愛、23歳の君に
藝大祭でのバレー部「馬鈴処」店長
愛、23歳の誕生日おめでとう。
12月の初旬でした。
君は
「院に行くことに決めたから、よろしくね」
父さんは
「うん。わかった」
これで君が大学院に進むことが決まりました。
「ところで、大学院って入るのは難しいの?」
という問いかけに
「うん。難しいと思うよ。私が進もうとする科に入学できるのは3人だけだから。藝大生だけでなく他の美大からも受験するからね。来年は4年なので頻繁に教授に会っておかなくちゃ」
という返事が返ってきました。
「ふ〜ん。ま・頑張って」
藝大祭での学生たちの手作り神輿
昨年9月、藝大祭に父さんの職場の仲間と見学に行きました。7人が上野駅前で待ち合わせて会場に向かい、最初は音楽学部のキャンパスに入りました。そこには前年同様に学生たちの手作り神輿が飾られていましたが、愛たちの学年が作成したときのほうが迫力に満ちバラエティ豊かだった、と1年前の藝大祭を思いだしました。神輿展示を一通り見終わると12時だったので君が店長をしていたバレー部の屋台「馬鈴処」に行き、揚げ物や枝豆のツマミを食べながら生ビールやカクテルで小腹を満たしました。君は店長として張り切っていました。この日も前年同様に船橋美術学院の屋台「ふなむし」と掛け持ちで動いていると言っていましたね。君はいつも行動的で徹底的に追及していくタイプです。この性質は誰に似たのだろうか?
君も製作メンバーになった『陸羽』は茶室を通して日本の美を表現したもので、学生作品コンテストで1位になるだろうという前評判でしたが本当に藝大祭で1位に輝きました。その作品を観るために展示場に足を運びました。時間の関係で茶室内で踊る日本舞踊を観ることはできませんでしたが、君が担当した茶室の照明は体験することが出来ました。照明はちょっと暗い感じでしたが落ち着いた雰囲気の茶室でした。このセットを新たに作って12初旬に東京信濃町の「アートコンプレックス・センター」で他の5美術大学祭での1位作品とともに「The
six」展に藝大祭第1位作品として展示されました。父さんは母さんと観に行きました。日本舞踊の時間も予め確認していたのでしっとりとした舞いを観ることができました。舞いを舞った女性は同じ藝大生で2歳のときから日本舞踊を踊り続けているので20年のキャリアがあると語ってくれました。藝大卒業後は踊りを教える立場になれればいい、という彼女の言葉に滑らかな動きと静止の間を観て納得しました。茶室の照明と日本舞踊のコラボレーションが第1位作品になったのかなと思いました。
昨年の君との思いではなんといっても9月に拓と3人で出かけたペルー旅行です。父さんにとってはNTTを60歳で退職した記念に出かけていった旅行でしたので楽しい思い出が出来ました。君たちと出かけたことより、一人で出かけて行ったのでは中々出来ない楽しい思い出ができて感謝しています。
では、これで父さんからの24通目の手紙を終わります。
2010年1月8日