水辺の冬鳥を観るために船橋三番瀬へ

 

水に浮かんでいる水鳥

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マテガイを捕らえたミヤコドリ

 

11月19日 曇りのち晴れ

久しぶりに船橋三番瀬に出かけた。朝の天気予報は午前中が曇りで、午後から晴れとなっていた。潮見表では最大干潮時刻は10時51分となっており、それに合わせて2時間前に三番瀬に到着するように家を出た。新港大橋から見た護岸の石垣には、すでに1mほど潮が引いた跡があった。4羽のホシハジロが水面に浮かんでいた。三番瀬に到着したのは8時40分だった。

 

鳥の群れ

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ミヤコドリの群れの上を飛ぶハマシギ

 

干潟を見渡すと西防波堤の方に1人、東防波堤の方に3人の野鳥観察者がいたが、中央には誰もいなかった。ただ、中央にはカワウの群れが、これまで見たことのない大集団で波に浮かんでいた。私はこんなに多くのカワウを一度に見たのは初めてだった。西側にはミヤコドリとウミネコが集まっていたので、私は西側に向かいミヤコドリを撮影しようと思った。

 

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数千羽のカワウが舞った

 

ミヤコドリは2つの群れに分かれており、数は合わせて200羽ぐらいだろうか。ウミネコとユリカモメもそのぐらいの数が集まっており、休憩しているところだった。動きがない集団はつまらなかった。するとカワウが次々に舞いだした。数千羽が舞う姿は横に長く広がり、実にダイナミックだった。とにかくものすごいが数がウンカの如く舞っていたのである。規律や秩序がなく、統制がとれない集団のことを表す諺に「烏合の衆」というのがあるが、この「烏」はカラスのことで、カワウのウは「鵜」と表す。大集団の中にもリーダーらしきものがいて、大きな群れの先頭を飛んでおり、やがてカワウたちは沖の方へと飛び去っていった。

 

水の中にいる鳥

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シャコを捕らえたミユビシギ

 

左脚に白と青の足輪をつけたミユビシギがいた。嘴で白いビニールのようなものを盛んにつついていた。よく見るとミユビシギが咥えていたものはシャコだった。左脚に怪我をしているようで、歩くのが不自由のようだった。1ヶ月前にも左脚に怪我をし、足環を付けたミユビシギを見たが同じ個体だろうか。

 

水の上に立っている鳥

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シオフキガイを捕らえたミヤコドリ

 

ピュイピュイという甲高く、けたたましい声を発しながらミヤコドリが喧嘩をしていた。固まっていたミヤコドリの集団が徐々に分散し、あるものは沖の浅瀬に去り、そこで餌を探しているものも見られるようになった。シオフキガイを捕まえて、巧みに殻をこじ開けようとしているものもいた。

 

砂の上にいる水鳥

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風に向かって飛び立つミヤコドリ

 

ミヤコドリは風下に移動するときでも、一度風上に向かって舞い上がり、その後にUターンして風に乗って風下へ移動する、という方法をとっていた。どのミヤコドリも同じだった。そのルーチンが鳥たちの飛び立つ姿なのだろう。これまでに出会った鳥は、ホシハジロ、シロチドリ、ミユビシギ、ウミネコ、ユリカモメ、セグロカモメ、ミヤコドリ、ダイサギ、ハマシギ、ダイゼンの10種類だった。

 

滑走路の上を歩いている人たち

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マンツーマンでカヌー教室を開いていた

 

西防波堤側から東に移動していくと、マンツーマンでカヌー教室を開いている2人がいた。2人とも男性で、先生は60代、生徒は40代と思われた。私が横を通った時は、パドリングについて教えていた。左に曲がろうとする時の体勢とパドルの動かし方は云々、右に曲がろうとする時は云々と、手取り足取りの教え方だった。簡単なレクチャーが済めば即実践で、朱色の旗をなびかせて海に出て行くのだろう。「畳の上の水練」では意味がなく、重要なのは自らの身体を動かしての実践なのだ。この2人組はしばらくすると沖に出ていき、3時間後に戻ってきた。

 

海に浮かんでいる鳥

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カンムリカイツブリ(左)とウミアイサ(右)

 

東防波堤の上に20人ほどが三脚を立て、干潟とは反対方行を向いていた。みんなは何に注目しているのだろうと思い、防波堤に上がってみた。100羽ほどのスズガモの群れがいた。そのスズガモの向こうにカンムリカイツブリとウミアイサがいた。距離は200mほど離れているので、私の600mmの望遠レンズでは鮮明な撮影は無理だった。堤防上の観察・撮影者たちは、ウミアイサやカンムリカイツブリが近づいてくるのをジッと待っているのだった。私にはそのような芸当はできない。私はジッと待つのではなく、歩きながら鳥を探し、観察し、撮影するスタイルなのだ。

 

砂の上に立っている鳥

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足環を付けたシロチドリ

 

青と白の足輪をつけたシロチドリがいた。チドリの歩き方は独特である。ササササと20歩ほど早く歩くと、いったん立ち止って周りを見渡し、再び、ササササと20歩ほど歩く。それを繰り返しながら餌を探すのである。シギ類とチドリ類は似ているが、シギ類は浅瀬で砂の中にいる底生生物を探しているのに対し、チドリ類は水が引いた砂浜の上で小さなコメツキガニなどを探している。ミヤコドリも潮が満ちてくると、砂浜でたくさんうごめいている小さなカニたちを食べていた。

 

フェンスの前に立っている鳥

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海藻採りのおばさん

 

海藻を採っていたおばさんがいた。海藻は磯に着いていることが多いのだが、干潟にも海藻はある。潮が引き、20cmほどの浅瀬になると、簡単に海藻は取ることができる。それを水で洗い籠に入れていた。酢の物や味噌汁の具として食卓に上がるのだろう。また、今の時季になっても貝掘りをする人がいた。どのような貝が掘れるのか、獲れた貝を見させてもらうとアサリだった。

 

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マテガイの大量の亡き殻

 

大量のマテガイの亡き殻が波打ち際に集まっていた。干潟を歩いている時も、マテガイの殻を見ることが多かった。何が原因か分からないが、マテガイが大量に死んだようだ。その亡き殻が波に洗われて集まってきたものと思われた。夏に三番瀬に来た時は、マテガイの亡き殻は見かけなかったので、何かが起きたのだろう。

 

砂浜と海

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徐々に潮が満ちてくる干潟

 

私は12時に撮影を終えた。今日出会ったのはスズガモ、ウミアイサ、カンムリカイツブリ、トビ、ハクセキレイ、オオバン、アオサギ、オオソリハシシギを加えても18種類と少なかった。これから冬鳥の数が増すとともに、種類も増えていくことだろう。撮影を終えた後は、草はらで海を見ながらいっぱいである。天気予報通りに太陽が顔を出し、気温は18℃と暖かかった。おにぎりと柿ピーをつまみに500mlのレモンハイを飲み、終わればウィスキーである。晩秋の静かな午後が過ぎていった。海から吹いてくる微風が心地よかった。

 

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