大、24歳の君へ
2013年1月21日 藤沢選手戦
大、24歳の誕生日おめでとう。
君はチャンピオンになるために生活の全てをボクシングに注いでいます。というか、ボクシング主体のストイックな生活を送っている、と言ったほうが正確ですかね。
君は昨年の誕生日からの1年間で4試合を戦いました。
昨年2月に初めての海外遠征でフィリピンに出向き、WBCインターシルバー・フェザー級チャンピオン決定戦に臨み、見事に対戦相手をTKOで沈めて23歳以下の世界チャンピオンになりました。父さんも観戦応援にマニラまで行きましたが、圧倒的なアウェイ状況のなかで淡々とした態度で臨んでいるのを見て君の精神力はたいしたものだと思い、父さんは君の成長を感じました。
5月には3週間のロサンジェルス合宿に出かけ、世界の強豪の練習に飛び込み揉まれることによって自分の肌で直に「世界」を感じたようです。2月のフィリピンのタイトルマッチも5月のロサンジェルス合宿も苦労して三迫ジムに移籍したからこそ体験できたことだと父さんは思っています。三迫ジムの関係者に深く感謝しなければならないと思います。
8月に後楽園ホールで阿部選手と戦いましたが、1ラウンドで阿部隆臣選手のバッティングによる負傷判定での引き分けに終わってしまいました。阿部選手は新人王戦のときに判定負けした過去があり、気合十分で雪辱戦に燃えていた君でしたが残念な結果でした。試合に「たら〜、れば〜」はありませんが、試合が続行されていたら君は必ず勝利したと今でも思っています。
10月に同じ阿部選手との再戦がありました。この戦いはフジテレビNEXTでLIVE中継された試合でしたが、前回同様に阿部選手のバッティングが連発し、それを嫌った君は攻撃が消極的になり後手後手となり1ポイント差の判定負けになりました。戦い終わった君の顔はバッティングによって見るも無残な顔に変形していました。翌日、ジムに挨拶に出向いた君に対し、三迫会長から消極的な戦いに対して周りもビックリするほどのカミナリを落とされたとのことでした。1ポイント差であっても勝ちと負けでは大違いです。このことに身をもって感じたのではないでしょうか。
そして今年の1月に後楽園ホールでベテランの藤沢一成選手と戦いました。結果は判定勝ちでしたが試合内容について君自身は不満のようでした。父さんはいつものようにリング下のカメラマン席で写真撮影しながら試合観戦をしていましたが、もっともっとジャブを打つ攻撃と後半にバテテいる藤沢選手をKOする決め手が必要だと感じました。
ま、ともあれ、君の1年間の戦績は4戦2勝(1KO)1敗1分けというものでした。1戦戦うごとに問題点が表れ、その課題を次戦までに克服するよう練習に取り組んでいるようですが、父さんにはスピードが足りないように感じるので、その旨を伝えると、君はなぜそのように見えるのかを分析しており、その対策も現在進行中で随分メリハリある動きが可能となってきており、見てくれているトレーナーからも良い動きに変わってきていることを指摘されているとのことです。現在はデビュー2戦目で負傷した右膝の筋肉バランスの修正に取り組んでいるとのことで、自分のイメージする動きの30%程度が出来るようになってきたとのことなのでこれからの戦いが楽しみです。
今年は残り3戦する予定とのことですが「打たれずに打つ」というボクシングの究極を実行できるように怪我に注意しながら練習に励んでください。同時に今年1年は「25歳で日本チャンピオン」という君の目標の足がかりを固める重要な1年であることを君も自覚しているので、父さんはますます楽しみです。試合のたびに後楽園ホールに足を運び、写真を撮りニュースを発行することでこれからも君を見守っていこうと思っています。
これで父さんからの24通目の手紙を終わりにします。
2013年2月7日