ちょこまか歩くシロチドリ
干潟に出来たリップル(波紋様)の上を歩くシロチドリ
11月13日 水曜日 晴れ
4月10日以来7カ月ぶりに船橋三番瀬へバードウォッチングに出かけた。朝から空は晴れていた。今日の船橋港の最大干潮時刻は8時40分。満潮時刻が6時間後の14時45分なので、それまでの間がバードウォッチング時間となった。11月になって急に冷え込む日が続き、日中でも12℃〜13℃の日もあったが、今日は20℃近くまで上がると予報が出ていた。しかし干潟は吹きさらしになるので、十分な防寒対策をして出かけた。今日は私の76歳の誕生日だった。
潮干狩りの跡もたくさん残る船橋三番瀬の干潟
JR二股新町駅で降りると駅前のコンビニでビールのロング缶を2本とおにぎり2個を買った。三番瀬までの歩道脇のサクラの葉がずいぶん赤く色づいていた。私が三番瀬に到着した時は5人のバードウォッチャーがいた。観察の準備をしている間に大きな三脚を担いでいた3人が帰ったため、残っていたのは2人だった。潮はずいぶん沖まで引いていた。干潟には潮干狩りを終えた穴の跡とリップルと呼ばれる波の紋様が続いていた。
獲物を飲み込むミヤコドリ
干潟を見渡すとまず目についたのがオレンジ色のくちばしとピンクの足、ボディが黒と白のツートンカラーのミヤコドリだった。早速ミヤコドリの観察と撮影に入った。ミヤコドリは潮が引いた後に出てくる砂州や潮だまりで餌を探し回っていた。今日のミヤコドリは集団になっていないで2羽〜3羽で餌を探しているのだった。
採餌中のハマシギの群れ
干潟の西側にカモメの群れが羽を休めていたので近づいていくと、カモメの大きな身体の傍に小さなハマシギが80羽ほどの群れで採餌をしていた。日本に渡ってくる大部分のハマシギはアラスカで子育てをした後に渡ってくる。野鳥の羽軸は身体を軽くするために空洞である。体重100gほどの野鳥が数千kmの旅を命がけでやってくるのである。いやはやなんともの世界である。
ユリカモメやカモメのそばで採餌中のハマシギ
ハマシギは採餌を終えたカモメが羽を休めているそばで、喧嘩をすることなく餌を探して動き回り、ピピピピピ、ピピピピピと小さな鳴き声を出しながら餌を探し回っているのだった。全く慌ただしい姿だが愛らしいと思う。
クレーターで休憩中のシロチドリ
シロチドリがいた。シロチドリは潮干狩りで掘った穴の跡(クレーター)の中に入って休んでいた。シロチドリの羽は薄茶色なので干潟の茶色や黒色が保護色となって見つけづらいのだ。最初は保護色のためにシロチドリに気がつかずに歩いていくと、突然に穴のなかから歩き出すこともあった。ちょこちょこと歩いて立ち止まり、こちらを凝視し再び歩き出す行為を繰り返し、徐々に遠ざかっていくのである。
クレーターで休憩中のダイゼン
ダイゼンにも出会った。ダイゼンの歩き方もシロチドリと同じで、ちょこちょこと10歩ほど歩くと立ち止まってこちらを凝視する。再びちょこちょこと10歩ほど歩いてこちらを見る。その繰り返しをやっていたが、やがて潮干狩り跡のクレーターのなかに身体を沈めた。上半身が見える程度で周りの砂が保護色となり、ちょっと見にはわからない感じだった。すでに午前の採餌は十分に終えたので、この場所で暖かな太陽の日を浴びながら、ゆっくりと休憩に入っているのだった。
餌を探すミユビシギ
干潟をゆっくり歩きながら鳥を探していくと、1羽の小さくて白いミユビシギが見つかった。ミユビシギも砂にくちばしを差し込んで餌を探していた。餌となる底生生物は潮が引くと、干潟の砂の表面にはいなくて砂の中に潜っているため、くちばしを砂のなかに差し込んで触る感触によって餌を探すのである。大変な労力だと想像する。
市川港から出航するタンカーと休憩中のカモメたち
汀線にいると11時過ぎに潮が上がってくるのか分かった。約2時間の観察と撮影を終えて草原に座っていつものようにいっぱいやっていると、ボート釣りをしていた男女が帰ってきた。私の前をボートを押しながら通ったので声をかけた。「釣れましたか?」「いっぱい釣れました」「今の時期は何が釣れているのですか?」「スズキです。シーバスですね」「スズキは白身の魚で美味いですよね」「そうですね。美味い魚です」「よかったですね。
お疲れ様でした」「ありがとうございます」と言ってにこやかに去っていった。ちょっとした会話で情報交換ができ、お互いの心が和やかになる。
飛び立つアオサギ
山登りやバードウォッチング、あるいは畑仕事など太陽の光を浴びて野外で行う趣味は、健康的でお金もあまりかからない自由気ままな趣味だ。行動を終えたあと、野外でのいっぱいも最高な気分になる。今日で私は76歳になった。あと10年は野外に出て動き回る趣味を続けたいと想う。
餌を探すミヤコドリのペア
今日出会った野鳥は、ドバト、カモメ、ヒヨドリ、シロチドリ、ミヤコドリ、ダイサギ、ウミネコ、ハマシギ、コサギ、
ミユビシギ、ダイゼン、ユリカモメ、アオサギ、ハクセキレイ、ハシブトガラスの15種類と少なかった。