ある日の午後
カエデの花
4月
神場公園に出かけると、カエデの花が咲いていた。カエデは秋に赤や橙に色づく頃になると注目を浴びるが、花が咲く時季の黄緑の葉も綺麗だと思う。
5月
野鳥に興味がある人たちが読む月刊誌に『BIRDER』というのがある。この雑誌を読んでいるとある記事が眼にとまった。アオジの古い呼び名に「しとと」というのがあり、「しとと」は奈良時代の言葉で、本来は眼の周りに入れ墨のある鋭い目を意味しており、アオジの雄が目先の黒さから「しとと」と呼ばれていた、とのことだった。現在は標準和名のアオジで通っているが、私が育った群馬県ではホオジロのことを「しとと」と呼び、同じ仲間で藪の中にいるアオジのことを「やぶしとと」と呼んでいたことを思い出したのである。奈良時代から続く野鳥の名前が群馬には残っていたということを、その記事で初めて知ったのだった。
目先が黒いアオジのオス
7月
17時ころ、自宅でビールを飲みながら外を眺めていると何かが飛んでいた。コウモリが飛ぶには早い時刻なので、注意深く見ているとツバメだった。ツバメの数は5羽か6羽だった。なぜツバメが飛んでいるのかはすぐに分かった。ツバメは飛びながら雛の餌になる虫を探していたのである。ツバメは18時30分を過ぎても餌を探して飛んでいた。子育て時の親ツバメは、1羽の雛を育てるのに2000匹の虫を捕えるので大忙しなのである。
ツバメの給餌
8月
花見川沿いの桜並木で初めて見る野鳥に出会った。双眼鏡を持っていなかったので詳細は確認できなかったが、腹が白くて背中が青かった。オオルリかコルリではなかっただろうか。再びその野鳥に会えるか期待に胸が膨らんだ。桜並木ではアブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシなどの蝉時雨がすさまじい。散歩、ランニング、サイクリングなどの人たちが多数見うけられた。半数がマスクをしている人たちである。テレビなどで2m以上離れている場合はマスクを外してください、と訴えても、同調圧力に弱く個人で判断をすることが苦手な日本人は、人の目を気にして真夏の野外でもマスクを外せないのであろう。足元には白や赤のオシロイバナが咲いていた。
菜園からホオズキ、ナス、ゴーヤなどを採って仏壇に供えた
10月
農作放棄地が年々増えていくのを見て、農作物自給率の低下を嘆くのは誰にでもできる。しかし農作業は実に大変な作業である。野生動物に荒らされないように十分注意しながら、種蒔きから収穫まで手間をかけて育てる。米を育てるのに88回の行程があるという意味を込めて「米」という漢字ができたということを小学校で教えられた。それは米に限らず農業全般に言えることだ。朝早から暗くなるまで肉体労働だ。いくら機械化されたとはいえ農業は大変な重労働なのだ。高齢になり重労働に耐えることが出来なくなり、やむなく耕作放棄地が全国で拡大しているのだ。私は3箇所で家庭菜園をやっているが、その家庭菜園でさえも種まきから収穫までの一連の作業をすることによって農業の大変さを実感している。3年前までは水田として稲が育てられていた田んぼだが、今はセイタカアワダチソウがびっしり育ち、我が世の春を謳歌している。
増え続ける耕作放棄地
12月
海鳥の観察のために自転車で検見川浜に向かったのだが、40cmの段差を斜め上に登ろうとした時に、霜が溶けて濡れた芝生にスリップして転倒した。望遠レンズを付けたカメラを首にかけていて、ドサン!という音とともにカメラもアスファルト道路に激しくぶつかり、カメラが破損してしまった。ファインダーを覗くとヒビが無数に入っており、カメラの外枠が破損して落ちていた。急遽、自宅に引き返した。望遠レンズを外して確認すると、不幸中の幸いで望遠レンズは大丈夫だった。標準レンズに付け替えてカメラ本体の機能を確認すると、ファインダーにはヒビが入り映像が確認できなかった。しかし液晶モニター画面での画像確認はできたので、今後その方法で撮影することにした。セブンイレブンに出かけて行き、アロンアルファを買ってきて破損した外枠を接着修理した。
カメラの修理代金
しかし、実際に液晶画面の確認で撮影してみると、600mm望遠レンズを装着しての手持ち撮影は、三脚を据えての撮影と違って無理だと実感した。以前、レンズ清掃を依頼したことのあるソニーサービスステーション秋葉原に連絡して修理見積りを依頼すると、見積りは29,216円だった。新たに買い替えると10万円はするので修理を依頼した。1週間ほどで4箇所を修理し、まるで新品のようになって手元に戻ってきた。
距離10mから撮ったカワウ
カメラが修理から戻ってきたので、動作確認のために花見川に出かけた。最初に距離が10mほどにいたカワウをファインダー確認で連写撮影してみた。シャッタースピードは1/800秒、35mm焦点距離で900mm、手持ち撮影である。以前と全く変わらずに撮影できた。
距離30mから撮ったモズのオス
次にシャッタースピードは1/1000秒、35mm焦点距離で900mm、手持ち撮影でモズのオスを撮影した。カメラの動作確認では全く問題はなかった。3か月以内に修理した場所でトラブルが起きたら無償で確認するとのことだった。まず大丈夫だろう。
来年も野外に出て、少年のような好奇心を持ち、「青春とは、心の若さである」というサムエル・ウルマンの言葉を指針として、四季折々の自然を五感で感じようと思う。