愛、19才の君に
八ッピー・バースディー・ツーユー
愛、19才の誕生日、おめでとう。
2006年の年が穏やかに明けて、ティーンエイジャーとしての最後の年を迎えました。
今年の冬は今までになく寒い冬です。気象庁始まって以来の異常気象で、積雪量の多さによる家屋の倒壊や異常低温による被害者の増大、死傷者が出た強風による特急列車転覆事故、雪山での遭難や雪崩、スキー場での死者、など全国各地で異常なことが起こっています。
君にとっては2度目の大学受験が間近に迫ってきました。
君は、高校在学中から高校を卒業したら美術大学へ進学し、将来はグラフィック・デザイナーの職業に就くのを目的にしていました。そのため昨年は、多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京芸術大学と美術大学を3校受験しましたが、残念ながら縁がなく入学できませんでした。今年はリベンジの年と位置づけ、再度、昨年受験した美術大学を受験するために頑張っています。
昨年、受験に空振りしたあと、君自身が昨年の受験準備を振り返って言ったことは「どのように受験勉強をしたらいいのか分からなかったので、とりあえず絵だけを描いていた」というものでした。そこで受験に失敗したのは何が問題点だったのかを君自身が考え、採点基準に目がいったというわけです。昨年4月からは月曜日から土曜日までが「ふなばし美術学院」、日曜日は「代々木ゼミナール」へ通うという1年間でした。
美術大学の入学試験の採点割合は、学科が4割、実技が6割という基準でした。絵が上手く描けたり創作物を形よく作る技能だけでは入学できない採点方法で、学科をキチンと勉強しないと入学できない基準だったのでした。父さんは知りませんでした。事実、君の昨年度の試験結果は実技は80点台で合格圏に入っていたのですが、学科が60点台では総合点として合格点まで届かなかったのでした。
ともあれ美術大学の数は非常に少なく、たくさんの受験生が全国から応募してきますから試験倍率は極端に高くなっています。高校卒業の現役で入学できるのは稀で、1浪、2浪は常識のようです。父さんは君が「美術大学に進みたい」と言ったときに、「美術大学に進むための準備として2年間は美術専門学校に通うことを前提に考えているから頑張れよ」と言いました。つまり、2浪してもいいから自分の目指す方向に精一杯努力し進んで欲しいという願いを込めていました。現に現在、君は美術専門学校の1年生です。今月中旬にはセンター試験があり、2月3月で実技と学科の試験が待ち受けていますが、君の努力が報われて3つの美術学校のどこかと縁が結ばれるといいですね。
寒さが厳しいですから風邪などをひいて体調を崩さないように十分注意して頑張ってください。父さんは影ながら応援しています。
これで父さんからの20通目の手紙を終わりにします。
2006年1月8日