船橋三番瀬の野鳥を見に行く(5

 

ただいま食事中のオオソリハシシギ

 

 48日 晴れ

 天気予報はあまり良くなかったが船橋三番瀬に出かけた。今回の目的は三番瀬干潟の東防波堤側で野鳥観察・撮影を行うことであった。海浜幕張駅行きの始発バスは6時22分である。海浜幕張駅で乗り換えて二俣新町駅に向かった。二俣新町駅で下車し船橋三番瀬に到着したのは7時20分だった。これが三番瀬に一番早く到着する時刻である。二俣新町駅に降りると、空に青空が広がり陽の光がさしてきた。今日の最大干潮時刻は9時22分となっていた。

 

汀に佇むズグロカモメ(左)とミヤコドリ(右)

 

今回は干潟の中央で撮影したあと、東防波堤の方に行って撮影した。私は今まで東防波堤側では一度も撮影したことがなく、西防波堤側に比べて違う種類の野鳥がいるのではないかと判断したのだった。人間でも場所の相性のようなものがあり、野鳥も同じ三番瀬干潟でも場所の相性のようなものがあるのではないか、と考えたのである。私の推理は当たった。今まで西防波堤側では出会ったことのない野鳥がいたのである。

 

獲物を探すソリハシシギ

 

今まで出会ったことがなかった野鳥に出会うと、胸がときめき躍るものがある。新鮮な感動がそうさせるのだろう。今回初めて出あった野鳥は、嘴が外側に反っているオオソリハシシギ、ソリハシシギとチドリの仲間のダイゼンであった。東防波堤側の撮影は9時10分に終了した。その後は今回も貝堀りである。貝掘りを20分間やったが、前2回に比べて倍近くの収穫量だった。びっくらポン。草はらに戻って乾杯である。干潟には9人の野鳥観察撮影者残っていた。

 

歩きながら餌を探すダイゼン

 

南米ボリビアのウユニ塩湖で買ったショットグラスが割れていた。登山や野鳥観察に出かける時に持っていくお気に入りのショットグラスだっただけにショックだった。帰宅してからアロンアルファで接着してみた。さて、どうなることか。

 

出動する海上保安庁の巡視船

 

ウイスキーを飲みながらぼんやり海を眺めていると、海上保安庁の巡視船が市川港から出航して行った。凄いスピードだ。貨物船やタンカーが行き交っているのを見えるが、それに比べると巡視船は倍以上のスピードが出ているように感じる。あっという間に遠ざかっていった。巡視船の船体は比較的に小さいが、相当の馬力を持っているのだろう。車で例えるならばスポーツカーだろう。

 

 10日目

 二俣新町駅に着いたが空は雲に覆われていた。気温は8℃と低く風が少し吹いていたので、長袖の上にベストを着込み、ジャンパーを羽織っているが寒かった。私が干潟に着いたときに、野鳥の観察・撮影をしている人は6人だった。

 

アオサギ(左)とコサギ(右)がお見合いをしていた

 

今回も東防波堤側のほうに向かって観察と撮影を行っていった。コサギとアオサギが仲良く餌を探していた。コサギは運よく捕まえることができたが、アオサギは捕まえることができず、別の方向へ飛び去ってしまった。

 

ダイゼンは食べると美味いので「大善」という名前が付けられたという

 

今の時期はシギの仲間のダイゼンとムナグロは区別が難しい。全く同じ体型と色をしており、ダイゼンの体長は約30cm、ムナグロの体長は約25cmと体長差が5cmなのである。野鳥にも個体によって大きい小さいがあるので、観察していても分からない。最も今の羽が抜けて夏羽になると、両者は区別がつくのだが、今の時期は私には区別がつかない。

 

渡りの時期やルートなどを解明する標識調査フラッグが付けられたダイゼン

 

両足に標識調査フラッグと足環を付けたダイゼンがいた。このフラッグと足環は、渡りの時期やルートを解明するためのもので、日本では5ヶ所でフラッグを装着して放鳥し、千葉県我孫子市にある山階鳥類研究所で国内外で確認された事例を集計している。足に着けるフラッグの色は鳥の種類によって赤・青・黄・緑・白・橙と6色あり、シギ科・チドリ科は青色である。写真のダイゼンはチドリ科なので右足にN8の青色フラッグが付いており、左足に足環が付いていた。一度取り付けて放鳥すれば、あとは観察者が双眼鏡などで確認して報告すればよく、再捕獲の必要がなくなるため便利な方法である。実際干潟には双眼鏡や単眼鏡で野鳥だけを観察し、撮影はしない人が訪れている。

 

獲物を探すオオソリハシシギ

 

東防波堤側から西防波堤側に向かう途中で新しい携帯電話を拾った。その携帯電話を左手に持って歩いていると、西防波堤側の方から歩いてきたおじさんが「その携帯は拾ったんですか?」と質問してきた。私は「そこに落ちてました」と答えると、おじさんは「私のです。1週間前に買ったばかりなんです。落としてしまって困ったなと思って探し歩いていたんです。助かりました。」と言って、ニカッと笑った。おじさんの前歯は2本しか残っていなかった。よかった。よかった。

 

メダイチドリの雄がちょこまか歩いていた

 

私は9時に撮影を終えた。それから貝堀りである。30分ほどで大量に収穫できた。その後は草はらに座って乾杯である。干潟にはまだ13人の観察・撮影者がいた。いっぱいやっている草はらに薄紫のダイコンソウの花が咲いていた。清楚で美しい花だと思う。沖を行く貨物船やタンカーを眺め、 またある時は隣に咲く花を眺めながら実にゆったりした気分である。私の場合は2日に1度はアウトドア生活なので、顔は日に焼け、自分でもビックリするほどである。

 

草はらに咲いているダイコンソウ

 

三番瀬の草はらから西の方を眺めると、葛西臨海公園にある大きな観覧車が見える。その観覧車から左に目を転じると浦安の高層マンション群やディズニーランド近辺のベイホテルが乱立している。これも一つの海辺の景色なのだが、千葉県の風景としては、ディズニーリゾートは異質な存在だろう。本来ならば浦安は漁村で干潟があるだけで何もなかったところだが、高度経済成長期におけるマンション群の建設とディズニーランドが出来た影響は大きいのだろう。

 

シロチドリの雄が獲物を探していた

 

10時30分になると野鳥の観察・撮影者は20人に増えた。干潟の汀線は随分沖の方に行ってしまったが、それでも観察者は双眼鏡で、撮影者は超望遠レンズで海鳥の姿を追っている。私は一杯やりながら、そういう人たちを眺めていると、根性あるなぁと思う。空にあった雲は消え、太陽が降り注いでいる。今日も日に焼けるだろう。

 

戻る