弓道初段になりました

                                             岩井 愛

天台弓道場での試合風景

10月に弓道の昇段試験があり弓道部の仲間と一緒に参加し初段を取りました。

和弓で矢を放つときに弓本体の中央を持ちません。弓の下側1/3の位置を持ちます。なぜかといいますと弦を引いて放った後の弓の衝撃とブレがほとんどない部分が弓の上下1/3の位置になるからです。このことで驚かされるのは遥か昔の2000年前のいわゆる弥生時代に作られた銅鐸に描かれている線画でも弓の1/3の部分が握られていることです。古代ギリシャの有名なヘラクレスの引く矢やアーチュリーは弓の中央を握っているのとは大きな違いです。

和弓で矢を放つときに絶対的に必要な技術として角見(つのみ)があります。角見とは矢を放った瞬間に左手によって弓本体を左に回転させる技術です。これを行うことによって矢をまっすぐ飛ばすことが出来ると同時に弦が射者の耳に当たるのを防ぐことが出来ます。この角見を行わないと矢は全て右に流れてしまいますし、弦は射者の耳に打ち当たります。

 弓を射るには「射法8節」といって基本的な8つの動作があります。

第1は「足踏み」です。矢を正しく的に当てるためにはまず正しい姿勢を作ることが必要です。そのための基礎となるのが足の踏み方です。単なる足開きではありません。

第2は「胴造り」です。「足踏み」を基礎として脊柱およびうなじをまっすぐに伸ばし、身体総体の重心を腰の中央に置き、心気を丹田におさめる動作です。

第3は「弓構え」です。いよいよ射の活動に入る前の準備動作です。「正面の構え」と「斜面の構え」のふたつがありますが、左手に弓を持ち右手で矢を弦に当てて構えますが、弓は硬く握らず、あたかも卵を握るような気持ちで行います。

第4は「打起こし」です。打起しは、左足を前に太陽が静かに昇ってくる情景や、無風帯に煙がゆっくり立ち上がるように静かに体勢を整えます。

第5は「引分け」です。引き分けは、矢を番え大きな鳥が羽ばたくようになるべく大きな動作で弦をいっぱいに引きます。

第6は「会」です。今までの5段階はこの「会」に到達するために行ってきたものです。精神・身体・弓矢が一体となり、発射の機を熟させる頂点で、いっぱいに引いた弦を一呼吸で的に照準を合わせる弓射の極致です。

第7は「離れ」です。矢を的に向けて放すことです。「離れ」は離すのではなく離されるのでもない、自然の離れでなくてはならないのですがなかなか難しいものです。

第8は「残心(残身)」です。矢が離れたあとの姿勢のことで「残心(残身)」の良し悪しによって射全体の判別が出来、射手の品位や格調も分かるとされています。もともとは精神(心)の問題として「残心」が使われていましたが、最近は矢が離れたあとの形を崩さないという意味から「残身」という意味も追加されてきました。

 私は高校2年生ですが弓道部に入って1年3ヶ月になります。毎日放課後の練習に参加し精神を集中させて的に向かって矢を放っていますが、28m先の直径36cmの的に対して絶好調で当たる時と全く当たらない時の波が結構あります。今後この波をなるべく少なくしていくことが克服していく点です。それは達人と言われている範士8段の方の体勢をみていると何回矢を放っても「打起こし」「引き分け」「会」「離れ」の体勢にブレが生じないことです。先日、日本テレビ日曜日の朝番組の『所さんの目がテン』で弓道を取り上げていました。その番組をお父さんが見ていてビデオテープに映された範士8段の方の体勢を聞きましたが本当にそうだと思いました。私もこれからも練習を続けて体勢が常に一定になるように頑張っていこうと思っています。

                              2003,11,1,

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