気分は最高!黄金崎不老不死温泉
開放感いっぱいの不老不死温泉
5/19〜5/21にかけて青森県白神に出かけていった。世界自然遺産に登録されている白神山地をこの目で見るのが目的であった。当然、白神岳登山も計画の中に含まれていたが、現地に到着して末丸旅館の人と話していると「4日前に白神岳に出かけた人は雪が多すぎて途中で帰ってきましたよ」との情報を教えてくれた。今年の冬は記録的な大雪だったのを思い出す。私は安全登山を目標の第1にしているので白神岳登山はあっさりと次回に回し2日目は温泉入浴に切替えた。
目的の温泉は、以前からTV番組の温泉紀行などで取り上げられていた青森県西津軽郡深浦町の「黄金崎不老不死温泉」とした。最寄の駅は五能線の艪作(へなし)である。時刻表を見れば1日の列車時刻は上り、下りともに8本。そのうち快速「リゾートしらかみ」がそれぞれ3本を占めており、5本が各駅停車である。1日に数本というローカル単線で1本乗り損じると2〜3時間待つのを覚悟しなければならない。このユックリズムが田舎の魅力でもあるのだが、山手線など2〜3分おきに発車している都会の交通事情からは考えられないノンビリさである。
私は列車がワンマンカーのために無人の陸奥岩崎駅から乗車し、なぜか車掌さんが乗っていたので車内で切符を買い、その場で切符を車掌さんに渡し無人の艪作駅で下車した。駅前はガラーンとしており温泉までの案内地図も掲示されていない。駅前の雑貨屋で荷卸しをしていた人に道を尋ねると「電話をすれば温泉の人が迎えに来てくれますよ。歩くと10分ほどかかります」とのこと。早速、携帯電話で連絡を取ると20代の青年がすぐ迎えに来てくれた。たとえお客が一人でも、すぐに迎えに出てくるというお客様第1主義がサービス業としての成功の必須条件であることを教えてくれる。迎えに来た青年も感じのいい青年であった。
車で走ること2〜3分で目的地の「黄金崎不老不死温泉」本館前に到着である。玄関を入って日帰り入浴券を600円で購入しフロントで受付を済ませると、「露天風呂は海岸へ歩いて2分です」と風呂の方向を教えてくれた。キャラバンシューズをサンダルに履き替えただけでディバックを背に露天風呂へ向かう。途中で入浴帰りの浴衣の女性客1人に出会うが到着した露天風呂には男性風呂にも女性風呂にも人影はなかった。
「不老不死温泉」のパンフレットには次のように書かれている。
極上の開放感にひたる。日本海が目の前に広がる。海岸と一体化した絶景の露天風呂に浸りながら遠い水平線をながめて潮騒に耳をかたむければ、心にしみいる感動とくつろぎのひとときをお楽しみいただけます。名物の海辺の露天風呂は日本海に面し、潮風をうけながら、美しい夕陽を眺めながらの入浴が楽しめます」
男性風呂は混浴になっており瓢箪の形をしている。女性風呂は小さく丸い形をしておりヨシヅで囲って周りからの視線を遮断してある。お湯の味は塩っぽく、色は鉄分を含んだ茶色である。源泉は熱いので水で薄めていると内湯に書いてあったが、入った感じでは熱くもなく温くもなく丁度いい湯加減であった。天気は雲ひとつなく晴れ上がった快晴であり、眼前に広がる日本海は青くどこまでも拡がっており、頭上ではウミネコが舞い、沖には白く大きな客船が滑るようにベタ凪のなかを東に移動していく。実にノンビリした時間が流れていく。
起伏に富んだ海岸線
20分ほど湯に浸かっていると観光客が10人ほど現れ、そのうち2人が湯を見に入ってきた。折角なので写真を1枚写してもらった。更に10分ほどたつと千葉から自動車でやって来たという3人組みが現れ、あれこれ世間話の後、お互いのデジカメで写真を撮りあった。実に愉快な3人組であった。
露天風呂で1時間ほど過ごして上がり湯に本館の内湯に入ったが、こちらのほうが湯は熱かった。湯に浸かりすぎたのか頭がボーッとしてきたので、自動販売機でビールを2本買い込んで2階の大広間で休憩する。前客は3人なのでのんびりとパンフレットなどを見ながらビールで喉を潤す。実にいい気持ちだ。
大広間で大の字になって暫く休んだ後、海岸線をウォーキングで隣のウェスパ椿山までノンビリ歩いた。季節がら蕗を採っている人にたびたび出会った。春を感じさせてくれる一瞬である。海岸線は起伏に富み綺麗な景勝地である。時折、ベンチがおいてある休憩所に出会う。ゆっくり1時間ほど歩いて海岸に下りていくと波打ち際の石は丸いのが多い。手ごろな丸石を3個ディバックに放り込み椿山に登って行った。椿山は自生する椿の北限地とかで民俗学者の柳田國男によって広く紹介されたと説明板に書かれてあり、椿山の頂上には椿神社が祀られていた。神社の横に時季はずれに真紅の花をつけた木が生えており、見晴らしのいい場所のようなので行ってみると、足元はスッパリ切れ落ちた断崖なので下を覗くとあまりいい気持ちではないが眼前に拡がる日本海は雄大だった。