白き山ダウラギリと真っ赤なラリグラス
白き山ダウラギリと真っ赤なラリグラス
ネパールの国花はラリグラスと呼ばれている真っ赤な石楠花です。石楠花の木は標高2500m以上の高地に育っており低地にはありません。その花が全山を覆うのが例年ですと3月下旬から4月上旬となり、その期間に合わせて今回のトレッキングは設定されました。しかし、現地に出かけてみると山は赤く色づいてはおらず、花が咲いている木がちらほら散見する程度でした。理由は例年になく昨冬は雪が多かったため、その後の気温が上がらず蕾も付けていない木がたくさんありました。トレッキングルート上の石楠花の木々は高さが10mを超えるのが数多く、私でも両手で抱えられない太さの木もたくさんあり、見事な林が続いています。このようは高さの石楠花の木は日本にはありません。日本で見かける石楠花の木はせいぜい3mです。全山を覆う木々に一斉に花が付いたらどんなにか素晴らしい景色になるだろうか、と想像しながら歩きました。
世界中に8000mを超える山は14座あります。その中でネパールには8座が存在し、その頂点にエベレスト8848mがあり、ダウラギリ峰8167mは世界で7番目の高さです。ダウラギリの意味はサンスクリット語で「ダウラは白、ギリは山」で、その名前が示すように常に氷雪に覆われた白い山です。 私たちはナウリコット村のタサン・ビレッジというロッジに2連泊しました。ナウリコット村はダウラギリ山麓に位置する8000m峰に最も近い村で、他の13座の8000m峰の近くに村はありません。ですから村中からすぐそこに8000m峰が望めるのです。ロッジはカリ・ガンダキ川を見下ろし、対岸にニルギリ峰が聳え立ち、村からはダウラギリ峰が立ち上がっています。
日中は曇り空が続くため谷から立ち上がっている峰々の山頂を望むことはできませんが、夜明けとともに白き山の山頂に射す朝日の輝きはロッジの屋上に登れば見ることが出来ました。ニルギリ峰は逆光になるため2日間ともに朝はダウラギリ峰を眺めていました。ロッジから眺めると中央に聳えるビラミダルな形のダウラギリT峰は左側に猫の形をした山と右側に犬の形をした山に挟まれる形で望むことが出来ます。T峰の尖った山頂もはっきり姿を現していました。日本人で8000m14座を全て登った登山家は竹内洋岳さん一人しかいませんが、その竹内さんが最後に登った山がダウラギリT峰で、2012年5月のことでした。ナウリコット村から望めるダウラギリT峰は三角形の形をしていますが、ゴラパニのプーンヒルから望む形はもっとがっちりした台形をしていました。
中央のダウラギリT峰・左側の猫峰・右側の犬峰
今年のネパールは雪がたくさん降ったとのことですが、山麓にも春が訪れ、木々が芽吹き、杏や桜の花が咲き、サクラソウ、ウメバチソウ、アヤメも咲きだしていました。