愛、22才の君へ

 

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ま・いっぱい 芸大祭の模擬店『ふなむし』

 

愛、22歳の誕生日おめでとう。
早いもので愛が大学に入って2度目の冬を迎えました。

 今、君は芸大バレー部のキャプテンをやっています。キャプテンになって最初の大きな仕事は4国公立美術大学交流バレー部合宿だ、といって新島に出かけていったのは確か昨年7月下旬の頃でした。熱海から船で新島に渡るので参加する芸大部員から集めた百万の合宿費管理をちゃんとやらなければ・・・、と言っていたのを思い出します。

 君は秋の芸大祭では、『ふなむし』という「ふなばし美術専門学校」の模擬店と『馬鈴処』という「芸大バレー部」の模擬店の二つに顔を出しているようでした。金曜日から始まった芸大祭の二日目の土曜日に父さん、母さん、群馬のおばあちゃん、久芳おじさん、の4人は君が出品している絵の鑑賞に出たついでに模擬店にも顔を出しました。君はバレー部のユニフォーム姿で『ふなむし』の方で元気に働いていました。よしずで囲まれた屋台のテーブルで美術専門学校出身者がお互いの近況を語り合ったりしていたのを思い出します。

 君は芸祭の実行委員会とバレー部の模擬店と専門学校の模擬店の会議に出て芸祭当日は卒業したバレー部の先輩たちとの試合にもキャプテンとして参加するという具合で忙しすぎてまいっちゃう、などと言いながら結構その忙しさを楽しんでいるようにも見えました。そういう活動を通しながら沢山の人と出会うことが将来の財産になるのだと父さんは思います。友だちは後から作ろうと思っても出来ないのです。ひとつの目標に向かって共に進んで行った時の連帯感を共有した友だちは何年たっても友だちなのです。父さんがラグビーで花園に行った時のチームメイトは今でも友だちです。君はさまざまなところに顔を出しているようで沢山の友だちがいると言っています。友だちを大切にしてください。大学生活の中でかけがえのない友だちも出来るでしょう。

 

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愛の作品の前で


 翌日の日曜日、芸大祭の三日目に群馬に帰るお袋や久芳を送って上野に出たついでに再度祭りを覗いてみましたが、君は神輿隊で上野アメ横商店街に出ていたので会えませんでした。大を交えて『上野精養軒』で昼食を食べた後、上野公園の桜並木を歩いていくと神輿隊が休憩しているところに出くわしました。その場に法被に地下足袋で手にハンドマイクを握った君がいました。芸祭の実行委員会の役員になり神輿隊に入っていると聞いてはいましたが地下足袋に法被姿とは想像できませんでした。古い昔のことを思い出せば父さんも君の年頃にハンドマイクを握っていましたが、それはベトナム戦争反対デモや沖縄返還闘争デモの中での姿でした。同じハンドマイク姿でも隔世の感があります。

 通常ならば3年生になる新学期の4月を迎えると学生は就職活動に動き出すのですが、君は「大学院に進んで空間映像について勉強を続けたい」と言いました。父さんは「君がやりたいと思ったことに進んでいけばいい。父さんは応援するよ」と言うだけでした。大学院へ進むのも難しいようですが頑張ってください。君は一度思ったことはその実現に向けて頑張り通す根性を持っているので大学院へもきっと入ると思います。

群馬のおばあちゃんが仕立てた和服で

(大の20才のお祝いの会)


 父さんは常日頃から親が子どもに対して出来ることは限られていると思っています。親が出来ることは、その子の成長を促してやれるよう準備してやることだけです。あとは子ども自身が考え自分で歩いていかなければなりません。人間関係を始めとして親のいる世界と子どものいる世界は違った世界だからです。親として出来るだけ援助はするし心配はするけれど、子どもの世界に親が踏み込むことは不可能なのです。君の足で歩いて行ってください。父さんは君を見守っています。

 

                                          2009年1月8日

 

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