大、29才の君へ
後楽園ホールの青コーナー側からで入場する大
大、29才の誕生日おめでとう。
君が高校1年生で16才の誕生日が過ぎた2月末にボクシングをやりたい、と言い出してから早13年の歳月が過ぎようとしています。その間、毎日毎日のボクシング漬けで、傍から見ていても、よく飽きないものだと思いますが、君はストイックにボクシングを追及しています。
アマチュアボクシングの経験のまったくない君はボクシングに関しては1からのスタートでしたが、13年間のボクシング生活において、2度に渡る東日本ボクシング協会新人王戦準決勝敗退、鼻骨骨折、ボクシングジムの移籍、東洋太平洋タイトルマッチ戦敗退、右目網膜剝離手術、日本タイトル最強挑戦者戦敗退、と様々な挫折を味わいました。勿論、その間には挫折ばかりではなく、2度にわたる東日本ボクシング協会新人賞受賞、WBC世界フェザー級ユースチャンピオン獲得などの陽の当たる場面もありましたが、全体的に見るとタイトルマッチ戦が目前で2度も流れたり、どちらかというとついていないボクシング人生のように感じます。
君のボクシング漬けの毎日について昨年の秋に母さんと相談し、年が明けたら君の次戦も決まっていない時期なので、君への慰労も兼ねて沖縄への家族旅行に行く計画を立てました。その旨を君に伝えると、君も賛成してくれましたので、愛にも連絡すると会社の休みを取って参加することになり、君たちふたりが小学生以来の家族4人での旅行が実現することになりました。
1月11日から14日までの3泊4日の久しぶりの家族水入らずの旅行は実に楽しいものでした。母さんと君が交互にレンタカーの運転をし、愛が助手席に座って旅行案内書を見ながらナビゲートをし、各地の観光場所を回りました。父さんの希望は北部突端の辺戸岬に行くことと「やんばるの森」に行くことでした。その目的も達せられ満足満足の旅となりました。母さんも愛も君も十分楽しめたとの感想でした。沖縄家族旅行を計画して本当に良かったと思いました。
1月の家族旅行に続いて、君は2月に再び沖縄を訪れることになりました。沖縄で企画されたパーソナルトレーニングに参加するためでした。1月の旅と同様に3泊4日のレンタカー付のフリー企画の旅行に申込むことにしたのですが、那覇空港からトレーニング場所の恩納村までのレンタカー手続き、保険、運転、ホテルのチェックイン、トレーニング場所への移動、食事、レンタカーの返却など諸々の処理があるので、初めて一人で参加する君には精神的にも肉体的にもきついかなと思い、同じ日程でスキーツアーに参加する予定だった父さんはスキーに参加するのをキャンセルし、君のトレーニングに同行することにしました。
沖縄トレーニングは2月8日から11日までの日程でした。君の29才の誕生日は出発前日の2月7日でした。携帯のLINEで「誕生日おめでとう」のメッセージは送りましたが、2月7日当日は君と会えませんでしたから、沖縄初日の夜のトレーニングを終えてホテルに帰ってきた君と外食に出たレストランで改めて誕生日おめでとうの乾杯をしました。30度泡盛のオンザロックも美味かったけれど、あぐー豚のしゃぶしゃぶはとても美味かったね。
君は、朝の部、昼の部、夜の部に分かれているトレーニングの時間帯の中から、自分の体の調子に合わせて参加するトレーニングを調整していました。結局、2時間単位のトレーニングに4回参加していました。トレーニングは13年間のボクシング生活において5指に入る厳しさだという感想を述べていました。今までに経験したことがない内容のトレーニングもあり、実に充実したものだったとのことなので、これから体験したトレーニングをどのようにボクシングになかに入れていくかですが、下半身の強化、踏み込みの強さと上半身への連動が課題のようです。
3泊4日という日程でしたが父と息子という二人だけの関係で君と一緒に過ごしたことは今までなかったことです。必ず家族の母さんや愛が一緒にいました。そういう意味では君との濃い時間を過ごしたことになります。その中で君の悩みとか愚痴も随分聞き、そんなことを考えているのか、などと改めて思ったこともありましたが、今回、君の沖縄への合宿に同行してみて父さんは良かったと思いました。来年も沖縄への合宿に参加したいと君は言っているので父さんも一緒に出かけようかと思っています。子どもにとって最大のスポンサーは親であり、父さんはこれからも君を応援していくよ。
これで父さんからの29通目の手紙を終わりにします。
2018年2月15日