愛、28歳の君に
昨年の暑気払い
愛、28歳の誕生日おめでとう。
早いもので君がテレビ業界の美術関連会社に入社してから2年が経とうとしています。君が入社して1年目は先輩について様々な仕事を教えられていたようですが、その仕事内容をマスターし2年目からは独り立ちして仕事を任せられたようです。その関係もあって忙しさのあまり自分の生活がぐちゃぐちゃ状態になっているように感じられます。
君が担当するテレビ番組の終了時に流れるテロップに美術担当として「岩井愛」の名前が出ているのを見かけるようになりました。君は仕事内容のことはあまり話しませんが、年末の多忙期などは帰宅せずにTBSに泊まり込んだり、午前3時帰宅などが1日おきに続いているなどと話していたことがありました。
テレビセットの設計、発注、組み立て、番組収録、解体、撤去という一連の流れを管理し立ち会うという仕事の関連から君の勤務時間はどうしても長時間の状態になっているようです。昨年4月頃に君の会社の社長から突然手紙が届きました。何が書かれているのかと思いながら封を切って読んだところ、君の会社内の評価や君の仕事にたいする責任感の強さなどと同時に、入社2年目にして既に会社の第一線で仕事をしていることなどが記され、仕事の関係上勤務状態が過酷になっているということも言い訳のように記されていましたが、君の会社内の状況はおおよそ把握できました。
父さんは君が今の会社に入社する時にテレビ業界は時間があってないようなものだから過酷な勤務体制になるだろうと予測していましたが、実際そのようなことになっているようですね。父さんが心配するのは忙しすぎる勤務の中で身体と精神が壊れないかということです。忙しいという字は「心が亡くなる」という意味にとれますから、忙しい時ほど自分の精神のあり方に注意を向けないと危険な状況になると父さんは思います。常に緊張感を持っていると身体が持たないので精神をリラックスさせる必要があるのです。
君の誕生日にメールを送りました。
「愛、誕生日おめでとう。(*^_^*)
28歳になったね。
仕事が忙しくて、自分の生活を振り返ることがなかなか出来ないだろうけれど、会社員は身体が資本なので健康には十分注意して下さい。
応援しています。(^_^)v 」
すると、君からの返信メールは
「ありがとう(*^^)v
28歳になりました。
まあ30までは、がむしゃらに仕事に食らいついていこうと思っております。
評価もしてくれているみたいだし、やりたいことやれるように頑張ります。(^◇^)
また飲みに行こうね。三軒ぐらいはハシゴしたいからよろしくね!」
というものでした。
父さんと君が居酒屋で飲んでいるという風景は君が学生の時から続いていますが、君が就職してからはその機会はめっきり減りました。仕方ないな、と思いながらも寂しくもあります。
これで父さんからの29通目の手紙を終わりにします。
2015年1月8日