芙蓉峰『富士山の四季』写真展を見に行く
オオハクチョウ飛ぶ
昨年末、ネパールのアンナプルナ・トレッキングに一緒に出かけた山友達から「フォト芙蓉峰 第15回写真展『富士山の四季』」の案内状が届いた。開催場所は柏市中央公民館で、日時は2016年1月11日〜17日だった。案内状に印刷されている写真は市川市里見公園から撮影した茜色に染まった夕焼け空と富士山に沈む太陽、ライトアップで輝きだしたスカイツリーと街並みが写し取られたものだった。
年が明けて写真展の葉書が届いていたことを思い出し、私のスケジュールが空いた1月14日に展覧会場に足を運んだ。私の住む幕張からは船橋駅でJRから東武野田線に乗り換えると1時間で柏市中央公民館3階美術サロンに到着した。初めて訪ねる会場だったが事前に場所を確認しておいたので迷うことはなかった。会場に到着したのが10時開場すぐだったため受付で記帳したのは2番目の早さだった。
私は今回のような富士山に特化した写真展があるのを初めて知った。会場には62点の作品が展示されていた。富士山が“芙蓉峰(フヨウホウ)”と呼ばれる由来を調べてみると、富士山の別名・異称・雅称との記載はあるが、なぜそのように呼ばれているのかという由来そのものは分からなかったが、『日本山岳ルーツ大辞典』では複数の別名を挙げ、“いずれも二つとない神秘的で美しい山という意味がこめられる。”と記されているとのことだった。
62点の作品を一つひとつ見ていった。富士山の構図として裾野まで入れたものと、山頂部に焦点をあわせてあるものと2種類あったが、私は葛飾北斎の『富嶽三十六景』や歌川広重の『東海道五十三次』の例を引くまでもなく裾野までいれた伸び伸びとした構図が好きだ。
62点の中で、いい写真だなぁと感じたのは、
占部俊和さんの「木立昇陽」と「山の朝」、川井美代子さんの「暮色」、高森正己さんの「暁」、田所猛さんの「明け方の赤富士」、の5点で、
永井直さんの「オオハクチョウ飛ぶ」と「龍棲む頂」、町田晴一さんの「星の大輪」は童話の世界のようで心が温まる感じがした。
いずれの写真も構図は裾野まで拡がる伸び伸びとしたものである。
山友達の石間さんの作品「雲海」と「小春日和」
山友達の石間さんは10月に撮影した「雲海」と11月に撮影した「小春日和」の2点を展示していた。いずれも裾野まで入れた伸び伸びとした構図だった。私は「雲海」のほうがいいと思った。石間さんは今回の2点は裾野まで入れた作品だが、山頂部に焦点を当てた作品も撮っているとのことだった。田所猛さんの忍野村から撮影したという「明け方の赤富士」も裾野まで撮りいれた伸び伸びとしたもので、葛飾北斎の絵を彷彿させる構図で富士山の雄大さが表現されていると思った。
明け方の赤富士
作品を2度3度とゆっくり鑑賞していると、作品を展示している方たちが会場に集まってきて雑談の声が耳に入ってきた。15年も続けていると会員も高齢化になり若い人が中々入ってこないし、各個人が撮影機材は重く感じるし目はかすむし早朝や夜間の撮影がきつくなった、というぼやきの声だった。確かに会場の受付担当の方も集まってきている会員の方たちも私より高齢の方々と思われたが、自分の趣味を年1回とはいえ発表できる場を持っているのだから、ぼやくことなく他人と比べることなどもせずに自分の趣味を楽しんでいけたらいいのではないかと思った。