防災ライセンス講座を受講して

 

花見川区第2班の演習発表

 

 平成26年度防災ライセンス講座受講者募集の記事が千葉市政だよりの9月1日号に掲載された。目的は、地域における防災リーダーの担う役割の重要性が増してきたことから、昨年度まで実施していた「防災リーダー養成講座」のカリキュラムを抜本的に見直し、「防災ライセンス講座」とし、防災リーダー養成を行い、習得した知識・技術を自主防災組織の活動に還元することにより、地域防災力の向上を図る、というもので、第1班は10月、第2班は11月、第3班は12月、と3班構成が設定され、いずれも2日間のカリキュラムであった。早速、私は自分のスケジュールを確認し、第3班としての参加要望メールを防災対策課宛てに送信した。私は昨年度も運良く抽選に当たり参加できることになっていたが、前日の飲み過ぎによる体調不良によって参加を見合わせた経緯があり、欠席した当日に何か不都合でも発生したのかと、防災対策課の課長から自宅に電話がかかり恐縮した覚えがあった。

 

 9月30日付けの文書により私は要望通り第3班として抽選に当選したのだった。会場は千葉市総合保健医療センター5階が設定されていた。当日、会場に入って受付を済ませて資料に目を通していると募集人員は各班40名のはずが90名の参加者となっていた。市の担当者の説明によると3班で合わせて120名の募集にたいして3倍の360名を越える応募があり、急遽各班の人員を増やしての実施となったとのことで、3年半前の東日本大震災以降各地域の防災意識の高まりとともに防災関連講座への参加者が増加傾向にあるという。首都圏直下型地震の発生に警鐘が発せられていることもあり、このような講座への参加者の増加は「自助・共助・公助」の視点からいっても喜ばしいことだと思う。

 

 2日間のカリキュラムを確認すると、

【1日目】

@、オリエンテーション

A、【講義】千葉市の防災体制について

B、【講義】・地震のメカニズムと被害について

     ・風水害と対策について

C、【講義】災害時の心のケアについて

D、【講義と演習】男女共同参画の視点や要援護者(高齢者・障害者等)の視点を取り入れた防災対策について

【2日目】

E、避難所資機材取扱訓練(生活資機材・救助資機材)

F、【講義と演習】防災マップづくり(DIG)

G、【講義と演習】避難所運営ゲーム(HUG)

というもので、9時〜16時までぎっしり詰まった講座内容であった。2日間の講座を受講して感じたことは、講義や演習のいずれも重要なことなのだが、とりわけ重要だと思われたのは、Dの【講義と演習】男女共同参画の視点や要援護者(高齢者・障害者等)の視点を取り入れた防災対策についてと、Gの【講義と演習】避難所運営ゲーム(HUG)だと思った。

 

 Dの【講義と演習】男女共同参画の視点や要援護者(高齢者・障害者等)の視点を取り入れた防災対策については、防災対策の計画を建てる時に男性だけで対策を建てるのではなく女性や要支援者を計画段階から参画させ、その人達の立場・声を対策のなかに反映させていくという視点である。現在地域で考えられている防災対策は自治会や町内会の代表者が集まって決めていることが多く、そこに集まる人たちは男性の年配者が圧倒的に多い。そこから建てられる計画は女性や子どもや要支援者の意見が反映しづらい欠点があるのはいがめないところであり、避難所をスムーズに運営していくうえでも対策を建てる段階で女性や子どもや要支援者の意見が反映するよう予め考えていくべきだという提言であった。今回第3班に参加した90名のうち男性は73名、女性が17名という男女比率で女性の参加者が少なかったが、講座を受講した男性たちは男女共同参画の視点や子どもや女性、あるいは高齢者や障害者などの要援護者にたいする視点からものごとを考えていこうということが理解できたと思う。それは防災対策作成段階で反映されるに違いないと思った。

 

 Gの【講義と演習】避難所運営ゲーム(HUG)は、8名〜10名のグループごとに実際に避難所を開設した時に発生するであろう問題が書かれたカードを読みあげていくことによってグループ内のメンバーが次々に発生する問題を解決していくという疑似体験ゲームであった。初めて体験するゲームであったが、これは面白かった。ゲーム内で具体的に発生するであろう問題が提起されていた。例えば、犬や猫などのペット連れの避難、認知症の人の避難、両親が亡くなってしまった子どもの避難、自動車で乗り入れて来た人たちの避難、高熱を出した人の避難、妊婦の避難、ホームレスの避難、行方不明者の問合せ、外国人の避難、目が見えない人の避難、耳が聞こえない人の避難、トイレの問題、男女別更衣室の問題、洗濯物の干し場所の問題、救援物資配分の問題、食事の問題、避難場所の割り当て、等々。疑似体験ゲームであったが実際に避難所を開設すれば発生する問題が多く、その場で場当たり的に対応するのではなく、事前に地域に設定される避難所ごとに発生するであろう問題点を挙げ事前に対策を立てておく必要性を強く感じた。また、実際の運営をスムーズに行っていくためにはリーダーたちの意思疎通と避難者同士の協力体制をいかに作り上げていくのかが鍵となっていくだろうと思った。