初夏の風に吹かれて北東北へ

 

青森・三内丸山遺跡内の大掘立建造物

 

50才になると入会できる『JR大人の休日倶楽部パス』を使って、夫と2人で初夏の五能線に揺られて北東北へ2泊3日の小旅行に行ってきました。私は全国のローカル線の人気上位に常にランクされている五能線に乗るのは初めてでした。

 初日は新幹線で秋田まで行き「リゾートしらかみ」に乗換え十二湖で下車。お世話になる旅館に、あらかじめ駅の到着時刻を連絡しておきましたので、ご主人がライトバンで迎えに来てくれました。ご主人はまだ到着時刻も早かったので、白神の自然を勉強するために建てられた『湖郷館』に私たちを案内してくれました。15分ほどの短編ビデオを2本見た後、旅館に向かいましたが途中の見晴らしのいい場所で停車し白神山地の説明をしてくれました。私たちは荷物を部屋に置き森の中へ3時間ほどの散策に出かけました。

 散策のガイドは昨年この地を訪れた夫です。森を歩き出したとたんに足元に真っ白い植物が塊になって生えていました。「ギンリョウソウ」という葉緑素を持たない植物とのことです。初めて見たのでビックリしました。最初に日本キャニオンを展望台から眺めた後、白神の原生林の中を歩き、沸壷の池を訪れました。池には清水が流れ込んでおり、池の水は本当に透き通っています。日光の加減で青い輝きが変化していました。その池の水が落ち口の池に流れ込む場所に「十二湖庵」という茶室が建てられています。旅館のご主人もおかみさんも「必ず寄ってお茶をご馳走になってください。とってもおいしいお茶ですから」と勧めてくれましたので寄ってみました。甘い落雁をお茶請けに、周りの緑の森と池を眺めながら池から流れ出た甘水で入れたお茶は、とても心を落ち着かせてくれました。物静かな品の良い女性がお茶を入れてくれました。美味しかったです。

 散策の道からモリアオガエルが葉っぱに産卵した白い塊が見えるのですが、今年は雨が降らないため池の水が少なく、おたまじゃくしになったときに池の水の中に落ちることが出来ず死んでしまうか、小鳥の餌になってしまうだろうと、宿のご主人は言っていました。厳しい自然だなぁと思いました。モリアオガエルは緑色の小さなカエルなのに鳴き声が大きいのには驚きました。

大きなブナの木


 原生林にひときわ太いブナの木がありました。とても大きな木です。大人が3〜4人で抱えてやっと抱きかかえるくらいの幹の太さです。夫と一緒の記念写真を撮りました。初めて見たブナの巨木でした。周りから聞こえてくるのは時たま小鳥のさえずりだけです。静かな森の時間が流れて行きます。パンフレットに出ている青池は、日光が翳ってしまい青く輝く池は見られませんでしたが、透き通った水に心が洗われるようでした。

 夕食は野鳥のさえずりしか耳に届かない静かな湖畔の宿で山菜や魚介類に舌鼓をうちました。冷酒『白神』がとても美味しく感じられました。この宿は気遣いも行き届きお勧めです。窓ガラスがあまりにも綺麗に磨かれており、開いているのと勘違いしておでこをぶつける始末でした。旅館の仲居さんに笑われてしまいました。温泉宿ではありませんが、八景の池の脇に建っている清潔な旅館は「末丸旅館」といいます。昨年、夫が泊まりとても良かったので今回の旅行の宿に選んでくれました。

 2日目は八景の池の周りを30分ほど散策した後、宿のご主人に日本キャニオンを谷底から見上げるコースを案内してもらいました。ご主人は昔から地元で生活していたようで、お母さんと一緒に茸取りや山菜取りに出かけた昔のことを思い出すように話しながら、盗掘されたばかりの野生蘭の跡に心を痛めているようでした。金光花の黄色い花が一面に咲くさまは見事なものです。日本キャニオンは上から見下ろすよりも谷底から見上げたほうが迫力がありました。旅館では朝採ったばかりの「みず」を料理の方法とともにお土産として持たせてくれました。とっても気さくなご主人でした。

 

岩木山9合目・雲海の上で〜す


 再び五能線に乗り日本海の海岸線を眺めながら弘前で下車し、津軽富士・岩木山に向かいました。嶽温泉からスカイラインとリフトを乗り継ぎ到着した所は既に岩木山の9合目で雲海上です。夫は毎年山に登っているので雲海は珍しくはないと言っていますが、私は雲海上に出たことなど無いのでとっても感激しました。周りにはハクサンチドリやエゾコザクラやミヤマキンポウゲなどの可憐な花がたくさん咲いていました。高山植物って背が小さく優しいですね。

嶽温泉は「山のホテル」に泊まりました。温泉は白く濁った硫黄泉で、湯上り気分がほんのりする暖かな温泉です。夕食は食べきれないほどたくさんの料理が出ました。山菜やマタギ飯も美味かったです。夫は熊肉の串焼きと鹿の刺身を食べ、中々のものとのことでした。

 

3日目は弘前から青森に出て三内丸山遺跡を訪ねました。とっても大きく高い掘っ立て建造物には何に使われたのか判らないそうですが、発掘展示室に展示されているイヤリングや装飾品の数々、あるいは土器や種種の食料品などの出土品から4000〜5000年前の縄文人の生活の智恵と生活の豊かさに思いを寄せました。

 昨年は札幌・小樽・旭川に夫と出かけました。今年は青森・五能線の旅でした。これからも仲良く1年に1回は夫と一緒の旅に出かけようと話し合っています。

 

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