愛、24才の君へ
24才の誕生会
愛、24才の誕生日おめでとう。
君は、今年3月に東京藝術大学美術学部デザイン科を卒業します。あっという間の大学生活4年間でしたね。1年生の時は我孫子キャンパスなので柏市にアパートを借り、君は念願の一人暮らしを始めました。2年生からは上野キャンパスに戻って来たので幕張の自宅からも十分通学できる距離ですが、君は一人暮らしに味を占めたのか上野キャンパス近くの谷津にワンルームマンションを探し出し、さっさと契約を済ませました。それから3年が経ちました。
昨年の夏休みに同じクラスの仲間3人と一緒にヨーロッパに卒業旅行に出かけました。君が4人の内で海外旅行の体験が一番多いということでリーダーになったようです。自分たちで日程を検討し旅行会社にオリジナル企画を持ち込み、ベルギー、オランダ、フランスに出かけました。とっても楽しい旅行だったと聞きました。
同級生は次々に就職を決めましたが君は「院(大学院)にいくから・・・」とのんびりしたものです。君は大学4年間で追求していた空間藝術のイメージに対して自分でまだまだ納得がいかないのでしょうね。君が目指したいという大学院のゼミ募集生は3人と聞きました。父さんは、最初、え!? と思いましたが、芸術系大学院というところはそういう次元だろうなぁと改めて思いました。何事についても通常よりも極めるというのは大変だなぁと変に納得しました。君が希望通り大学院に入学できるどうか分かりませんが、入学できたら自分の目指す方向に一直線に進んでください。
君は、卒業記念作品に『本』を作っています、と言うだけでどのような本を作っているのか中身を教えてくれません。一旦出来上がった本は教授に説明したあとiPadに取り込む過程で分解再構成をするため年末始は忙しいようでしたね。それも一段落したとのことでした。卒業記念作品展は1月30日から藝大構内で展示されるとのことなので30日に母さんと一緒に出かけようと思っています。
1月8日の君の誕生日は土曜日でした。父さんは休みでしたが母さんは保育所へ出勤でした。そこで君と父さんは海浜幕張駅前の「やまと寿司」でお昼を一緒に食べました。君は昔から煮アナゴが大好きです。父さんは昼間から日本酒で乾杯です。食事後、誕生祝に靴を買って欲しいというので近くのショッピングモールに行きました。君は何軒かの靴屋を覗き、試し履きをしましたが中々思う靴が見つかりませんでした。やっと見つけたのはブーツにしては短めな靴でした。それを一足買ったあと更に別の靴屋を廻りましたが見つかりません。帰宅途中で「イトーヨーカドー」を覗いてみたら気に入ったものがあったとのことで、ブーツと短靴を買い足し合わせて3足の買い物となりました。その買い物袋を両手に提げて君は満足のようでした。夕方、仕事に出ていた母さんがケーキを買って来て、君の大好きな「春巻き」「餃子」を作り、ささやかでしたが君の24才の誕生会を君と父さん母さんの3人でお祝いしました。大はボクシングの練習のためにいませんでした。
以前、君に大学を卒業したらどういう仕事をやりたいの? と質問したことがあります。君は舞台やドラマの背景のいわゆる大道具係のイメージを作り出す仕事につきたいと言い、具体的にはテレビ局に就職し製作部に所属したいとのことでした。父さんはなるほどねと思いましたが、君がどのような職業についても、君は決して手を抜かない姿勢、バイタリティいっぱいの行動で素晴らしい結果を残すであろうことを、父さんは信じています。父さんはこれまで通り君を見守り支援します。
父さんは今年の3月31日で44年間働いた会社員を辞めます。長いようで短い会社員生活でした。あとは母さんが働いていますから、父さんは主夫をしながら今まで出来なかった家庭菜園、陶芸、絵筆、などで遊びつつ、山登り、スキー、マラソン、などをやっていこうと思っています。君も志を高く掲げ、志向性と指向性を明確にして自分の思う方向へ進んでいって下さい。
これで父さんからの25通目に手紙を終わりにします。
2011年1月8日