獲物を洗って食べたダイゼン

 

砂浜にいる鳥

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獲物を捕らえたソリハシシギ

 

4月20日 木曜日 晴れ

「今日は久しぶりに船橋三番瀬に行ってくるよ」と妻に伝えると、「あれ、でも曇ってるよ」という返事。「いやいや、これから晴れてくるから大丈夫」と言ってザックを肩に家を出た。今回の目的は春の渡りの季節にやってくるシギ類、チドリ類の観察と撮影であった。JR二俣新町駅で下車し、船橋三番瀬まで歩いていく間に青空が広がり太陽が顔を出した。今日の13時の気温は25℃とのことだ。早くもジャンパーを脱ぐ気温となってきた。街路樹のヤナギの若葉が眩しかった。

 

屋外, 民衆, 砂浜, グループ が含まれている画像

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列を作って潮干狩り場の開場を待つ人たち

 

三番瀬に9時に着いた。今日は新月の大潮なので、すでに汀線は随分後退していて、潮干狩り会場は潮だまりを残して干あがっていた。今日の潮干狩り会場の開設時間は9時30分から12時30分までの3時間だという。第2会場入口に潮干狩り客が列をなしていた。掘り出したアサリは入場料とは別に100g120円でお持ち帰りです。また、背負っているザックや手荷物バッグを検査する場合があります、との放送が流れていた。

 

砂浜にいる水鳥

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ミヤコドリが餌を探していた

 

今日は使わない第3潮干狩り会場内を双眼鏡で確認すると、ミヤコドリ、ユリカモメ、ダイゼン、メダイチドリ、ソリハシシギが確認できた。これらの野鳥の多くはミヤコドリは別にして三番瀬を中継地として羽を休めて、やがて飛び去ってしまうのだろう。

 

砂浜にいる鳥

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餌を捕らえたメダイチドリのオス

 

私は野鳥の観察と撮影を初めた。最初の撮影はメダイチドリだった。ダイゼンも撮影できたが距離が遠すぎた。潮干狩り会場が開設されたので、もうネットの中に入ることができない。ネットの外から撮影するには距離が遠すぎて、想うように撮影することができないが仕方がない。

 

水の中にいる鳥

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ダイゼンが獲物を捕えた

 

水の中にいる鳥

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ダイゼンは獲物を洗ってから食べた

 

潮干狩り会場の反対の海側に回ってみると、ダイゼンのオスが餌を探して干潟を歩いていた。しばらく観察していると干潟のなかから長いゴカイのような底生動物を引きずり出した。そのまま飲み込むのかと想って見ていると、水たまりまで歩いたあとに塩水で獲物を洗った後で飲み込んだのである。ビックリ! 確かに泥が付いたまま飲み込むのと、泥を落としたものを飲み込むのでは味も違うのは理解できるが、野鳥がそのような技を使うとは想ってもいなかったのである。京都大学の研究所がある宮崎県幸島では野猿が餌の芋を洗って食べる現象が報告されているが、私が今まで見た図鑑や野鳥観察記録には、野鳥が捕まえた獲物を洗って食べることは書かれていない。

 

鳥の群れ

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100羽ほどのユリカモメが群れていた

 

ユリカモメが次々に着水しミャーミャー猫のような鳴き声を出し、おおよそ100羽ほどが群れていた。風に向かって羽ばたいている個体もいた。ユリカモメのなかには黒仮面を被った夏羽に変わったものも確認できた。カモメ類が餌を取る場合は小魚が対象なので、狙いを定めてくちばしを水中に突込んでも、捕獲する確率は10%以下だろうと思われた。結構効率の悪い捕り方である。

 

水の中にいる鳥

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ダイサギ様のお出ましだ

 

2羽のダイサギがユリカモメの群れのなかを悠然と歩いていた。やがて群れのなかから出ると、置物のようにジッと動かずに餌の小魚がやってくるのを待って佇んでいた。サギ類の餌の捕獲方法は、身体を動かさずに自然のなかに溶け込むようにし、餌の小魚に安心感を与えて眼だけは見開いて獲物を探すのである。海の場合は潮の干満差があるので、長時間ジッとしていることはないが、川の場合は1時間でも小魚が来るのを待っているのである。

 

ボートに乗る人

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密漁監視の船橋漁協の組合員

 

潮干狩り会場外でも一定区域は船橋漁協の操業区域となっているために、一般人の魚介類の収獲は禁止となっている。潮干狩り会場がオープンしたこともあって、「密漁監視」の赤い旗を拡げて、ふたりの漁協関係者が監視していた。しかし、この監視員の目の前で堂々と貝掘りをしている人たちが30人ほどいた。貝掘りしている人たちは商売をするために貝を獲っているのではないので、監視員も建前上で監視をしているという状態なのだろう。

 

砂浜でくつろいでいる人たち

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家族で賑わう潮干狩り会場

 

潮干狩り会場が開設していた3時間の間は、絶え間なく流れていたスピーカーからの放送が12時30分で途絶えた。静かな海辺では、ユリカモメの鳴く声が時たま耳に届く以外は、静かな時が戻ってきた。潮が満ちてくれば汀線が近づくので野鳥たちも近くに寄ってくるのだが、潮が満ちてくるのにはまだ時間が早い。

 

紫の花が咲いている

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ダイコンソウが可憐な花を咲かせていた

 

私は11時半で野鳥の観察と撮影を終えていた。ザックを置いた草はらに戻り、雲ひとつなく晴れあがった青空の下で、潮干狩り客やバードウォッチャーを眺めながら昼の宴会である。草はらのなかには薄紫色の花のダイコンソウが可憐な花を咲かせていた。そよ風が絶え間なく流れていたので、上半身は裸となって500mlのプルトップを開け、ひとり乾杯だった。

 

砂浜のパラソル

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潮干狩り会場に張られた密漁禁止の横断幕

 

草はらで飲んでいると、不思議なことに第3会場の西側ネットに張られていた英語、朝鮮語、日本語、中国語で書かれた「密漁禁止」の横断幕が漁業関係者によって撤去されてしまった。潮干狩りは来月24日まで開設される予定なので、それまで張っておいてもいいと思うのだが、なぜ開場してから3日目で撤去してしまうのだろうか。もしかしたら潮干狩り会場の開設時間に合わせて横断幕を張ったり撤去したりしているのかもしれない。次回来た時に確認できるだろう。

 

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