人と鳥の共存をめざして

ジャパン・バード・フェスティバル2023

 

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オオタカの看板前で

 

11月4日 土曜日 晴れ

「人と鳥の共存をめざして」 というスローガンで『ジャパン・バード・フェスティバル 2023』が11月4日(土曜日)5日(日曜日)に我孫子市の手賀沼親水広場をメイン会場として開かれた。私は初めてだったが、どのような催しなのか出かけてみた。前日に我孫子駅から手賀沼親水公園までの道順を確認していると、駅から900m南の手賀沼のほとりに手賀沼公園があった。そこからメイン会場の親水広場まで遊歩道が伸びていたので、 我孫子駅から手賀沼公園まで歩き、 遊歩道で親水広場までいく道順を考えた。その道順が我孫子駅前で手渡された会場案内図にウオーキングルートとなっていたのには驚いた。

 

壁に掛けられた看板

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我孫子駅に立っていた桃太郎旗

 

フェスティバルに参加する大半の人は我孫子駅前から臨時バスでメイン会場に直接乗りこむようで、バス乗り場には長蛇の列ができていた。バードウォッチングの王道は、バスで移動するのではなく、手賀沼沿いを歩きながら周りの景色を眺め、沼で生息する野鳥を観察しながら楽しむことではないかと思った。実際に遊歩道から見られる野鳥は、幕張でも普段見られている鳥ばかりであったのだが・・・。

 

傘をさしている人たち

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東京藝術大学音楽学部声楽科卒業生の音楽ライブ

 

私はバード・フェスティバルに初めて参加するが、毎年4万人が参加するという。我孫子駅にはポスターや桃太郎旗がたくさん掲示されていた。南口から手賀沼公園まで向かって歩くと生涯学習センター『アビスタ』が第1会場となっていた。アビスタに近づくと「このひろいのはらいっぱいに さくはなをひとつのこらず・・・」という歌声が聴こえてきた。何だろうと思っているとアビスタ前庭のテントで女性歌手の音楽ライブを行っているのだった。ふたりの透き通る綺麗な歌声だった。それもそのはずで、ふたりは東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業したかたで、1日に4回行われる音楽ライブの第1回目だった。私は1曲聴いただけで休憩に入ってしまった。

 

建物の前に立っている人々

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『ワイルドライフアート』のテントでコースターを買った

 

同じ前庭で目についたのは『ワイルドライフアート』のテントで展示販売していたシマフクロウのコースターだった。シマフクロウは北海道の道東地域に生息している大型のフクロウで、絶滅危惧種に指定されている。厳冬期に道東に出かけてシマフクロウを撮影したことを思い出した。ビールを飲むときにコップを置くのに丁度いいと考えてコースターを買った。値段は1800円だった。大切にしようと思う。

 

 

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JOBANアートアンブレラ

 

 女性音楽ライブのテントの横で「JOBANアートアンブレラ」というワークショップが行なわれていた。JRに忘れて引き取りに来なかった雨傘を利用して、傘に想い思いの絵を描き、色付けをするイベントだった。子どもたちやお母さんが参加していたが、透明のビニール傘は下書きや塗った色がよくわかるので人気のようだった。見本を見ないで心にわいてきたイメージで描いていくイベントは、子どもたちにとっては楽しいことだろうと思った。

 

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大磯海岸で海水を飲むアオバト

 

生涯学習センターのなかに入り、館内案内図を見ながら展示内容を見ていった。「魅了されたワイルドライフアート」は、前庭のテントで展示販売していた人たちの絵画コーナーを見た。油絵や水彩画が主なものだったが、そのなかでアオバトを描いた油絵が目に止まった。アオバトは山に棲む鳩だが、海水を飲むために海岸までやってくる特殊な鳩である。大磯海岸までやってきたアオバトを描いたものが3点展示されていた。私も大磯海岸に行って写真を撮ろうと計画はしているのだが、なかなか実現できていない。

 

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カイツブリを撮影した方の話を伺った

 

絵画を観たあと、野鳥写真コーナーに入った。なかでは2年間にわたるカイツブリの子育てを写した写真と北海道道東でのオオワシ、オジロワシ、シマフクロウ、シマエナガなどを写したものが展示されていた。カイツブリを撮影した方が会場にいたので話を伺うと、産んだばかりの卵は巣のなかで直立しており、親の眼は点になっているなど、興味深い話だった。雛は親の身体の配色とは違いイノシシのウリ坊のような縞々が印象的だった。

 

テーブルを囲んでいる人達

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コアジサシのデコイの色付け体験コーナーがあった

 

会館の2階に上がるとフロアではコアジサシの保護展示をしていた。私は今年、検見川浜でコアジサシの子育て状況を観察したが、その検見川浜での子育ての写真が印刷された過去のパンクレットが無料で配られていた。コアジサシを呼び込むために置く作りものをデコイと言うが、コアジサシのデコイの色付けが無料体験コーナーとなっていた。なぜ無料なのか?を係員に尋ねたところ、「デコイは色づけした人が家に持ち帰るのではなく、何年も続けて使用して古くなり色あせたものを、このようなイベントの時に参加者に彩色してもらい、再利用していることを理解してもらっています」とのことだった。私も彩色体験を勧められたが、メイン会場に向かう関係でお断りせざるをえなかった。

 

絵画の前で写真を撮る人々

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愛鳥週間ポスターに描かれた鳥は生き生きしていた

 

学習室に展示されていた「千葉県愛鳥週間ポスターコンクール入賞作品展」を見て驚いた。ポスターに描かれた鳥のに光が差し込んでいることだった。写真もそうだが、鳥の眼に光が当たることによって生命力を表現することができる。それと同じことが小中学生の描いたポスターの鳥の眼に光を入れていることだった。そのことでポスターに描かれた鳥が一段と生命力の輝きを増していた。生き物を生き生きと描くには何が必要か、を観察するなかから子どもたちが理解し取り入れていることには驚いたのである。

 

テーブルを囲む人々

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地元小学生たちのバードカービング作品の展示

 

別の学習室にはバードカービング作品が展示されていた。バードカービングは木を削って鳥の形に掘り出し、掘り出したあとにカラーで色付けして本物のように見せる工作技術である。地元の小学生たちが色づけしたカービングがたくさん展示されていた。野鳥の種類も多く、それぞれの鳥の特徴を捉えていると思った。学校でこのような行事をすることによって、子どもたちに野鳥を愛するという心を育てるためだろうと想像した。以前、家族で第5会場になっている『鳥の博物館』を訪ねた時に、買い求めたホシハジロとフクロウのバードカービングが今も自宅の洗面所に置かれている。子どもたちが小学低学年のころのことだから、今から30年も前のことである。ここの学習室で妻へのお土産に木象嵌の手鏡を買った。小ぶりのものだが2000円だった。

 

凧あげをしている人達

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凧揚げ広場でカイトを揚げる親子

 

第1会場をあとにすると凧揚げ広場では無料でカイトの貸し出しを行っており、赤・橙・青・黄色などの色とりどりのカイトを子ども・お父さん・母さんが一緒になって揚げていた。あいにく風がないためにカイトが空高く飛び上がっているのを見ることはできなかった。池にはオオバンが泳いでいたが、他には見あたらなかった。大勢の人たちが遊歩道を歩いているので、その騒がしさが野鳥たちを遠ざけているのだろう。護岸工事も続けられており、その槌音も響いていた。遊歩道を走るランナーの数も多く、平日でないと野鳥たちの観察は無理だろう。

 

鳥のリス

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カワセミの求愛ダンス

 

沼沿いの遊歩道を歩いていると、ピーッという短く鋭い聞き覚えのある鳴き声がした。鳴き声の方向に目を向けると、1羽のカワセミがホバリングしていた。双眼鏡で確認すると、堰堤にホバリングしていた個体とは別のカワセミがいた。2羽は堰堤の上で着いたり離れたりしながら遊んでいるように見えた。私とカワセミの距離は30mほど離れていたが、望遠レンズを取り出して撮影を始めた。撮影した映像を確認してみると、2羽のカワセミは求愛ダンスをしていたのである。メスのほうが積極的にオスにアピールしていた。冬の北海道でタンチョウヅルの求愛ダンスを撮影したことはあるが、カワセミの求愛ダンスを観察し撮影したのは初めてである。この撮影だけで手賀沼を訪れた甲斐がありラッキーだった。撮影を開始すると歩道を歩いていた人たちが歩みを止め、次々に私の周りに集まり出した。カメラのシャッター音も聞こえるようなった。私は5分ほどカワセミを撮影していたが、撮影を終えた時には周りの人たちは20数人に増えていた。

 

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第3会場の水の館周辺に並ぶテント

 

第3会場の『水の館』に着くと、青白のテントに様々なブースが開かれていた。私が注目しているのは各種のワークショップイベントである。大半は子どもたちとお母さんである。ワークショップで野鳥を色鉛筆で彩色しながら選ぶ、あるいは自分で鳥の形に鋏で切り出して完成させていくという体験が、子どもたちが自然に向かい、自然のなかで遊ぶきっかけになってくれればいいなと思う。第3会場でシナノゴールドをお土産に買った。3こ500円だった。

 

テーブルの上にあるいろんな果物

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ヒョウタンの一輪挿しを買った

 

第4会場の『オオバン広場』にもテントがたくさん立っており、その一つひとつを見ていった。そのなかでお年寄り夫婦の『沼生苑』のヒョウタンを加工した一輪挿しが目についた。10個ほどの作品のなかで形のいいヒョウタンに描かれたムクドリの作品を買った。1000円だった。あまりにも安いので「本当に1000円でいいのですか?」と尋ねると、「ええ、安くていいのです」という返事だった。横に置いてあったギンナンが入った袋は50円の値段だった。そのギンナンを2袋買った。「いつもは100円で売っているのですが、今年は出来が悪いので50円です」と婦人は言葉をつないだ。私は「今年の夏は暑すぎて果実にも影響が出ていますからね」と答えた。

 

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小笠原母島のゆるキャラ「メグロン」は人気者だった

 

北海道の知床ウトロ、天売島、サロベツ湿原のグループや小笠原、三宅島のグループも出店していた。小笠原の母島だけに棲息している天然記念物のメグロのゆるキャラの「メグロン」や、三宅島に棲息し天然記念物で絶滅危惧種に指定されているアカコッコのゆるキャラの「アカちゃん」が人気者となっており、来場者は次々に一緒に写真を撮っていた。また、中国、タイ、モンゴル、台湾などの外国からのブースもできており、カービング・絵葉書・バッジなどを出していた。

 

椅子に座っている人たち

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舞台では女性歌手が歌い、着ぐるみが踊っていた

 

メインの第4会場『オオバン広場』のテントブースを全て見てから、手賀沼のほとりのベンチでお昼ご飯にした。穏やかな日差しを浴び、舞台から流れてくる音楽を聴きながら、屋台ブースで買った目玉焼き付き焼きそば、生クリームパン、柿、ソーセージ、柿ピー、濃いめのレモンサワーなどをのんびりと飲みながら食べた。サワーが終わるとウィスキーの水割りだった。やがて風が吹き出したので沼の水面が波だってきていた。この手賀沼から流れだした水が花見川となり、幕張を流れて東京湾に入っていくのである。

 

群衆の前に立っている男性

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会場は大勢の来場者で賑わっていた

 

今回は時間の関係で、第5会場の『鳥の博物館』、第6会場の『山階鳥類研究所』には入ることができなかった。『鳥の博物館』では、タカ・ハヤブサ・フクロウなどの猛禽類の企画展、鳥の工作、鳥博クイズなどを行っており、『山階鳥類研究所』では、スライドによる研究紹介や研究所紹介を行っており、当日配布の入場整理券が必要だった。次回訪れたならば『鳥の博物館』と『山階鳥類研究所』に入ってみようと思った。また、『手賀沼船上バードウォッチング』という企画もあったが、人出が多くて野鳥を観察するのは難しいと思った。

 

紫の花と建物

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コスモス畑と水の館

 

今日、手賀沼沿いで出会った野鳥は、オオバン、カワセミ、セグロカモメ、コサギ、カワウと少なかった。野鳥の立場からすれば沼は騒々しいので逃げ出すだろう。この状態では野鳥は近づかないだろうからバードウォッチングは無理だろう。人間社会もそうだが、自分の側からだけ考えるのではなく、相手側の立場でものごとを考えることが必要ではないだろうか。

 

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