたちに会えると思ってやってきたのだが、まだ時期が早いらしい。あとひと月もすればやってくるのだろう。
白い頭のミサゴが捕まえた魚を食べていた
しかし、今回初めて出会った鳥がいた。ミサゴである。白い頭のミサゴが防波堤突端の簡易灯台のてっぺんで捕まえた魚を食べていたのである。ミサゴはトビに似ているが、頭が焦げ茶色のトビと違い、頭が白いので見分けがつく。おもに魚を食べる大型のタカで、この時も魚を食べていた。私との距離は300mほどあり、600mm望遠レンズでねらってみたが距離が遠すぎた。
日よけテントでのんびりと
穏やかな土曜日である。快晴の下で防波堤の上で投げ釣りをしている人たちがいる。釣り人の数は10人だった。汀でランニングをしている人が見える。恋人たちが手をつないで歩いている。スタンディングサーファーが楽しんでいる。自転車にテントを積み込んでやってきた若者が、草はらの上にテントを立ち上げ、のんびり海を見ている。富士山は見えなかったが、房総の山やまがうっすら見え、東京タワーやスカイツリー、京葉工業地帯の煙突も見えた。子どもの歓声が聞こえた。草はらを駆けずり回っているのだ。実にのどかな風景である。
子どもは無邪気だ
草はらを走り回って遊んでいた二人の子どもが海に入って遊びだした。歓声をあげ、楽しそうな笑顔がこぼれている。親は投げ釣りをしているようだ。時たまお母さんが、深いほうには行かないでね、と注意をしている声が耳に届いた。子どもたちは静かな波のない海を十分楽しんでいるようだった。
スタンディングサーファーの初心者
私は草はらに座りジェットボイルでお湯を沸かしラーメンを作った。缶ビールの栓を開け、ナッツ、ソーセージ、チーズをつまみに飲みだした。海で遊ぶ人たちを眺めながらくつろいでいると、汀の近くで練習をしているサーファーは腰が引けている。いわゆるへっぴり腰スタイルで、パドル操作もおぼつかないような人も見受けられる、徐々に腕を上げ、やがて防波堤の外へと出かけるのだろう。
スタンディングサーファーの講習会が始まった
スタンディングサーファーは13人に増え、続々集まってきているようだった。それを遠くから眺めていると、あまり上手い人はおらず、練習を始めたばかりの人のように見えた。防波堤を越えて出かけていく姿もたまに見受けられるが、そちらはパドルさばきがうまい。やけに人数が増えたなあと思ったら、女性インストラクターの声が聞こえてきた。スタンディングサーファーの講習会が始まったのである。講習会は30分ほど続いた。
立ち入り禁止の防波堤で休むカモメたち
防波堤からの落下防止柵が古くなっているため、防波堤の先端まで行くことが禁止されている。日中はその禁止されている柵を乗り越えていく人はいないが、夜になると夜陰に紛れ込んで夜釣りの人たちがその通行禁止の柵を乗り越えているのが度々テレビ報道されている。事故も毎年起きており、溺死者が出ている。しかし日中はそのような人はおらず、防波堤の先端はカモメたちの天国である。数100羽と思われるカモメたちが羽を休めていた。
セイタカアワダチソウが秋の日の光を浴びて満開だった
10月15日 晴れ
久しぶりに花見川沿いを亥鼻橋までの往復バードウォッチングに出かけた。距離は5km。予定は3時間だった。果たして北の国からやってくる冬鳥に出会うことができるだろうか。帰化植物のセイタカアワダチソウが秋の日の光を浴びて、思いっきり黄色い花を開かせていた。カンナの赤い花も元気だった。周りからモズの縄張りを主張する「キキキキ」という高鳴きが聞こえてきていた。
桜並木はすっかり葉を落とした
花見川沿いの桜並木はすっかり葉を落としてしまい、冬の準備が終わったようだった。「キィキィキィキィ」という自転車のブレーキのような鳴き声を発しながらカワセミが飛んできて塩化ビニールの筒の上に留まった。緑色の翼と胸の朱色が鮮やかだ。10分ほど水面を凝視していたが、魚影を確認することができずに飛び去った。久しぶりのカワセミとの出会いだった。
小さいながらジュウガツザクラが咲いていた
コジュケイの鳴き声が林の中から届く。久しぶりに聞く鳴き声だった。千本桜公園によってみるとジュウガツザクラが咲いていた。春に咲く桜に比べて花が小さい。気温の関係だろう。ちまちましている花を見ていると、犬でたとえるならばチンのようだ。そのジュウガツザクラが花は小さいながらも、青空の下で胸を張って自慢げに咲いているように感じられた。今日は冬鳥に出会うことを期待してバードウォッチングに出かけたのだが、冬鳥を1種類も見ることがなかった。まだこのあたりには冬鳥がやってきていないようだった。