大、9才の君へ
岩井 淑
大 9才の誕生日おめでとう。
君はポケモンが大好きな元気な3年生です。元気すぎて学校生活ではしばしば脱線を起こしているようです。廊下に立たされたり.担任の勝田先生にコツンと殴られたりしているようです。学校での体罰がよく問題にされますが、よほどおかしな先生でない限りむやみやたらと体罰をやるはずはなく.それなりの理由があると.父さんは思います。
君が廊下に立たされた場合を聞いてみると.授業中に隣の子が話しかけてくるので、ウンウン話に相槌をうっていたら.君だけ廊下に立たされたと言っていましたが、普段から授業中に騒いでいるから先生から睨まれていたのだろうと.父さんは思います。
また.先生から頑を2度3度とこずかれた場合を聞いてみると.これまた授業中に隣の子との話しかけが問題となったようです。
君は授業中にも.いわゆるウケを狙って先生の言葉の揚げ足を取ったり.茶化すことが多いようです。「どうしてそういうことをするの?」と以前、君に聞いたことがありましたが君の答えは「ぼくは大きくなったら.お笑いタレントになりたいの。だから今から.その練習をしているの」と。この答えを聞いたとき「君が大きくなって何になってもかまわないけれど友だちを笑わせたいのなら授業中ではなくて.オレンジタイムなどの休み時間に友だちを笑わせたらいいんじゃあないの。授業中に騒いでいると勉強をしている友だちの迷惑になるからね」と言ったことがあります。その時は「うん」と返事をしていたのですが、よく理解していなかったようですね。
父さんも廊下に立たされたことがあったことを話しました。4年生の時でした。父さんの場合は友だちとふざけていて掃除をやらなかった罰として立たされたものでした。また.高校の修学旅行で夜遅くまで友だちとトランプをやり.なかなか寝なかったことに業をにやした先生に思いっきり殴られたことや.雨の日に部室でトレーナーと運動靴に履きかえ、そのまま体育館に飛び込んだら運動靴を拭かなかったと.往復ピンクと正座30分をさせられたことなどを.君と一緒に風呂に入りながら話したら.君はエッと、びっくりしたようでした。いろいろなことが毎日の生活の中で起こっていますが他人の迷惑になるようなことはしないように気をつけていきましょう。
君の学校生活の中で、授業参観とか運動会とか料理教室など親が参加し一緒こ進めていく催しには父さんはなるべく参加するようにしています。親が参加することにより.君にも励みになるようです。
昨年秋に生活科の勉強でパン工場の見学があり.それに先立って自分たちでパンを焼いてみようという授業がありました。月曜日の午前中でしたが父さんはたまたま休みでしたので出かけていって一緒にパンを作り焼いて食べました。
作ったパンはバターロールパンでした。参加していた親は9人が母親で父親は父さん1人だけでした。クラスを5班に分け.それぞれの班に2人ずつ親が入ってパン作りが始まりました。父さんはパン作りは初めてでした。小麦粉、砂糖、塩、イースト菌、バター等を計量し.水を入れて練っていきますが、最初は手にベットリ付いてしまい.水の分量を間違えてしまったのではないかと不安でしたが練り続けているうちにだんだん固まってきたのでホッとしました。1次醗酵後、子どもたちに2つずつの分量に分け.レーズンを入れながらパンの形を作り.2次醗酵を済ませます。それに卵を塗ったあとオーブンレンジで焼き上げました。作り始めてから焼き上がるまでに3時間かかりました。
焼き上がったパンはとてもいい香りがしました。親たちの分も2個ずつ作ってあったので紅茶を飲みながら試食しました。おいしかったです。君たちは給食の時間に食べたとのことでした。2つの内の1つは家におみやげとして持って帰り.君と姉ちゃんとで半分ずつ食べたとのことでした。父さんたちの作ったのはウインナーソーセージ入りでしたから.君たちが作ったレーズン入りのとは違った味だったろうと思います。食べた後の感想を聞いたら.両方ともおいしかったとのこと。よかったですね。
君と一緒にパンを作ってみて.パン生地を練り上げるまでが大変な作業だと実感しました。パンに成型するのは粘土細工をやっている感じでしたね。子どもたちは麺棒を使いながら楽しそうに作っていました。担任の勝田先生が「パン作りの授業に参加していただき.ありがとうございました。お父さんは1人だけの参加でしたが、同性がいてやりやすかったです」と連絡帳に書いてきました。これからも親子でやるような授業があったら.なるべく参如しようと思っています。
君は扁桃腺炎で季節の変わり目に.よく熱を出します。父さんもそうでした。3日〜4日と学校を休みます。年中行事のように春と秋に熱を出しています。その度に父さんか母さんが休みを取って看病しています。君はまだ小学校3年生ですから.病気のままで放っておけないからです。小学校の高学年になれば1人で寝ていても大丈夫でしょうが、まだ君は小さいし.自分一人で判断できる範囲も狭いから.病気の場合は父さんか母さんのどちらかが付いているようにしています。
昼間は元気に遊んでいても.夜、突然に頭が痛い.等と言い熱が急に上がっていく経験を何度もしました。その回数も君が成長するのに従って減ってきていますが、生身の人間ですからダウンすることはしかたないことです。その時は父さんが君の看病をするために会社を休んでも.いい休みが取れた、と思うように発想の転換をしようと思っています。そうすることによって看病の傍ら.読書などの静かな時間が得られます。
幸いにも父さんの職場は休みが比較的自由に取れるところなので、君が病気になった時は看病しますからね。そして元気になったら.おもいっきり外で友だちと遊ぼう。子どもの時は遊ぶことがとても重要ですし.その中から身体も心も成長していくのですから。
ではこれで父さんからの9通目の手紙を終わりにします。
1998.2.7.記