都電荒川沿線桜めぐり

 

007asukayama

飛鳥山公園

 

 私の職場の休みを利用して都電荒川沿線に咲く桜を見に出かけました。ナビゲータはいつもの通り夫です。荒川線に乗ろうと思ったきっかけは、昨年秋に娘の愛が通っている藝大大学院美術学部で東京都交通局と連帯協力しての総合的デザイン提案展を見たからでした。そのとき春の桜の季節にのんびりと風に吹かれながら荒川線の乗ってみたいなぁと思ったわけです。出かける予定の数日前に夫に話すとすぐにネットで荒川線沿線の桜情報や名所旧跡を調べてくれました。

 

 調べてくれた内容は、総武線の秋葉原駅で地下鉄に乗り換え三ノ輪駅で荒川線に乗り、まずは飛鳥山公園駅で下車。飛鳥山公園は江戸時代からの桜の名所とのことです。私が実際に公園を訪れたのは初めてです。昨年秋に夫の友人の哲さんが喉頭癌で亡くなりました。春に桜が咲き始めたときに哲さんの入院先の病院にお見舞いに伺ったのですが、当時、哲さんは王子に住まわれていて飛鳥山公園の桜の素晴らしさを話してくれ、早く退院して桜見物に行きたいなぁと言っていました。その哲さんの願いは叶わなかったのですが、飛鳥山公園の桜は哲さんが言われたとおり素晴らしい桜でした。

 

012kisibojin桜の花の時期は若干すぎていましたがまだまだ十分楽しめました。桜の花びらが山全体に散って白くなっているのも素晴らしい光景でした。その中で三々五々、友達同士や家族連れが和気あいあいと話し込んでいました。公園内の売店に行って、お弁当にたこ焼き、焼きそば、いなりずしを買い、夫がビールを買おうとしましたが、ここの公園では売っていません、とのことでした。公園ではお酒は持ち込みでないと飲めないのですね。夫は隣でビールを飲んでいる花見客を見ながら少し残念そうでしたが途中で買ったお茶を飲んでいました。ま、たまにはいいでしょう。

 

 飛鳥山公園から再び都電に乗り次に下車したのは鬼子母神前駅でした。鬼子母神は子授け、安産、子育ての神として祀られて有名ですね。娘の愛が1才の頃に今回訪れた雑司ヶ谷の鬼子母神とは違いますが、入谷の鬼子母神の朝顔市に出かけたことを思い出しました。もう20数年も前のことですが、その時は大変な人ごみでしたが今回の場所はとても静かな境内でした。阿吽の仁王様が左右に立っていましたので、夫は阿像の前で、私は吽像の前で、それぞれ同じ形のポーズをとって写真を撮りました。本堂にお参りしお賽銭をあげて家族の健康をお祈りしました。夫はザクロの絵が描かれている土鈴を買っていました。その時、なぜ土鈴や絵馬にザクロが描かれているのか確認すると、ザクロは実がたくさんあるので子どもがたくさん生まれるように、という意味があることを教えてもらいました。なるほど。

 

再び都電に乗って面影橋駅で下車しました。面影橋は神田川にかかっている橋でその両岸に桜並木が続いています。桜並木の下には歩道が整備されていて、花を見ながら静かに歩くにはもってこいの場所ですね。桜の花びらが下を流れる神田川の水面に花筏となって流れ下っていくのを見ることも出来ました。最初、夫から花筏という言葉を聞いて、ん!? と思いましたが、その意味を聞いて流れている花びらを見るとなるほどなぁと思いました。そのようにして季節も移っていくのだなぁと思います。歩道を歩いていると「八雲庵」という見るからに静かな民家が目に留まりました。抹茶や甘酒を出している喫茶室でした。私は覗いてみようと夫を誘い入ってみました。1階の受付で私は抹茶を、夫は甘酒をお願いして2階に上がりました。畳の部屋にテーブルが6つ用意され、女性の先客が二人おしゃべりをしていました。

 

雪見障子がところどころが開かれ桜の花が見渡せるようになっていました。雪見障子によって対岸のビルが隠され桜の花のみが見渡せるように工夫されていました。お茶に付けられていたお菓子を食べながら夫と話している静かな時が流れていきました。その時、キツツキの仲間が夫婦でやってきました。私たちが座っている場所から3mの近さです。夫はすぐにあれはコゲラだよ、と鳥の名前を教えてくれました。

 

「八雲庵」を出てから再び桜並木の歩道を都電荒川線の早稲田駅まで歩いたのですが、途中で小腹が空いてきたので「油ラーメン」という名前に惹かれてお店に入ってみました。夫はビールを飲んでいましたが、出されたラーメンにスープがありません。つけ麺でもありません。味は美味しかったのですが不思議なラーメンでした。後でラーメン店のアルバイトをしている息子の大に聞いたところ、油ラーメンは大のお店でもメニューの一つとして出しているとのことでスープを使わないので、作るのに簡単で儲けが一番だとのことでした。ここでもなるほどなぁと思いました。

 

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