ゆったり のんびり 別所温泉
なかよし3人組で温泉旅行に出かけました。場所は信州上田の別所温泉です。東京駅から新幹線に乗り上田駅で上田電鉄に乗り換えると僅か2時間足らずで周りを緑の山々に囲まれ神社仏閣が多く残る「信州の鎌倉」と呼ばれている静かな田舎の温泉地に到着です。
中塩田駅からバスに乗って「無言館」に向かいました。「無言館」は、周りを山々に囲まれた田園地帯の丘の上にひっそりとたたずんでいる小さな美術館で戦没画学生慰霊美術館です。「無言館」館長の窪島誠一郎さんは作家水上勉さんの息子さんで、全国を回って画家になるという志を果たすことなく第2次世界大戦の戦場に散っていった画学生たちの遺族から遺作や遺品を収拾し「無言館」を設立しました。その作品や遺品が展示されているのです。
展示されている作品には亡くなった年齢が記されています。どれも20代です。娘の愛も美術を専攻して自分の道を歩いていますが、展示されている作品を見ると戦争という自分の力ではどうしようもできない時代の渦に巻き込まれ、自分の希望する道に進めず亡くなっていったことを思いやるとせつなくなります。
絵だけでなく、戦地から母親に宛てた手紙、恋人に宛てた手紙、幼い我が子に宛てた手紙、召集令状、色あせた写真、絵筆、スケッチブック、戦死公報、等々も中央のガラスケースに収められています。
裸婦の絵が飾られていました。
その絵のしたに「戦地に行くことが決まって、初めて妻の裸体を描いた。この続きは必ず帰って来てから描くから・・・ そう約束して戦地に赴いた彼は、しかし二度と帰っては来なかった。」と書かれていました。一つひとつ飾られている絵を見ていくなかで、次々に胸に込み上げてくるものがあります。
美術館の外に出ると春蝉がジージー煩いほどに鳴いていました。
重い気持ちを喫茶店に入って心を落ち着かせ、前山寺の三重塔を眺め、信州そばを食べたあと龍光院を回り、宿泊する旅館「花屋」に向かいました。
「花屋」は、別所温泉に、ゆったり寛げる宿を作ろうと、地元の有志が共同出資して大正2〜4年の間に建築されたのが、花屋のはじまりとのことです。
「蔵と回廊の純日本建築。大正ロマンが薫る宿」のキャッチフレーズが表すように広々とした敷地に、離れが点在するゆったりした旅館でした。別所温泉では一番大きな旅館です。食事は夕食も朝食も部屋に運ばれ周りを気にすることなく、ゆったりした気分のなかで3人でお喋りしながら摂ることができました。
夕食のあと、「ほたるの里」へホタル見物にでかける希望をとっていましたので、私たち3人も出かけました。蛍を見るのは何十年ぶりのことでしょうか。愛や大がまだ小さかったころに私の生まれた増田で見たのが最後でしたから20年ぶりくらいの本当に久しぶりの出会いでした。蛍はたくさん舞っていました。蛍光色に輝きながらフラフラ飛び交う色を追いながら自分が小さかったころの田舎のことを少し思い出しました。
翌日は、愛染カツラの木をなで、善光寺に向かい立っているという北向観音に詣でたあと、安楽寺の八角三重塔を眺め、家路に向かいました。なかよし女3人組の1泊2日の温泉旅行は家族旅行とは一味違う最高のリフレッシュ旅行でした。