まだ冬鳥は少なかった

 

草の上にいる水鳥

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獲物を丸のみにするダイサギ

 

 10月11日 水曜日 曇り

肺炎球菌の予防接種を終えて家を出たのは9時半だった。花見川沿いを上流方向に向かって花島公園までのハードウォッチングに出たのだった。天気予報では晴れとなっていたが、空のほとんどが雲に覆われており肌寒い気温だった。

 

アオサギは『君たちはどう生きるか』のポスターになった

 

最初に出会ったのはアオサギだった。宮崎駿監督のアニメ最新作『君たちはどう生きるか』の映画ポスターがアオサギのデザインである。映画はクローズアップされたアオサギの鋭い目だけのポスターが公表されただけで、事前PRは一切なしで封切を迎えるという謎の映画だった。封切りの日に映画を見に行ったのだが、ストーリーがよく分からなくて、最後の最後になって「君はどう生きるか」を突きつけられた主人公が、生きるのが厳しい現実の世界へと戻り、困難を克服して生きていくという主題が表現されていたと思った。宮崎駿監督の作品は、いつも突拍子もない設定で相変わらずよくわからない映画だった。

 

ヒョウモンチョウが長い口吻で蜜を吸っていた

 

コセンダングサの小さく黄色の花にヒョウモンチョウがやってきて蜜を吸っていた。口から長い口吻を出して花の中に差し込み、蜜を吸っていたのである。口吻を花から抜くと、くるくるっとぜんまいのように巻き上がって口の中に戻るのである。小さなチョウにも生きていくための素晴らしい機能が付いているのである。よくできているものだと思った。

 

木の枝に止まっている鳥

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モズが縄張り争いの空中戦をしていた

 

木にからまったカラスウリが橙色に色づき、耕作放棄地ではガマの穂が焦げ茶色に変わり、黄色の花をつけたセイタカアワダチソウが元気に花を咲かせ、モズのチューンチューン・キチキチという縄張り宣言の高鳴きが聞こえてきた。モズは早々と自分のテリトリーを確保しているのであろう。自分の縄張りに入ってきたオスを追い出すために空中戦があちこちで繰り広げられていた。中には3羽4羽が絡み合いながらの空中戦もあった。モズの高鳴きはいたるところから聞こえ、あちこちで空中戦が繰り広げられていた。

 

ひまわりの花

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キクイモの蜜を吸うミツバチ

 

黄色いキクイモの花芯に止まってミツバチが盛んに蜜を吸い花粉を集めていた。花見川の土手には真っ赤なカンナの花が一斉に咲き出した。カンナは実にしぶとい花で、堤防を管理する方たちが草刈り機で全て刈っても再び伸びてくる。実にしぶとくたくましい植物だと思う。コオロギが草かげからリリリ、リリリと鳴き声を出していた。虫の声を聴くと、やはり秋がやってきていることを実感する。

 

茂みの中にいる

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今年も耕作放棄地が増えた

 

今年も耕作放棄地がずいぶん増えた。ロシアのウクライナ侵攻によって化学肥料が高騰し、おまけに農業従事者の高齢化と相まって畑や田んぼの耕作を放棄する人が続出している。幕張地区も2、3年前までは綺麗に田んぼや畑が作られていた場所も今や草茫々である。もったいないとは思うが農業をする身にとっては耕作を放棄せざるをえず、仕方のないことである。あぜ道を歩くとバッタは見かけるのだがイナゴはいない。稲を作っていないからである。

 

茂みの中にいる

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歩くのも困難なあぜ道

 

春に歩けたあぜ道が半年で草が生い茂り、歩くのも困難な状態になっていた。草の生命力は素晴らしいものだ。その草をかき分けかき分け進んでいくうちに、半袖から出ていた腕がずいぶん蚊やブヨに刺されていた。痒くて仕方がなかった。

 

草の上にいる水鳥

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小魚を捕えたダイサギの食事

 

花見川にはカモ類などの冬鳥はまだ少ない。ダイサギが向こう岸に舞い降りた。首を伸ばして狩りをする体勢に入ったので、レンズを向けると1分と経たないうちに獲物を捕えた。サギ類は全て獲物を丸呑みにする。弱肉強食の世界が眼の前でくり広げられている。

 

花が咲いた枝

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季節外れに咲くサクラ

 

花見川沿いの土手に植えられ、葉がすっかり落ちて丸裸になった桜の木に季節外れの白い花が一輪咲いていた。時期外れの花は綺麗で清楚の花に感じられた。最初は1輪だけが目に止まったのだが、桜並木の木を注意深く眺めていると、次々に花が咲いているのが見られた。枝の先端に若葉を出しながら花を咲かせている枝もある。花は必ず枝の先端に咲いている。ここの桜並木は1kmの距離があるのだが、植えられたほとんどの木に1輪あるいは2輪の花が咲いていたのである。

 

紫の花が咲いている植物

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大輪のアサガオが咲いていた

 

私の家の庭で咲いているアサガオの花よりも2倍も3倍もの大きさの大輪の花を咲かせているアサガオが咲いていた。青紫色の大きな花である。アキアカネが10月中旬ともなると涼しい高原から里に降りてきた。歩道の脇に立っている鉄パイプの先端に止まって休んでいた。横の藪のなかでウグイスが地鳴きをしていたが、姿を確認することはできなかった。やはり巣作りの時に梢の先端で美声の鳴き声を自慢するときに、スマートな姿を確認できるまで待つしかないだろう。

 

動物, スパイダー, 凧, 虫 が含まれている画像

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クモは網の振動で獲物か否かを判断する

 

ジョロウグモが巣網の真んなかに陣取って獲物が網にかかるのを待っていた。私は枝を使って網を揺らしてみると、クモはすぐさま振動先に移動した。実に素早い動きである。クモは網の震動によって獲物が網にかかったのを判断するのである。ジョロウグモは私が枝で網を揺らしたため獲物がかかったと思い移動したが、違うことが分かると元の位置に戻ったのである。獲物の場合は尻から出す糸でくるみ、獲物を動かないようにしてから獲物の体液を吸うのである。結構、クモも賢いのである。

 

花にとまる蝶

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キイロスズメバチが蜜を吸っていた

 

 キイロスズメバチがアレチウリの花の蜜を吸っていた。アレチウリは蔓性の外来種であり、花見川の土手に勢力を広げている。そのアレチウリの花の蜜を求めて、キイロスズメバチがやってきていた。私がカメラを向けていると、大きな羽音をたてながら私のすぐそばに飛んでくるのだが、静かにしていれば刺されることはない。先日、トレイルレースの参加者42人がスズメバチに刺されたニュースがあったが、巣の側を大勢のランナーが走ったことにより、スズメバチが巣を攻撃されると思い、防御のためにランナーを刺したのである。

 

草の上にあるバイク

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神場公園でウイスキーの水割りを一杯

 

私のバードウォッチングは、野鳥だけを観察するのではなく、四季おりおりに足元に咲いている花や、その花に集まるチョウやハチなどを含めて、自然全体を観察することを目的としている。当初の予定では花島公園までのバードウォッチングを考えていたが、冬鳥に出会わないので、途中の神場公園で折り返すことにした。薄日が差す神場公園のベンチに座り、ジェットボイルでお湯を沸かしてラーメンを作り、サバ缶をつまみにウイスキーの水割りを飲んだ。周りからは絶え間なく暴れん坊で鳥仲間からは嫌われ者のヒヨドリの騒がしい鳴き声が耳に届いていた。

 

水の中にいる鳥

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泳ぎながら翼を乾かすカワウ

 

今回出会った野鳥は、ヒヨドリ、アオサギ、チョウゲンボウ、ハシブトガラス、ハクセキレイ、スズメ、モズ、カワウ、ドバト、ダイサギ、 カルガモ、コサギ、ウグイス、オオバン、カイツブリの15種類で、オオバン、カイツブリを除いて、他は全て一年中周りにいる留鳥だった。

 

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