アルプスの3大名花

 

アルペンローゼ

 

私たちのツール・ド・モンブランの山旅は、ヨーロッパアルプスに高山植物の花々が次々に咲く時期に重なり合っていた。トレイルの両側に百花繚乱と咲き乱れる花園を歩くことも度々あった。旅行企画の西遊旅行社のパンフレットは『花咲くアルプスを歩く』であった。

 

 ヨーロッパアルプスの3大名花は「エーデルワイス=セイヨウウスユキソウ」「アルペンローゼ=アルプスのバラ」「ゲンティアナ・アルピナ=チャボリンドウ」と言われており、今回の山旅で出会ったのはアルペンローゼだけだったが、チャボリンドウの仲間にはたくさん出会った。

 

ゲンティアナ・オリビクラリス

 

 今回の山旅では出会うことがなかったが、3大名花のうちで最も有名なエーデルワイスは純愛のシンボルとして親しまれており、押し花などにされるために摘まれてしまう。植生地でも出会う機会が少なくなっているとのことで寂しい限りである。日本では東北の山々に出かけると登山道の脇にエーデルワイスの仲間がたくさん咲いている。

 

 2つ目のアルペンローゼは山旅に出かける前はアルプスのバラと言われているので直径3cm〜5cmほどのピンクのバラの花を想像していたが、実際に出会ったのは1cmほどの花が固まって咲いているツツジの仲間だった。えっ!?これがアルペンローゼなの? という具合だった。バラの華やかさとはちょっと違った姿だった。ローゼという名前がミスマッチであり期待外れ感が大きかった。

 

 3つ目のゲンティアナ・アルピナには出会えなかったが、ゲンティアナと呼ばれているリンドウ科の花には度々出会った。ゲンティアナ・オルビクラリスに出会った時は綺麗な瑠璃色をしていた可憐なリンドウだった。花の色が薄紫をしているゲンティアナ・カンペストゥリスにも出会った。高さ10cmほどの花なので可憐さが引き立った。

 

ゲンティアナ・プルプレア

 

 今回の山旅で初めて出会った花もたくさんあった。バニラの匂いがするバニラ・ラン、ベンケイソウの仲間でイソギンチャクのようなクモノス・バンダイソウ、クルマユリの仲間のマルタゴン・ユリ、花が爆発しているスピノシシムム・アザミ、繊細なタマ・シャジン、花が縦に連続するバルバタ・ホタルブクロ、野原一面が白くなるフォンディリウム・ハナウド、毛むくじゃらのエリュンギウム・アルピヌム、赤いリンドウのゲンティアナ・プルプレア等々、数え上げたらきりがないほどの花々が私たちが歩くトレイルの両脇に咲いていたのである。