船橋・三番瀬の野鳥を見に行く(6)
ダイゼンと食事中のハマシギ
4月26日 晴れ
久しぶりに船橋三番瀬に出かけた。7時半から撮影を開始するが、その時に干潟にいた野鳥観察・撮影の人たちは13人。貝掘りの人が2人だった。今日の最大干潮時刻は8時57分だった。船橋海浜公園の潮干狩り会場は第1から第4の看板が掲げられ、それぞれの会場の入り口にはネットが張られて中に入れないようになっていた。2日後から潮干狩り場がオープン予定である。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大によって閉鎖された、と船橋海浜公園関係者から聞いた。千葉県内は5市で「蔓延防止等重点措置」が指定されており、船橋市も対象となっている。東京都は緊急事態宣言発令の対象となるが、船橋市の対応はどうなるのだろうか。
メダイチドリのつがい・雄(右)と雌(左)
双眼鏡で広がっている干潟にいる野鳥の状況を確認すると、東堤防側には野鳥はいなかった。野鳥がいたのは中央部と西堤防側だった。観察・撮影者は中央部に集まっていた。私も中央部から撮影を開始することにした。最初に撮影したのはダイゼンだった。2週間前までは潮干狩り場の柵内に入れたのだが、今は入ることができなくなったので、野鳥との距離が遠くなってしまった。野鳥たちは人間が近づけないために、安心してゆったりした気分で餌を探しているようだった。
食事中のオオソリハシシギ
オオソリハシシギの嘴も立派である。根元のほうが淡い肌色をしており、先に行くにしたがって黒みを帯び、反りかえっている。この嘴で干潟の砂の中に潜んでいるゴカイや甲殻類などを捕食するのだが、身体が大きいゆえに嘴も長く伸びたのであろう。オオソリハシシギの嘴は上側に反りかえっているが、ダイシャクシギは反対に下側に反りかえっている。上側と下側ではどちらが獲物を捕獲するのに都合がいいのだろうか。
オオソリハシシギ(左)とオオハシシギ(右)
私は8時30分に撮影を終了した。それからは貝堀りだった。大量にシオフキガイが獲れた。ホンビノスガイや大きなハマグリも含まれていた。私が貝掘りを終えた時の野鳥観察・撮影者は17人だった。帰宅後に貝を数えたら250個あった。蒸してから砂を洗い、半分は炊き込みご飯に、半分はネギと一緒に天婦羅にして食べた。とても美味しかった。
撮影スタッフと野鳥撮影者
いつものように草はらでいっぱいやっていると、6人の撮影グループがやってきた。船橋市のCATVだろうと思って見ていると、干潟を掘り始めた。2日後に三番瀬の潮干狩り会場がオープンするので、事前PR用の映像を取りに来たのだろうと思われた。その後を確認しているとスタッフの1人が着ているジャンバーは見覚えのある海浜公園関係者のものだった。
マテガイ掘りのカップルだが、収穫は無かった
若いカップルがプラスチックのバケツを持って干潟の方に歩いて行った。貝堀りに違いないのだが、双眼鏡で掘り方を確認すると、右手に移植ごて、左手に食塩を持っているので、マテガイを掘っているのだった。しばらく見ていたが収穫は0だった。三番瀬に赤潮が発生し、マテガイが全滅したという記事を読んだことがあり、今は小さなマテガイしか生息していないのであろう。私もやってみたが、マテガイの棲む穴を見つけるのが難しく、収穫は0だった。
船橋海浜公園・潮干狩り第4会場
今回も2羽のダイシャクシギが干潟に舞い降りた。写真を撮ろうと思ったが、潮干狩り会場の柵内に降りたので、近づいて行けなかった。しばらくすると飛び去ってしまった。
12日目
三番瀬の潮干狩り場がオープンした。潮干狩り場は公益財団が運営しているため、月曜日が休みとなっている。その休みの月曜日と潮見表を照らし合わせて、野鳥観察・撮影に三番瀬に出かけている。潮干狩り客がいない静かな干潟で野鳥を見るためである。今日は大潮で最大干潮時刻は10時52分だった。
三番瀬からの富士山の眺め
7時に自宅を出た。昨夜雨が降ったため今朝は気温が低かった。むしろ肌寒い感じがした。三番瀬に到着したのは8時10分だった。気温も上がり絶好のコンディションとなっていた。雲ひとつない快晴で実に清々しい。葛西臨海公園の観覧車の上に雪化粧の富士山が見えた。昨夜の雨と今朝の冷え込みが、富士山をより一層美しく見せてくれていた。
ダイシャクシギと似ているホウロクシギ
干潟では既に6人のカメラマンが撮影をしていた。見慣れないシギがいたので、隣で双眼鏡を持って観察している人に尋ねた。彼はホウロクシギだと教えてくれた。ダイシャクシギとホウロクシギの違いは胸の色だという。ホウロクシギは東アジアでは日本でしか確認できていない、とのことだった。私はダイゼンとムラグロが判別できるかどうか、を彼に尋ねた。できない、と彼は言った。やはりむずかしいのだ。今の時期は判断がつかないということだった。
ソリハシシギが餌を探していた
中央部で撮影を終えた後、東防波堤側に移った。そこにはダイゼンと違う薄茶色の個体がいたが、姿や大きさはダイゼンとそっくりだった。双眼鏡を持ってる彼に聞くと、おそらくダイゼンの若鳥でしょうとのことだった。遠くにはミヤコドリがたくさん群れを作っていたが、潮干狩り場内のために近づくことはできなかった。くちばしが反っていて小さなソリハシシギがいた。
平日の楽しい貝掘り
私は9時半に撮影を終えた。今日は大潮なので、月曜日だがたくさんの人が貝掘りに来ていた。貝の掘り方は扇状に掘り進めることである。貝掘りをしている人を見ていると、一箇所を丸く掘る人がほとんどだ。それで見つからないと、次の場所に移動していく。そうではなくて扇状に拡大していくことである。貝は土の中に棲んでいるため、どこにいるのかわからない。それを探すためには丸く点として掘るのではなく、扇状に面として拡大していくことである。そうすれば短時間で収穫できる。私はその方法をとっている。鳥の観察と撮影を終えたので、私も貝掘りをしてみたが、以前に比べて干潟が荒らされているため、収穫に時間がかかった。私は11時に貝掘りを終えた。
180個の収穫だった
草はらに戻り貝掘りをしている人の数を数えると75人だった。干潟からはすっかり鳥の姿は消え、カメラマンが2人、双眼鏡で観察している人が1人残っているだけだった。私はビールで乾杯だった。風もなく穏やかで陽が燦々と降り注いでいた。とても気持ちがよかった。
水平線の上にタンカーのようなものが浮かんでいた蜃気楼
草はらでいっぱいやっていると、海の方に遠く見える景色がいつもと違っていることに気がついた。蜃気楼が出ていたのである。水平線の上にタンカーや大きなヨットが浮かんでいる。ありえない風景だった。こんなにはっきりと蜃気楼を見たのは初めてだった。びっくらポン。