レンゲツツジを見に赤城山へ

 

 群馬県伊勢崎で行われる法事に出かけることになりました。その際、前日をどこかで一泊しようということになり夫が候補地を探すことになりました。夫が見つけたのは赤城山でした。夫の説明によると、赤城山麓は関東でも指折りのツツジの名所で、6月中旬の新緑とレンゲツツジを見に赤城山に出かけることにしました。

 

白樺牧場、大沼、覚満淵、小沼などでハイキングをしながら夫は川柳を作っていました。鮮やかな朱色のレンゲツツジ、真っ白なシロヤシオツツジ、ピンクのアカヤシオツツジなどを見て回りました。

 

つつじ咲き 赤さ拡がる 赤城山

 

 蝉時雨という言葉がありますが、春蝉の合唱は騒音にも聞こえるほど凄まじいものでした。私は春蝉というのを見るのも聞くのも初めてでしたが、夫は以前東北の山に登った時に聞いたとのことでした。夫が雄雌ひとつがいの蝉を捕まえました。ミンミンゼミのように透明な羽をもった少し小さな姿をしていました。

 

みどり増し 騒音まがいの 春の蝉

 

 白樺牧場は現在も乳牛などを飼育しているため柵に囲まれていました。柵の中には入れませんが柵外であっても十分にレンゲツツジの素晴らしさを堪能できました。

 

旅に出て 絆深まる ふたり旅

 

白樺牧場の脇に赤城山総合観光案内所が建っており、過去に赤城山を訪れた文人墨客たちの写真や記録が展示されていました。その一つに芥川龍之介の「ほんとうに佳いだろう 美しいだろう だから僕は赤城が一等好きだって言ふんだ ねえ 何処よりも佳いだらう」という言葉が立派な板に書かれて立ててありました。

 

芥川龍之介の赤城賛歌

 

白樺牧場の次に大沼の畔に立っている赤城神社にお参りしました。赤い神橋を渡り神社に向かいましたが、橋の下を見下ろすと丸々と太った凄く大きな鯉が群れていました。久しぶりに見た大きな鯉たちでした。

 

風わたり 碧の湖面 鯉游ぐ 

 

 宿は夫がネットを検索し赤城温泉の「花の宿 湯之沢館」を選びました。与謝野鉄幹や高村光太郎も投宿したという明治13年創業の老舗旅館とのことでした。夫はほかのホテルと比べると小さいけれど、きめ細かいサービスがあるだろうと予想し、その通りの旅館でした。金曜日だったためか日帰り湯の客はいましたが、宿泊客は私たち夫婦だけでした。12畳の和室にベッドルームが続く広い客室と、夕食は京風懐石料理でした。どれも美味しく満足満足腹いっぱいの食事でした。

 

きらきらと 輝く夕餉 花水木

 

 露天風呂は滑滝を見下ろすにごり湯で男女別の時間制のものでしたが、お客が私たちだけでしたので瀬音を聞きながらのんびりと一緒に入りました。

 

清流の 瀬音涼しき 露天風呂

 

翌日、旅館を出るときに女将さんに頼んで一緒に写真を撮ると同時に私たち夫婦の写真も旅館の玄関で撮ってもらいました。赤城温泉は赤城山麓の緑に囲まれた場所にあり、バスは運行しておらず自家用車のみでいくことができるところです。道路は舗装されているものの対向車とのすれ違いも難しく、ペアピンカーブの連続のため運転には神経を使います。運転は全て夫がしてくれました。

 

にごり湯の 赤城温泉 花の宿

 

 今回は12日の短い旅でしたが機会があったら秋の紅葉の季節に訪れてみたいと思いました。