大、27才の君へ

 

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OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦(2015.08.10

 

 大、27才の誕生日おめでとう。

 

26才からの1年間は君にとって、あたかもジェットコースターに乗っているような急上昇と急下降の連続でした。勿論、ボクシングの世界にどっぷりと身を置く君にとってボクシングのことです。2014年12月の試合を勝ち、2015年1月期で君のランクはOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級5位、日本7位、の位置でした。2015年4月13日に上野則之選手を破り、5月期ランクは東洋1位、日本6位に上昇しました。そして満を持して8月10日のOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦にランク1位として後楽園ホールのリングに登りました。君はランク2位の伊藤雅雪選手と死力を尽くして戦いましたが、伊藤選手のほうが一枚上手で11ラウンドにTKO敗戦となり、残念ながらチャンピオンベルトを掴むことができませんでした。

 

17才の高校2年生の時にボクシングジムの門をたたき、10年目にして掴んだ初めてのタイトルマッチの敗戦という結果は君に与えた精神的ダメージはいかほどのものだったのか、本人でない父さんは深いところまでは分かりませんが、そばで見ていた限りでは相当なダメージであったことが分かりました。父さんにとっては、ただただ、そっとしておき見守る以外に出来ることはありませんでした。父さんから大の支援者に出した当時のメールには次のようなことが書かれています。

 

「昨晩は熱い応援ありがとうございました。(*^_^*) 本人は絶好調で試合に臨んだので、今回の敗戦は精神的に強烈なダメージを受けているようです。そのダメージを克服するのは本人以外できませんので、静かに見守りたいと思います。2015.08.11

 

「試合後、2日目で大の気持ちも徐々に落ち着いてきているようです。今日も八千代市の後援者のかたに挨拶に出かけました。昨日朝は「もうボクシングはいいかな」などと心が揺れていたようですが、
昨日午後にジムに挨拶に行ったおりに、信頼する担当トレーナーと話をして再起に向けて心が決まったようです。練習を再開するには、まだしばらく時間がかかるようですが、全ては大の判断に任せようと思っています。2015.08.12

 

「大も精神的に徐々に落ち着いてきているように感じます。今回の敗北は、本人が乗り越えていかなければならない試練だと思います。2週間もすれば目標に向かって突き進んでいく姿に戻る、と思っております。2015.08.14

 

「大は、大阪に行って、大分元気と食欲が戻ってきた、と連絡が来ましたが、もうしばらくボクシングから離れていたい、とも言っております。時間の経過が肉体と精神の打撃を徐々に癒していくと思いますが、ま、9月になれば再スタートを切っていると思います。2015.08.15

 

「大は試合後休憩を取っていましたが、3週間ぶりに練習を再開しました。休みの3週間で、大阪旅行、秋田旅行、幕張の仲間たちとボクシングから離れて、沢山の人達と話し、遊んだ中で、様々なことを考える時間が持てたようです。それが、大の中で徐々に熟成していくと思います。生活環境も変えるようで、4年間生活していたアパートを転居するため不動産屋と手続き中です。3週間休んでいたブログも再開しました。そのコピーを添付しますので、読んで下さい。先の8月10日の試合がTKO負けでしたから、JBC規則により3ヶ月以内の試合は禁止されていますので、大の復帰戦は年明けになると思われます。引き続き、大への声援をお願いします。(^_^)v 2015.09.02

 

君は復活し、次の試合は12月21日に元スーパーバンタム級日本チャンピオンの芹江匡晋選手との対戦が決まりました。父さんは、割と早く次戦が決まったなぁ、と思いながら、11月4日から2年前から予定していた24日間のネパールの山旅に出かけました。父さんが日本を留守にしていた時期に予期せぬことが君の身に起こったのでした。父さんがネパールの山旅に出かける前に君と食事をした時、右目の視界が狭くなっているので12月の試合が済んだら眼科医の診察を受けようと思うと話していたのですが、そのことを練習中にジムトレーナーに話すと網膜剥離の可能性があるので、すぐに眼科医を受診し、もし網膜剥離ならば早急に手術を受けた方が良いというアドバイスをもらい、11月初旬に受診したところ網膜剥離と診断され、すぐに手術となり12月に予定されていた次戦は中止となってしまいました。術後の経過は順調で1ヶ月後に軽度のトレーニングから練習を再開しました。君によるとスパーリング開始はまだ医師からの許可が出ておらず、手術後3ヶ月となる2月中旬頃になる予定で、次戦は6月頃になるだろうとのことです。

 

当時、父さんから大の支援者に送ったメールには次のように書かれています。

「大の1221日の試合が中止になりました。原因は右目の網膜剥離で1109日に緊急手術をし、3日間入院、その後、2週間はうつぶせのまま自宅静養。手術後、1ヶ月間は運動禁止、3ヶ月間はスパーリング禁止、という状態です。全ては私が1104日〜27日までネパールの山旅に出かけているなかでの出来事でした。帰国後、大と話しましたが本人は特に気落ちしているようなところはありません。2月頃からのスパーリング開始ですから復帰戦は春ころかなと思います。本人は淡々と復帰に向けて治療に専念している状態ですので、これからも熱い応援をお願いします。2015.11.29

 

「網膜剥離がボクサーの職業病とはいえ、実際に医師の口から手術を伝えられた時は動揺したようです。手術も無事に済み、その後の経過も良いようですから大の心は安定しているようです。12月の試合は中止になりましたが、大の代わりに1月に三迫ジムの日本ランカーが対戦相手であった芹江選手と戦う予定とのことです。大は焦らずに淡々と治療に専念するのが現状ですね。2015.11.30

 

人生には予期せぬことがいろいろと起こるものですが、その波を、壁を、試練を、一つひとつ乗り越え、克服していくことによって人生は膨らみを増し、人間は成長していくものだと父さんは思っています。昨年はジェットコースターのような連続でしたが、ま・人生は悪いことの次は良いことが廻って来ると思いながら前進していきましょう。

 

これで父さんからの27通目の手紙を終わりにします。

 

2016年2月7日

 

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