ピンクのウエアで
山頂ゴンドラ駅前で
昨年11月に満60歳の誕生日を迎えました。いわゆる還暦です。還暦祝いの赤いチャンチャンコと赤い帽子でお祝いをするのは昔の話で、現在の高齢化社会では60歳はまだまだ若輩者です。そこで今シーズンからは今までのブルーのスキーウエアから赤ならぬピンクのスキーウエアに変身してスキーを楽しみながら滑ることにしました。
今シーズン3回目のスキーは群馬県の尾瀬岩鞍スキー場です。群馬県側のスキー場は、日本海を渡ってきた雪雲が上州・越後の国境にある上越山塊にぶつかり新潟県側に湿った雪を降らせ、乾いた空気が群馬県側に降りてくるため比較的にサラサラした雪質です。
岩鞍スキー場は今年35周年を迎えましたが冬季国体スキーコースのある名スキー場として頑固にボーダーを拒否していました。しかしスキー人口の減少に伴い背に腹は変えられない、という観光側の視点により5年ほど前にボーダーを解禁しました。ですからこのスキー場も他のスキー場と同様にゲレンデの中央で座り込んでいるゴミのような訳の判らないボーダーたちが増えてきました。こういう輩はスキーヤーにとっては本当に邪魔です。休むのならゲレンデの脇で休むというマナーを知らない若者たちです。
今回の天候は猫の目のようにくるくる変わるものでした。
1日目は雲ひとつない快晴です。気持よく滑ることが出来ました。しかしながら夕方から雲が多くなり夜中に降り出した雨は朝まで途切れることはありませんでした。
2日目は、朝から昨晩の雨が降り続き止みそうにもありませんでしたので、自棄気味にコタツの中でビールを飲んでいました。それが11時ころに小降りとなりメンバーは滑りに出る準備を始めたので、私も仕方なく昼食を食べるために出かける準備を始めましたが、一度落ちてしまった滑る気持ちは中々立ち上ってこないものです。
仲間と一緒にゲレンデに出ては見たものの気分が乗らないのでゴンドラで頂上まで行ってミルキーウエイを2本滑っただけで休憩所の『お祭り広場』に入り読書の時間にしました。思い出すのは3年前のシーズンでした。『お祭り広場』の本箱から『千の風にのって』という詩集を手にしたときの衝撃は強烈でした。「泣かないでください。わたしはそこにいません。千の風に乗って…」という詩集でした。まだ曲もつくられていないときでした。その後、NHK紅白歌合戦で歌われ爆発的にヒットしたのは記憶に新しい出来事でした。
白銀に輝く国境の峰々
今回は、三浦敬三著『98歳、元気の秘密』、真崎守著『老子』、桃井かおり著『賢いオッパイ』の3冊を手に取り、『98歳、元気の秘密』と『老子』は読み終わり、『賢いオッパイ』は3分の1読んだところで16時30分の迎えのバスに乗る時刻となりました。
三浦敬三さんは誰でも知っているようにプロスキーヤーで登山家の三浦雄一郎さんの親父さんで、2年前(2006年1月)に101歳で亡くなられましたが、それまで元気にスキーをしていたスーパーお爺さんです。その三浦さんが自分の実体験から確立した健康のノウハウを記した本です。考え方がとても参考になりました。
真崎守さんは漫画家です。したがって『老子』は漫画です。真崎さんは『荘子』という漫画も発表しています。老子は紀元前5世紀頃の中国の春秋時代の思想家で、ものの本によれば孔子が教えを乞うたと記されています。本の中には、なるほどと思うところが多々ありました。老子は、ゆったりした考え方の人だという印象です。
桃井かおりさんは若い頃は彼女の性格ゆえに周りから誤解された一時期があったようですが、私は30年前の『幸福の黄色いハンカチ』や『もお頬づえはつかない』のころからのファンです。3年前のチャン・ツィイー主演の芸者物語『SAYURI』でハリウッド映画に進出したのは記憶に新しいことです。真正面からぶつかるのではなく斜に構えた雰囲気が好きです。緩んだ雰囲気ながら、ざっくばらんな発言がそのまま書かれた本です。
3日目は、雪のち曇りでした。雪の白さにピンクのウエアは映えます。私は、60歳から70歳までの10年間をピンク姿でゲレンデを滑走したいと思っています。以前に比べてスピードは落ちましたが、まだまだアイスバーン斜面だったチャンピオンコースや男子国体コース、女子国体コースをノンストップで滑り降りる体力は持っています。朝は8時30分の始発バスでゲレンデに向かっていますが、これからも年相応のスピードと休憩を適宜取りながらスキーを楽しんでいきたいと思います。
2009年2月28日