台風襲来の中での忍野八海

 

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雨の忍野八海

 

 最近は日本列島に週末ごとに台風がやってきていた。幕張北4丁目町内自治会のバス旅行があった1029日の日曜日も台風22号がやってきた。千葉県沖を通過するのは2920時から21時頃との予報が出されていた。天候ばかりは人間の手ではどうしようもできないことだが、その天候が悪くなるなか観光バス2台で旅行は決行された。参加人数は例年よりも少なく60人弱で、行先は富士山山麓の山梨県と静岡県であった。

 

 最初に訪れたのは山梨県の山中湖村の忍野八海である。もう3年前になるが20149月に富士山麓をぐるりと時計回りに150kmをテント泊で歩いた際に私が初日に訪れた場所が忍野八海だった。忍野八海は富士山に降った雪や雨が20年の歳月を経て伏流水として湧き出して出来た池で、忍野地区のあちこちに点在している。バスが駐車場に停まった時刻あたりが風は弱かったものの雨の降り方が半端でなく、傘をさしていても濡れてしまうような強さだった。

 

 バスガイドさんが駐車場から一番近い池まで案内したあとは1時間半の昼食を兼ねた自由散策時間だった。私は3年前に忍野八海のあちこちを散策していたし雨も強く降っていたので、すぐにソバとうどんがメニューの中心となっている食事処に入った。広々とした店内と木の大きなテーブルと円座が置かれてある長椅子が目についた。お客は既に7人いたが入り口近くに座り、メニューを見て「瓶ビール」「岩魚の塩焼き」「熱燗」「もりそば」を注文した。

 

ソバは注文を受けてから湯で出すので若干時間がかかった。その間に岩魚の塩焼きとお通しを肴にビールを飲んでいると、町内会バス旅行に参加していた人たちが続々と入店してきた。私の隣にも5人腰掛けた。近況報告などをしながら運ばれてきたソバを食べた。腰もしっかりしており美味いソバだった。ビール、焼酎のお湯割り、熱燗を腹に収め集合時間も近くなったので店を出た。途中でおばあさんが蒸かしている草餅と、その草餅を炭火で焼いている餅屋があった。妻と子どもたちのお土産に6個買った。

 

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富士花鳥園でのミミズク

 

 次に向かったのは静岡県富士宮市にある『富士花鳥園』だった。富士花鳥園は朝霧高原にある施設で3年前には近くの道の駅「朝霧高原」に寄って昼食を摂ったが、富士花鳥園には寄らなかった。私は初めて入った施設だった。世界中に棲む様々なフクロウやミミズクが飼われていた。フクロウとミミズクは同じ仲間だが、耳のように見える冠羽があるのがミミズクで、冠羽が無く丸い頭なのがフクロウである。

 

 私は高校生の時にフクロウを飼ったことがある。コノハズクという名前のフクロウで、夏に渡ってくる夏鳥だった。大きな黄色い目玉の中に青い瞳がある愛くるしいフクロウだった。コノハズクは毎年、群馬の生家の隣の家にあった大きな欅ので子育てをしていた。当時、私たち村の仲間の3人は長い梯子を欅に立てかけ登っていき欅の洞を覗き込むと、真っ白な産毛にくるまれた縫いぐるみのような子どもが3羽いた。私は11羽抱きかかえながら梯子を降りた。3人で1羽ずつ分けて育てることにした。

 

 私はコノハズクが何を食べるのかは知らなかったが、一般的には蛇、蛙、鼠、魚などだろうと想像できた。しかし、それらは簡単には手に入れることは出来なかった。夏休み期間中ということもあって蝉を捕まえて食べさせてみると喜んで食べた。そのため蝉ばかりを食べさせた。庭に鳥小屋を作ってその中で育てていたのだが、1週間ほどすると親鳥がしばしばやってきて木の上から鳥小屋を覗き込んでいた。その親鳥も子どもを囮として捕まえたのだが、親鳥は蝉を食べようとせず、やがて亡くなってしまった。

 

 夏休みが終わると蝉を捕ってくることもできなくなるので、夜間にコノハズクを鳥小屋から放してやると明るい電灯のほうに飛んで行ってしまったのには驚いたが、2、3日するうちにどこかに消えてしまった。自分で餌をとることができない幼鳥にとっては死んでしまったのだろうと思った。今から思えば残酷なことをしていたものだと思う。

 

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屋内ショー会場で行われたバード・ショー

 

 13時から屋内ショー会場で3羽のミミズクやタカ類におけるバード・ショーが行われた。飼育員の片腕に乗った鳥が観客の頭上を飛び、再び飼育員の腕に戻ってくるという内容だった。猛禽類の翔ぶ姿を間近に見ることができるというのがショーの目玉のようだった。

 

 富士花鳥園の後は白糸の滝に寄る予定であったが、雨も降っているため足元が悪いし、お年寄りも多いため白糸の滝に降りていくのは危険と判断し、白糸の滝へ行くのは中止して帰路についた。帰りの東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアは鮮魚も打っており、そこで買った握り寿司8巻をバスの中で食べたが、とても美味かった。

 

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