愛、15才の君に

 

        

 愛、15才の誕生日おめでとう。

 

「愛が入院しました」と会社に母さんから電話が入ったのは5月18日の午後3時頃でした。

「ん? 何?」と思わず聞き返しました。

母さんが伝えてきた内容は、「5月27日の体育祭に向けての全体練習時にクラスメートと衝突し、そのまま健生病院に入院し、頭を打ったようなので検査を受けている」とのことで、会社の帰りに病院に顔を出して欲しいというものでした。

会社帰りに病院に寄ってみると、CTスキャン診断では異常は見受けられないが、本人は気持ちが悪く吐きそうで歩くのに真っ直ぐに歩けない、というので様子を観るということで3日間ほど入院することになりました。君は見た目は元気そうでした。

しかし3日目になっても吐き気と真っ直ぐに歩けない状態が続いていましたので、2度目のCTスキャン診断や身体各部の機能検査を受けましたが結果はやはり異常なしでした。

 君は真近に迫っている体育祭の赤組応援団長ですから一刻も早く退院し、応援合戦の練習に加わらなくてはいけないと気をもんでいたようでした。

 

 校庭での衝突事故を客観的に判断すると、軽いむち打ち症と耳の奥の三半規管が衝突により身体の平衡感覚のバランスをうまく取れなくしているのだろうと思いました。結局、君の希望により吐き気止めの薬を点滴に混入したりして4泊5日の入院生活で退院し、すぐに応援団練習に復帰しました。

 父さんの朝の通勤時間帯が学校の先生の通勤時間帯と合っているので校長先生をはじめとして多くの先生が君のことを心配して声をかけてくれました。

 日曜日に開催予定の体育祭はあいにくの雨で水曜日に延期されてしまい、父さんも応援に行きたかったのですが研修の予定が入っていたので残念ながら行けませんでした。母さんは午前中の休みを取って応援に行ったようです。

 体育祭の結果は見事に君の所属する赤組が3連覇で優勝し、祝賀会と称して夜の10時過ぎまで仲間と遊んでいたようです。クラスメートのお母さんから「娘がまだ家に帰ってこないけれど、どこにいるのでしょうか?」という電話もかかってき、母さんが君の携帯電話に連絡し、あまり遅くまで遊んでいないように注意していました。

 

上高地への修学旅行

 

君は声の大きさとガッツで中学校生活をエンジョイしているようです。授業参観の後のクラス懇談会に出席すると、親子の意見対立や不登校など色々複雑な状況に置かれている家庭もありますが、今のところ我が家にはないように思います。しかし、小さな意見の食い違いの積み重ねがやがては大きな溝へと発展していく可能性がありますから普段からコミュニケーションを密にするように父さんは心がけていこうと思っています。

4月下旬のクラス懇談会には母さんが大の方に出席し、父さんは君の方に出席しました。

20人程の保護者が出席し、担任の中山先生を交えて懇談しましたが、やはり複数の親から不登校の子どもとの人間関係で親の悩みが訴えられていました。また、進学関係では勉強を自分自身からやりださないという悩みも多くの親からの心配事として出されていました。

父さんは君のついては「今のところ私の娘に関しては全く心配していません。受験勉強に関しては夏休みの初めに実施される総合体育祭が終われば、バレーボールの部活から受験勉強にスイッチを切り替えるだろうから全く心配していないし、本人がやる気を起こさない限り周りで気をもんでも始まらないですから・・」と言いました。父さんのような意見は他にはありませんでした。もっと自分の子どもを信頼し、子どもから相談があったときにはきっちり対応し、その他のことは子どもに任せればいいのにと思います。

君は、高校受験は幕張総合高校を受けると決めています。インターネット検索や先輩に色々聞いて情報を収集しているようです。進路をどこに決めようとも大切なことは本人のやる気です。何事もやる気が出発点になるし、父さんや母さんは君を見守り応援します。

 

浅間神社の夏の例大祭は2日間とも、君は浴衣を着て友達と出かけていきました。前年までは家族で出かけていきましたが、昨年から君は同級生と出かけて行くようになりました。昨年は梅雨明けが10日も早かった関係で、7月14日、15日は真夏でした。その真夏の夕涼みを兼ねて扇子を片手に赤い鼻緒の下駄をつっかけての浴衣姿は絵になります。

父さんと母さんと大も出かけようとしましたが、午後6時過ぎの君からの携帯情報によると、ものすごい人出で駅から神社までの間が前に進めない状態とのこと。前年の人出で懲りているので、アッサリ出かけるのを諦めて家でビールを飲んでいました。

9時頃帰ってきた君は、「楽しかった」を連発していました。同級生もみんな浴衣姿だったとのことです。よかったね。若いということはそれだけで絵になります。

常々「人出が多い時には色々な人がいるので、くれぐれも注意するように」とは言うものの、実際は君自身が一つひとつ経験を積みかさねていくことですから、親としては君の行動を見守ることぐらいしかできませんけどね。ま、いろいろやってみてください。

 

 今年の初詣も元日に浅間神社に出かけましたが、大は昨年暮れの左足首の骨折が治らないので君と父さんと2人で行きました。昨年の破魔矢を奉納したあとに今年の破魔矢に買い換えました。君は絵馬を買って高校受験に向けて「幕張総合高校に合格するぞ」と力強く書き込んだあと、おみくじを引きました。君が引き当てたのは「末吉」でした。チョッピリ残念そうで「勉強しっかりやろう」と気を引き締めていました。それを見ていた父さんは、普段はおみくじなど引かないのですが、気合を入れて「大吉」を引き当てました。その「大吉」は君にプレゼントしました。君は早速、財布の中にしまいこんでいました。

 君にとって今年の最大イベントは今月下旬から始まる高校受験です。自分の持てる力を十分に発揮できるよう頑張って下さい。必ず道は開けます。

   

ではこれで父さんからの16通目の手紙を終わりにします。

                           2002、1、8、

 

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